非天マザー by B-CHAN

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実際に使った人は、SHARPのガラパゴス撤退は予想できたのでは?

市場からの撤退はメーカーではなく市場(ユーザー)が決める


シャープの電子書籍端末である「ガラパゴス」が発売からわずか10ヶ月で終了とのニュースです。


シャープ、「ガラパゴス」の自社販売を9月末で終了


販売終了が決まったので、一消費者として思っていたことを正直に書いてみましょう。
評論ではなく感想です。
最初に登場したとにきには、とても自虐的なネーミングで話題になりました。
しかし、ものすごくカッコ悪い名前だと感じたのも事実です。何かの冗談かと思いました。
コンシューマー向け商品のネーミングってとても大事なんですよ。
自動車最大手のトヨタはそのあたりがうまいんです。
例えば、トヨタの海外向け主力車種である「ヤリス」は、日本人が聞いたときに、名前の響きが卑猥だということで、日本で販売する際に「ヴィッツ」と名付けられました。
ヴィッツの大ヒットはご存知のとおり。
あと、家電のテレビの世界。
パナソニックの「ビエラ」
ソニーの「ブラビア」
シャープの「アクオス」
東芝の「レグザ」
サンヨーの「カプージョ」
どれもしっかりした意味合いが込められているとは思いますが、どれとは言いませんが一つだけ響きに違和感がありませんか?何となく買いにくいような。
こんなふうに、マーケティングの観点から、ネーミングは大きな役割を果たします。
ガラパゴスという名前を聞いて喜んで買おうと思ったユーザーは少なかったんじゃないかなと推測してしまいます。
もちろん性能や機能が優れていれば名前などどうでも良くなるのも事実ですが、ではその性能や機能はどうだったのか。
大手家電量販店にはiPadなどとともに積極的にガラパゴスも並べられていました。
ボクも何度も何度も使ってみて使用感を研究しました。
ここで言っておきますが、ガラパゴスはスマートフォンや他のタブレット端末と違い、アプリの動作よりも電子書籍の閲覧を前面に押し出した端末でした。
で、実際に電子書籍を読んでみると。
とにかく遅い。
ページをめくるのがとても不快でした。
紙の書籍なら、ページをめくるときに何秒もかかることはありませんが、ガラパゴスでは待たされます。
ガラパゴスを使った直後、隣のコーナーにあるiPadを使うと非常に動作も速く、書籍のページめくりも紙の書籍と同じようにスムーズに行えます。
つまり、一番の売りである電子書籍閲覧の基本的な性能面で、すでに他機種の遅れをとっているわけです。
ちなみにソニーの電子書籍端末である「Reader」も動作は遅いんですが、こちらは画面に電子インクが使われていて、液晶画面と違って目に優しいです。
つまり他機種と比較して優位点を持つわけです。
そういう意味で、すでに電子書籍端末として優位点のないガラパゴスですが、もちろん電子書籍以外のアプリでは当然に見劣りします。
iPadなどの豊富なコンテンツを目にするとガラパゴスをあえて選ぶ動機がありません。そもそも肝心の電子書籍のラインアップですらiPadに及ばない状況です。
電子書籍専用端末なのに、電子書籍の数が汎用端末よりも少なく、電子書籍専用端末なのに、汎用端末よりも電子書籍が読みにくい。
その上、価格競争力も無い。
別にボクはAppleが好きでSHARPが嫌いというわけでは無いんですよ。
かつて、SHARPの電子手帳である「Zaurus」を使っていたこともあります。
そんなボクでも、実際に手に取って使ってみて、ガラパゴスを選ぶべき要素が何も見つかりませんでした。
SHARPの中の人、正直、ガラパゴスとiPadの好きな方をもらえるとなれば、後者を選ぶんじゃないですか?
少なくとも紙の書籍から電子書籍に移るには紙の書籍よりも便利であることを実感しないとユーザー動きません。
ガラパゴスに関しては、
「紙の書籍より面倒くさいなあ。」
という感想でした。
iPadの場合、目の負担は紙の書籍の方が少ないですが、それを打ち消すだけの便利さがあります。
iPhoneが登場する前と後では、スマートフォンの操作性はガラッと変わりましたし、普及率も大きく変わりました。
iPadが登場する前と後では、タブレット端末の操作性はガラッと変わりましたし、普及率も大きく変わりました。
それだけ多くの人がiPhoneやiPadに追随するほどiPhoneやiPadは使いやすいわけです。
人は使いにくい物は使いません。
残念ながらガラパゴスはとても使いにくいという感想を抱かせる端末でした。
その上、ネーミングも所有欲をそそりませんでした。
企業である以上、収益をあげるための事業領域を開拓するのは当然ですので、そういう意味でSHARPのガラパゴス事業は評価されるべきでしょう。
でも、固定費すら回収できない事業は、自己資本の毀損につながります。
時間と労力をかけて財産を失うという意味です。
それでは意味がありませんし、下手をすれば会社が傾きます。
ただし今回のことで得られたモノもあります。
それは経験値です。
こんな端末ではユーザーは振り向いてくれないことがわかったと思います。
本当にライバルであるiPadよりも使いやすくて便利で、iPadよりもこちらを買いたい、そう思わせられる端末が出来上がれば、また挑戦してほしいと思います。
国内企業が負けっぱなしなのは、雇用確保面などで日本人にとってデメリットが大きいわけですから。