非天マザー by B-CHAN

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ぼったくりバーはぼったくりなのに1万円もする食パンはぼったくりでは無い理由

経済学は当たらない?



うちのブログはタイトルにiPhoneという言葉を入れてますが、別にiPhone専門サイトではなく、何でもありなんですが、最近はiPhone以外のネタの迫力が欠けると自分で認識して悶々としています。
なので今回はちょっと経済学的なお話しでもしてみましょうか。
もちろん難しい事を書くと逃げて行く人が多いので、むしろ経済学に詳しくない人が納得できる感じで書くことにします。
いつも、そう心がけていますけどね。
題名に書いた「1万円の食パン」については、別に食パンじゃ無くても何でもいいです。
要は、それを見た瞬間、
「ぼったくり!」
と言われそうなモノなら。
さて、経済学というのはものすごく奥が深くて、しかも世の中の人全員に当てはまる実用的な学問です。
自分には経済学なんて関係ないと思っていても、それは本人がそう思っているだけで、実際は大いに関係があります。
でも、世の中というのは多種多様な人が存在するので、すべての人にまったく同じ条件で当てはめるのは難しいです。
そこで、「仮定」というモノが必要になります。
例えば、多くの人はおカネがたくさん入ってくると消費を増やします。
年収が100万円だった人が1000万円に増えたら、買い物を増やしますよね。
これが一般的です。
でも広い世の中には例外もあって、年収が増えても消費を増やさない人も少しはいるでしょう。
しかし、そういった例外も含めてすべてを満たす議論を一発で行うのは不可能です。
なので、
「おカネがたくさん入ってくると消費を増やす」
という仮定をするわけです。
そうすると、そこから導き出せる式が作れるわけですね。
例えば、
C=0.5Y+10000
という式。
Cは消費の大きさ、Yは収入の大きさを表します。
収入が5万円なら、消費は、
0.5×50,000+10,000=35,000円
収入が10万円なら、消費は、
0.5×100,000+10,000=60,000円
収入が20万円なら、消費は、
0.5×200,000+10,000=110,000円
と増えていきますね。
消費の大きさは景気に大きく影響を与えますから、景気を良くするためにはCを大きくする必要があり、Cを大きくするためには、
0.5かYか10000のいずれかを大きくする必要があります。
こうやって分析していけば景気対策としてやるべき事がわかってくるわけですね。
さっきも書いたように、現実の世の中には例外もありますから、この式がすべて当てはまるわけでありません。
ここで誤解しないで欲しいのは、
「だから経済学者の言うことは当たらない」
なんて思わないで欲しいと言うことです。
上記の式は、収入が増えたら、それに応じて収入を増やすという人を平均した式ですから、例外の人には例外の人に当てはまる個別の式があります。
それらをすべて合計すれば、世の中を言い表すことができますが、例外はたくさんあるので、実際にはすべての例外を言い表すことは不可能です。
その不可能というのはあくまでも物理的な話であって理論上の話ではありません。
論理的には上記の話は合っています。
例えば、もし人間が時速200kmの新幹線の2倍の速さで走れば、新幹線の半分の時間で到着します。
距離が400kmなら、新幹線で2時間かかるところと人間は1時間で到着します。
これは、
時間=距離(400km)÷速さ
という公式で明らかですよね。
でも実際には不可能です。
理論的には合っていても物理的に不可能なだけなので、理論が間違っているわけではありません。
上記の収入の話も同じですね。
だから、経済学が当たらないことがあっても、それによって理論が間違っているとは思わないでください。
景気を上げるために、日銀は公定歩合を引き下げたり預金の法廷準備率を引き下げたり(これらについてはここでは説明しません。興味があれば本を買って下さい。)、いろんな事をしてきたわけです。
なぜそれらをやったかと言えば、それは理論的に世の中がそうできている事を知っていたからですし、なぜうまく行かなかったのかと言えば、予測不可能な例外がたくさん存在したからです。
そもそも理論すら知らなければ、景気刺激のために何をやって良いのかすら全くわからず、当てずっぽうにやるしかありません。
当てずっぽうにやって外れても、その原因すらわからないのは言うまでもありません。
外れる程度ならまだマシで、もっとひどければ、当てずっぽうにやってかえって景気が悪化する可能性もあるわけです。
理論を学ぶことはとても大切なことです。


1万円の食パンはぼったくり?



