非天マザー by B-CHAN

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日本という国で原子力事故の評価がレベル7に引き上げられると何がマズいか

レベル7以上はひとくくり


人間というのは防衛本能が働くので、危険を回避しようとします。
その結果、本当は危険でないものまで、念のために回避しようとすることもあります。
それによって風評被害が生まれます。
4月11日に福島原発の事故の評価がレベル7に引き上げられました。
レベル6を超える水準のものはすべてレベル7にまとめてしまうので、同じレベル7と言っても福島とチェルノブイリとでは放射能汚染度にはずいぶんと差があります。
レベルというのは便宜的な定義であるので、福島とチェルノブイリを同じ深刻度の事故だと捉えるのはやめたほうがいいでしょう。
地震の震度でも同じです。定義上は震度7までしかありませんが、実際には震度7の中でも揺れの強さにはバラツキがあるはずです。
震度6強を超える揺れはすべて震度7というレベルにひっくるめているだけに過ぎません。
さて、原子力事故レベルが7という最高レベルに引き上げられたことによって困るのは、やはり風評被害です。
同じレベル7でもチェルノブイリと福島とでは深刻度は全然違うのですが、もちろんそういう知識を持っていない人もたくさんいるわけで、そういう人たちにとってみれば、日本という国は史上最悪の原子力事故地域ということになってしまうわけです。
実際、東日本だけではなく遠く離れた九州の観光地でも海外からの観光客の宿泊キャンセルが相次いでいます。
この地図を見てください。

世界地図


福島第一原発と東京との距離は約250km。ニューヨークとワシントンD.C.との距離は約300km。
福島と九州の別府の距離は約1000km。ニューヨークからサウスカロライナまでの距離です。
これは一例としてのアメリカとの比較ですが、これを見るだけで、日本の原発事故がいかに小さな島国で起こっていて、事故現場と日本各地とがいかに至近距離であるかのように見えてしまうかがわかると思います。
きちんと数字上の距離を検証すれば、日本の大多数の地域に関してはなんら問題のないことがわかることですが、それでも日本への旅行のキャンセルが相次ぐという風評被害が発生しています。
日本人の目線と外国人の目線とは異なる。これがボクが危惧していることです。
原子力事故の評価の定義はレベル7までしかありません。
つまり、チェルノブイリと福島原発の深刻度には相当な差があるにも関わらず、表面上は同じレベルにくくられてしまい、そのこと自体が風評被害の原因となり得るわけです。
事実を正確に公表することは当然です。
数字上では確かにレベル7に該当することなのでしょう。
しかし、この評価を公表したことによって、チェルノブイリと福島が同じ程度の深刻度であるという「事実と異なる」情報や、日本全体が危ないという「事実と異なる」情報が世界を駆け巡ってしまうわけです。
そして、そのことは日本のあらゆる製品や観光資源のボイコットにつながる危険があります。
そういう意味ではボクはこのタイミングで原子力事故の評価レベルを7と発表してしまったことはマズかったんじゃないかという気がしています。
しかしいったん発表した以上、チェルノブイリと福島の事故とではまったく深刻度が異なること、そして、日本の大部分の観光資源は安全であること、出荷されている食品は安全であるという「事実」を国として全力で世界にアピールする必要があります。
この国は大震災とは無関係に毎年3万人以上の自殺者がいます。
不況が大きな原因です。
日本ブランドのボイコットが世界で起こり、さらに不況に追い打ちをかけるならば、さらに自殺者は増えるでしょう。それもまた震災の二次被害です。
政府だけではなくボクたち国民も、安全なものは安全であるということを自信を持って言えるようにしなければなりません。
もちろん嘘をつく必要はありません。原発事故が起こっているのは事実ですから、危険なものもしっかりと見極める必要はあります。