非天マザー by B-CHAN

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紙の媒体とデジタルメディアの違いの一つ

デジタルメディアのメリットの数々


アマゾンのKindleがアメリカでヒットしていることや、ボクもiPhoneにKindleを導入したことは、

AmazonのKindleを使用開始してみた

というエントリで書いたりしてみましたが、こんな風に、紙媒体がだんだんデジタルメディアに移行していくのもまた、時代の流れなんでしょう。
ところで、デジタルメディア推進に積極的な新聞社として産経新聞社があげられます。
例えば、

産経NetView

はパソコンで産経新聞の紙面をそのまま購読できます。過去1ヶ月まで遡って読める契約だと月額420円。紙面購読よりずいぶん安いです。
また、
iPhoneの有名なアプリの一つに、

産経プラス - 産経新聞グループのニュースアプリ

産経プラス - 産経新聞グループのニュースアプリ

  • 株式会社産経デジタル
  • ニュース
  • 無料

があります。
これも、その日の産経新聞の紙面をそのまま丸ごとiPhoneで読める、と言うものです。しかもこちらは無料です。
つまり、現在の産経新聞購読者が全員iPhoneを持って、このアプリを入れてしまえば、もはや産経新聞の新聞購読収入はゼロになってしまうのでは?という産経新聞社にとっては大冒険とも言えるアプリです。
読売、朝日、日経という3大紙に対抗して生き残っていくための独自性を先行して打ち出しているのでしょうか。
さて、この産経新聞のデジタル版、ボクが考えるに、デジタルメディアでありながら実はデジタルの特性を生かし切れていないと感じます。
これらのデジタル版産経新聞、よく考えると、紙の産経新聞を画像データとして表示しているだけなんですね。それを拡大縮小して閲覧するわけです。
紙に対するデジタルの利点ってなんでしょうか?
その1.検索性…膨大な情報の中から高速に検索できる。
その2.保存性…デジタル情報は劣化しない。
その3.省スペース…どれだけ情報が増加しても紙のように場所を取らない。記憶媒体のスペースがあればよい。
その4.レイアウトの柔軟性…紙媒体は紙の形に合わせる必要があるが、デジタルメディアは表示スペースに会わせて自由に文字の流し込みを行える。
その5.データの利用性…デジタルデータは複製・加工が容易。
他にもたくさんあるでしょうが、ボクに思いつかないので、このへんにするとして、こうやって考えていく中で、産経新聞デジタル版がこれらのデジタルのメリットを生かしているかと言えば、必ずしもそう言い切れない部分もあります。
商業新聞なので、データの複製・加工はそんなに簡単にできないのは良いとしましょう。
検索性がないのはもったいないですね。デジタル版とはいえ、例えば検索欄に「日本航空」と入力したら関連するページに飛んでいく、なんて機能はありません。あくまでも紙の新聞と同じようにめくるだけです。つまり、画像データとしての紙面は持っているものの、その裏にメタデータとしてのテキストデータを持っていない、あるいは持っているとしてもユーザーは利用できないわけです。
レイアウトの柔軟性もありません。例えば、幅が40文字分しかない画面であれば、それに合わせて文字が自動的に配置され、80文字分の画面であれば、またそれにあわせて再配置される。そういうデジタルならではの機能はなく、あくまでも紙媒体と同じレイアウトで拡大縮小して見ることとなります。
もちろん画像データ化した時点で劣化しない、省スペースというメリットは発生しているものの、デジタルならではの機能の提供には至っておらず、むしろ紙媒体をいかに再現するか、という点に重点が置かれています。

紙を画像化するだけでは意味が無い


たまたま、わかりやすい事例として産経新聞に登場してもらいましたが、こういった事例はたくさんあると思います。
今後、デジタル化への移行は必然の流れですが、単に紙からデジタルへ移行するだけだと、やっつけ仕事です。デジタルには紙にはない特性があります。その特性を生かさないとデジタル化するメリットがありません。
まだまだ今は過渡期であり、その過渡期も長く続くとは思いますが、その中でよりデジタルらしい使いやすいメディアが登場することを願っています。