さて、1斤が1万円の食パンがあったら、どう思いますか?
ぼったくりですか?
モノの取引をする場所を市場(マーケット)と言います。
ここで経済学の仮定を書きます。
マーケットでは、
その1.取引は自由
その2.情報は完全
その3.人々は合理的に動く
と仮定します。
誰かから脅されて強制的に買わされるのなら、その1.は当てはまりません。
消費者が食パンの材料や価格を知らなければ、その2.は当てはまりません。
また、まったく同じ商品が2つ並んでいて、あえて高い方を選ぶような変わり者は、その3.は当てはまりません。
ここでは、その1.その2.その3.が当てはまるマーケットを仮定します。
ここで、
1斤200円の食パンを売る店、
1斤1万円の食パンを売る店、
が存在するとしましょう。
どちらも作るための費用は1個あたり150円かかっており、前者は1個売れば50円儲かり、後者は1個売れば9850円儲かります。
消費者は、上記の、その1.から、その3.の条件で、自分に合う方を選びます。
どちらも同じような食パンなら、ほとんどの人は1斤200円の食パンを買うでしょう。
例えば1000人の消費者のうち、999人が200円の方を選んだとしましょう。
すると、店の儲けは、
200円の食パンの店:50×999=49,950円
1万円の食パンの店:9,850円×1=9,850円
結局、200円の食パンの店の方が儲かりましたね。
ぼったくり=店がボロ儲け
では無いと言うことです。
なぜこんなことになるんでしょうか?
それは市場は需要と供給のバランスで決まるからです。
価格が高すぎれば買う人の数が減ります。
上記の1万円の食パンの例ですよね。
逆に価格が低すぎれば売る人がいなくなります。
例えば上記の例で150円で食パンを売る店が現れたらどうなるでしょうか?
1個150円なので、ものすごくたくさん売れるでしょうが、費用も1個150円なので、儲けはゼロ。
つまり店は潰れてしまいますよね。
なので、こんな価格で売る店はありません。
高すぎても安すぎてもダメなわけです。
消費者が買っても良いと思い、店が売っても良いと思う、その両方を満たす価格になるわけです。
高い価格を付けると言うことは、それだけ消費者が離れていくというリスクを背負っていることになり、結果として、ぼったくりでもなんでも無いわけです。
逆に言えば、1万円の食パンを買った人は、あらかじめ材料も価格も知った上で自分の意思で買ったわけですから、ぼったくられたわけではありません。
嫌なら200円の方を選ぶ権利があったわけです。


ぼったくりバーはぼったくりではないのか?



そんなこと言ったら、ぼったくりバーもぼったくりでは無いじゃん!
という声が聞こえてきそうですね。
違います。
その1.その2.その3.を思い出しましょう。
ぼったくりバーというのは、その2.を満たしていません。
つまり、お客は他の店と価格の比較をしたわけでもなく、最後に精算するときになって初めて料金を知る事になるわけです。
情報が不完全だったわけです。


たまに、ネット上で価格比較をしていて、他の店よりも価格が高い店があると、
ぼったくり、
であるような言われ方をする店がありますが、それは言い過ぎなわけですね。
ネット上では他店との価格比較は非常にやりやすいわけですから、消費者は情報を十分に得ているわけです。
そして、さっきも書いたように、店側は価格を高く付けることで消費者が離れるリスクを背負っています。
さらに消費者も、それを買わないという権利も持っているわけです。
ですから、ぼったくりバーのようなぼったくりと、一般の店での高価格とを混同することは間違いなわけです。
あなたも、もし、価格が高い商品に出会ったときには、上記の、その1.〜その3.を思い出してみてください。


※本当はモノの価格には変動費や固定費などの概念も含まれるんですが、話が難しくなって本が1冊書けちゃうので、ここでは極端に簡単にしましたよ。


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