非天マザー by B-CHAN

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経済学を全く知らない人だけにオススメの経済学……需要と供給と物価の決まり方

需要と供給、基礎の基礎


久しぶりにマメに絵を描いた記事でーす。
ホントは基本的な経済学は義務教育に入れた方がいいと思うんですけど、日本の教育って時代の変化には対応できないので、期待薄です。
でもホントにホントに必要だと思います。
だって、世の中の全員が経済の中で生きているわけですから。
無関係な人は一人もいません。
知っていたら必ずプラスになります。
で、今回は、基本の基本の基本を書いてみます。
知っている人は読む価値ありませんが、知らない人は読んだらプラスになります。
需要と供給と物価のメカニズムについてです。
物の価格は需要と供給で決まる、とよく言われますが、具体的にどういうことでしょうか?
ここで、グラフを見てください。


グラフ1……需要曲線
需要曲線


縦軸に価格、横軸に数量を置いています。
「需要」というのは、欲しがる、という事です。
グラフの右下がりの線を「需要曲線」と言います。
直線に見えますが、一般的には直線も曲線の一種ですから、こういった分析では曲線と呼びます。
さて、なぜ右下がりなんでしょうか?
例えば、あなたの目の前に1個500円のチョコレートと1個200円のチョコレートが並んでいるとします。
どちらもまったく同じ物です。
どちらが欲しいですか?
そりゃ、どちらも同じ物なら安い方を選びますよね。
ごく当たり前の話ですが、普通、人は安い方を欲しがります。
上記のグラフの左の縦軸を見てください。
500円のところから右に点線が伸びていますよね。
需要曲線にぶつかるところで真下に伸びてます。
個数は50個です。
つまり、価格が500円なら欲しがる人は50人いると言うことを表しています。
同じように価格が200円なら欲しがる人は100人、安い方がたくさん売れるわけですね。
だからグラフは右下がりになります。
では次のグラフを見てください。


グラフ2……供給曲線
供給曲線


同じく縦軸に価格、横軸に数量を置いています。
「供給」というのは、与える、という事です。
つまり、このグラフは売り手の様子を表します。
あなたがチョコレートの売り手だと考えてください。
200円のチョコレートだと売ってもあまり儲からないし、もしかしたら材料費の方が高ければ赤字になります。
だからあまり売りたいとは考えません。
ところが、同じチョコレートが500円で売れるのなら、儲かるのでたくさん売りたいですよね。
つまり、グラフは右上がりになります。


ここまで整理すると、

  • 価格が高いと買い手は減り、売り手は増えます。
  • 価格が低いと買い手は増え、売り手は減ります。

まあ、当たり前なんですけどね。

価格の決まり方


で、ここからが本題。
2つのグラフを重ねます。


グラフ3……需要・供給曲線
需要供給曲線


はい、いきなり合成してもわかりにくいですね。
そこで、次のグラフ4を見てください。


グラフ4……需要・供給曲線の200円のケース
200円のケース


グラフ4では少しわかりやすくしました。
今、チョコレートの価格が200円だとします。
グラフの200円の黄色いところを見てください。
そのまま右に視線をずらすと、供給曲線では30個(水色)、需要曲線では100個(ピンク色)になっていますね。
つまり、売り手は200円では30個販売し、買い手は200円では100個欲しがるという事です。
欲しがっている人が100人いるのにチョコレートは30個しか売られていません。
ということは、もっと販売数を増やせばもっと売れます。
その場合、価格も値上げします。
なぜなら、もっと高くても買う人がいるからです。
では次のグラフ5を見てください。


グラフ5……需要・供給曲線の500円のケース
500円のケース


今度はチョコレートの価格が500円(黄色)です。
この場合は、売り手は100個供給(水色)しますが、需要は50個(ピンク色)です。
欲しがる人が50人しかいません。
当然、売れ残りますから、売り手は売るのをやめます。つまり数が減ります。
価格は落ちていきます。


価格が200円なら欲しい人の方が売っているチョコレートよりも多いので、もっと高く売りたい人が増えていきます。
価格が500円なら欲しい人の方が売っているチョコレートよりも少ないので、価格が下がり、売りたい人が減っていきます。
となると、どこで落ち着くでしょうか。
そうです。
需要曲線と供給曲線が交わったところです。
次のグラフ6にまとめました。


グラフ6……需要・供給曲線が交わる点
需給バランス点


チョコレートの価格が365円の点で数量は73個で需要曲線と供給曲線とが交わっています。
売り手は365円でなら73個販売してもよいと考え、買い手は365円なら73個買ってもよいと考えて、ここで落ち着きます。
これ以上価格が上がっても下がっても、数量が増えても減っても、需要と供給の数が合わず、売り手と買い手の希望価格が折り合いません。
365円という価格と73個という数量は2つの曲線の連立方程式を解いて導くんですが、ここでは、仕組みだけを示すのが目的ですから、方程式の説明は省略します。
(厳密に計算すると73個では無く、72.727個ですが四捨五入して計算しました。)
実際の世の中はこんなに単純ではありません。
チョコレートだけでもたくさんの種類がありますし、売り手も買い手もたくさんいます。
チョコレート以外の食べ物や、それ以外の要因がチョコレートの売り上げに影響を与える事もあるでしょう。
なので、実際の世の中は単純な方程式では解決できません。
しかし、複雑な現象も単純な仕組みの組み合わせでできている事を考えれば、こういった基本的な事を知っておいて損はありません。
もしあなたが企業の経営戦略を担当するのなら、マーケット調査を行い、実際の販売数量や価格を決定するときに、この知識は役に立ちます。
タイトルに経済学という言葉を入れましたが、実際はこの需給(需要と供給)バランスの理論は経済学と呼ぶほどでも無い入口の入口の基本的事項です。
例えば、東京電力のような独占企業ならどう動くのかとか、2社もしくは3社程度しかない寡占状態ならどう動くのかとか、あらゆるパターンが想定されます。
また、非常にまれなケースですが、価格が上昇するほど需要が増える「ギッフェン財」と呼ばれる物もあります。
さらに言えば、価格は変わらなくても収入が増減する事によって需要も変化します。
収入が増えるほど需要が増える「上級財」、収入が増えるほど需要が減る「下級財」という分け方もできます。
もっと言えば、収入が10%増えたら需要が20%増える「奢侈品」もあれば、収入が10%増えたら需要が5%増える「必需品」もあります。
これ以上書くと長くなるので、興味があればミクロ経済学、マクロ経済学の本でも読んでください。
繰り返しになりますが、経済学はすべての人に関係がありますから、きっと役に立ちます。


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以下の本はとても面白くてオススメですが、あらかじめ基礎的なミクロ経済学、マクロ経済学の知識があった方がより面白いです。