非天マザー by B-CHAN

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電子書籍と電子マネーの似たような問題

電子書籍にも電子マネーにも汎用性が必要


こういうニュースがあるんですよ


iPhone 4で「WAON」「nanaco」「Edy」の利用が可能に!


iPhoneにはオサイフケータイ機能がないので、こういう商品が出てきてもおかしくないわけです。
ボクは以前書きましたが、iPhoneのケースにSuicaを入れて使っています。


iPhone 4ではストラップ付きおサイフケータイをやりやすいので実際やってみた


これはこれで便利に毎日使っていますけど、ボク個人はオサイフケータイ大賛成派なので、いつかiPhoneにおサイフケータイ機能が搭載されることを心待ちにしています。
で、今回は、おサイフケータイの話ではなく、電子マネーの話です。
これは電子書籍にも通じる話ですし、その他、例えばかつてのブルーレイディスクやDVDやビデオにも通じる話です。
何かと言うと規格乱立の問題なんですね。
ボクが考える電子マネーのあるべき姿というのは、現在の紙幣や貨幣の完全な置き換えだと思うんですよ。
つまり、少なくとも日本円を持っていけば日本中どこへ行ってもそれで買い物ができるように、日本中どこでも使える電子マネーであるべきなんです。
ところが、電子マネーマーケットは残念ながら複数規格の競争状態。
その結果、WAONはセブンイレブンで使えなくて、nanacoはイオングループで使えないなどの不便が生じています。
「お客さん、この千円札はうちの店では使えませんよ」
なんてことはないわけで、その点で電子マネーは現行通貨よりも利便性が落ちているわけです。
もちろん電子マネーならではの利点もあって、最大のメリットは現物のオカネを持ち歩く必要がないということです。
つまり、いちいち銀行や郵便局の窓口に行く必要が無くなるわけです。
現在はまだ現物のオカネと電子マネーの併存状態ですので、電子マネーに補充するときには現物のオカネが必要です(オートチャージという方法もあります)が、いずれ将来、完全に電子マネーに移行したときには、ATMという機械は不要になります。ATMにはオカネを引き出す以外に送金などの目的もありますが、その頃には送金もネットバンキングで家で簡単にできる時代になっていると期待します。
また、現物のオカネが無くなるということは硬貨や紙幣を製造する必要が無くなるということなので資源やコストの節約にもなります。
株式の世界では一足早く電子化が行われました。もう株を買っても紙の株券はありません。電子的に名義と日付と株式数がコンピューターのデータベースに登録されるだけです。これによって紙資源や印刷コストや流通コスト、名義書換の手間などが削減できたのは言うまでもありません。もちろん現物が無いわけですから紛失することも泥棒に盗まれることもありません。
そんなふうに利点の多い電子マネーですので、ボクは現行通貨と同じく、規格そのものは国家としての統一マネーであるべきだと思うんですね。
A社の電子マネーはB社系列のお店では使えないなんてユーザーには何のメリットもありませんし、現行通貨からしても退化です。
規格そのものは統一して、それに必要な端末などは民間で競争すればいいと思います。
同じ問題は今、電子書籍の世界でも起こってるんですよ。
各社が独自のリーダー(電子書籍を読むためのアプリ)を作るので、A社の本はA社のリーダーでしか読めない、ということがよくあります。
利権を守るために、各社が囲い込みをしてるんでしょうけど、出版業界にとって最大の課題は読者数を増やすこと、つまりマーケットの拡大だと思うんですね。
少なくとも紙の書籍で、A社の本を読むのにA社のメガネをかけないと読めない、なんてことはありません。
買えばいつでもどこでも誰でも読めます。
それが電子化することによって、技術的な問題ではなく利権的な問題で利便性が退化するのであれば、個々の囲い込みこそできるにせよ、ユーザーはうんざりして全体の読者そのものは減ってしまいかねません。
A社の本を読むにはA社のリーダーを起動する必要があり、B社の本を読むにはB社のリーダーを起動する必要がある。それぞれのリーダーの操作方法も異なる。そんな面倒な話はありません。
どの会社の本でも自分のお気に入りのリーダーで読みたいものです。
まずは、どこの会社のリーダーでも読める共通の文書規格を制定し、そして囲い込みでユーザーを集めるのではなく、利便性でユーザーを集めるほうがずっと将来性があります。
コンピューターの世界ではPDFがデファクトスタンダードとなっています。
それでもいろんな会社がリーダーを作っています。つまり、PDF自体は共通規格ですが、リーダーの機能をアピールしてユーザーを集めているわけです。
A社のリーダーを持っているからA社の本を買う。
ではなく、
A社の本が面白いからA社の本を買うけど、リーダーはB社のほうが便利だからB社のを使う。
それがユーザーの満足度が最大限に高まる選択です。
小さなマーケットの少ないユーザーをネガティブに奪い合うのか、それとも大きなマーケットの多くのユーザーをポジティブに奪い合うのか。
業界にとってもユーザーにとってもメリットがあるのは後者であるのが明らかです。