非天マザー by B-CHAN

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景気悪いですね、ずっと(ホンダフィットがトヨタプリウスを抑えて首位に)

プリウス、フィット、売れるクルマ

2010年に売れた商品の一つに、トヨタのプリウスがあります。
なぜ売れたか?
そこそこ安くて実用的なハイブリッドカーだから、でしょうね。
ホンダの2代目インサイトもプリウスと真っ向勝負を挑みましたが、販売ランキングではトヨタの販売力の前に後塵を拝しています。
ところで、日本の自動車マーケットで長年の間、ずっとトップの販売台数を誇っていたクルマをご存知でしょうか。
そうです、トヨタのカローラです。
1966年に発売開始されたカローラは、1969年から2001年までの33年間連続で国内全車種の中で販売台数第1位でした。
商品というのは必ずしも性能が良いから売れるわけではありません。
ブームや話題性、価格の手頃さ、安全性、扱いやすさ、デザインや入手しやすさなど、いろんな要素が影響します。
それらを33年もの間、総合的にトップの水準に維持したトヨタのマーケティング力は凄まじいものがあります。
しかし同じことが永久に続くことはありません。
2002年に遂に、ホンダのフィットが年間首位に立ちます。2001年6月に発売されたばかりのフィットは、軽自動車以外のホンダのクルマでは一番小さいクルマですが、空間設計がうまく、乗ってみると想像以上の広さを感じます。
またハッチバックという形を生かした荷物スペースも広く、されに燃費も良く価格も安いという売れる条件を兼ね備えていました。
ホンダの販売網や販売力はトヨタに見劣りしますが、そのホンダのクルマがトヨタの車を抑えてトップに立ったということで大きな話題になりました。
ちなみに2002年の年間販売台数は、フィットが約25万台、カローラが約22万6千台でした。2002年2月に日産が満を持して登場させた新しい3代目マーチが3位で約14万台ですから、いかにこの上位2車種が抜きん出ていたかがよくわかります。
その後はフィットがやや優勢ながらもカローラとの激しいデッドヒートを繰り広げました。
そして2009年に3代目プリウスが登場。先に4月に首位に立ったインサイトを抑え、5月に首位に立ってからは、2009年も2010年もずっと首位をキープしています。
そして2011年1月。
ついにプリウスが2位に陥落。トップに立ったのは再びあのフィット。


プリウス、首位陥落 フィットがトップの公算 1月新車販売


それまでフィットはプリウスに抑えられてずっと2位に甘んじてきました。
そうです。
ハイブリッドカーとガソリンカー、そもそも土俵が違っていました。
今回のフィットの勝因はハイブリッドカーを登場させたことです。
かつて、ガソリンカーの時代には、その土俵で価格、サイズ、燃費、広さなどでカローラを圧倒して首位を奪ったフィット。
ハイブリッドカーの時代になって土俵に乗り遅れましたが、再び同じ土俵に上がり、またもや価格、サイズ、燃費、広さなどがユーザーの支持を得てプリウスを抑えたフィット。
かつてフィットが登場して大ヒットしたとき、他社もフィットタイプのクルマをどんどん投入しました。それでもフィットが首位に立ち続けました。
それだけマーケットの最大公約数に近いパッケージングというわけです。
そのフィットから首位を奪って、今までプリウスが売れ続けたのは、もちろんプリウスのパッケージングが優れたという理由がありますが、もうひとつの大きな理由は、ライバルが不在だったという点です。
確かにインサイトはライバルでしたが内装デザインが奇抜なので、ユーザーを選びました。
また、他にもハイブリッドカーはいくつかありましたが価格やサイズなどでライバルにはなり得ませんでした。
つまり今回のフィットハイブリッドは初めてプリウスに対抗出来るライバルとなったわけです。
そして売れた。つまりユーザーのニーズに合致した。
プリウスよりも小さく、安く、広く、燃費が良い。
これまではハイブリッドカーであることが訴求材料になりました。
しかしこれからは、ハイブリッドカーであることはセールスポイントにならなくなってきます。
その時に、あらためてクルマとしてのパッケージングが問われます。
トヨタには、すでにプリウスを何十万台も販売したという強みがあります。
自動車メーカーは自動車を開発するに当たって、何度も何度も実験してテスト結果を元に改良していきます。
しかし、メーカーにとって一番のテスト結果は、実際の公道で毎日走っているユーザーからのフィードバックです。
今のところ世界で一番多くのハイブリッドカーを販売しているトヨタにかなうメーカーはありません。
トヨタは何十万人ものプリウスユーザーというテスターを持っているからです。
おそらくトヨタも、フィットのようなコンパクトカーにハイブリッド仕様を出してくるでしょう。
現行車種で言えばヴィッツです。ヴィッツにハイブリッドを載せてくるのか、それとも新規車種として出すのかはわかりませんが、膨大なユーザーからのフィードバックデータを持っているトヨタが打倒フィットを目指して開発するクルマは、フィットにとって脅威となるでしょう。
長々と書きましたが、何を言おうとしたかというと、低価格、低燃費、コンパクト、いずれも要するに「安上がり」ということです。
クルマ自体の販売台数は落ち込む一方ですが、そんな中でも安上がりのクルマがランキングの上位を占める。
やはり、あいかわらず景気はとても悪いということです。