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非天マザー by B-CHAN

iPhoneの使い方、IT、金融、経済、不動産、保険、ビジネス、音楽、映画、ニュース、自己啓発などを語ります。

電子書籍なのに紙の書籍より安くならないのはなぜ?と思っている人たちへ。

ビジネス

電子書籍のマーケットの大きさ

このブログはタイトルにiPhoneと書かれているので、iPhoneの情報をたくさん書いていますが、単にiPhoneに関するニュースを載せるだけのブログはたくさんあるので、ボクはなるべくそうならないようにしています。
ニュースを期待する人は他のブログを読んでいただいた方が有意義です。
さて、今回はiPhoneにも大いに関係がある電子書籍のお話。
良く言われるのが、電子書籍の方が印刷コストや材料費や流通コストが無いから、紙の書籍よりも販売価格を安くできるという話です。
なので、紙の書籍と同じ価格や紙の書籍よりも高い電子書籍が売り出されると叩かれるという現象が見られたりします。
ボクはこのブログで以前からずっと言っていますが、物事(に限らず人間も)は上っ面では無く中身で評価して欲しいと思っています。
電子書籍が紙の書籍と同じ価格だから無条件に叩くのでは無く、なぜ叩かれる可能性があるにもかかわらず販売者は同じ価格を設定するのか?という理由を考えてみて欲しいのです。
同じ価格なら、コストの低い電子書籍の方が販売者が儲かりそうな気がしますが、本当でしょうか?
あなたが電子書籍の買い手では無く売り手であったなら、間違い無く紙の書籍よりも低い価格で販売するでしょうか?
世の中の多くの人は、お客であると同時にビジネスマンでもあるわけで、両方の立場に立って検証する事は仕事にも役立ちます。
では、検証してみます。
これまでにも書いてきましたが、こういう場面にも会計の簡単な知識が生かせます。
会計は世の中のすべての人に知っておいて欲しい知識です。生きている限り、会計が無関係の人はいません。
ぜひ学んでみてください。
ここでは話を簡単にするために数字もなるべく簡単にしますのであらかじめご了承くださいね。
本当は固定費と変動費とかいろんな概念があるんですが、省略します。
まず、

  • 紙の書籍

販売価格1500円
コスト1000円
利益500円

  • 電子書籍

販売価格1500円
コスト600円
利益900円
だと仮定します。紙の書籍も電子書籍も1冊の販売価格は同じ1500円で、紙の書籍は1冊売ると500円の利益、電子書籍は1冊売ると900円の利益になるとします。
「ほーら、同じ価格なら電子書籍の方が利益が大きいじゃん。同じ価格の電子書籍なんてぼったくりだ!」
と思っちゃいますよね。
でもそれは一面的な見方です。
市場規模を考えてみましょう。
電子書籍の市場は少しずつ拡大していますが、まだまだ紙の書籍の方がずっと大きいです。
上記の書籍について、例えば紙の書籍が1000冊、電子書籍が500冊売れたとしましょうか。
紙の書籍の利益=500円×1000冊=50万円
電子書籍の利益=900円×500冊=45万円
ここでもし、電子書籍の価格を1200円に引き下げて、その結果750冊売れたとします。すると、

  • 電子書籍

販売価格1200円
コスト600円
利益600円
電子書籍の利益=600円×750冊=45万円
さらに電子書籍の価格を引き下げて1000円にして、1000冊売れたとします。

  • 電子書籍

販売価格1000円
コスト600円
利益400円
電子書籍の利益=400円×1000冊=40万円
いかがでしょうか?
市場規模が小さいので、同じ価格ではたくさん売れず、価格を下げればたくさん売れる代わりに利益は下がります。
上記の3パターンのいずれでも売り手が得る利益は紙の書籍を下回っています。
ならば、売り手としては電子書籍なんか売らずに紙の書籍を売った方が儲かりますし、ビジネスとしてはそうするほうが正解ですね。
まだまだ市場規模が相対的に紙の書籍と比べて小さいために、民間企業が電子書籍をビジネスとして成立させるためには、高価格設定をせざるを得ない側面があります。
高価格で45万円の利益が取れるのに低価格にして40万円の利益しか取れなくなったらビジネスとしては失敗であり、ビジネスマンとしても経営者としても失格ですね。
最初から低価格にして爆発的ヒットを狙うという戦略ももちろんあり得ますが、価格というのは値下げというのは受け入れられやすいんですが、値上げというのは受け入れられにくいのです。
最初は高価格に設定して、その価格でも買うというユーザーを取り込んでから、売れ行きが落ちたときに在庫処分的(電子書籍なので在庫はありませんが)にバーゲンセールをやるという戦略が正当だと思います。
もちろん実際には数がたくさんうれているのに高価格を維持している電子書籍もありますが、それはそれでビジネス戦略としては正解です。
需要があるのに価格を下げるのはビジネスとしてはミスですし、あなたが会社の経営をやるときにそれをやれば失格です。
そもそも価格が高いからぼったくりというのは、それ自体が一面的な見方でしかありません。
リスクとリターンについて書いたこの記事を読んでください。


1万円の食パンはぼったくり?(経済学の簡単なお話)


また、需要と供給についてのこちらの記事も参考にしてください。


経済学を全く知らない人だけにオススメの経済学……需要と供給と物価の決まり方


今後、電子書籍の市場がさらに広がって紙の書籍を追い越すようになれば、この話は当てはまらなくなりますが、今のところ、電子書籍が紙の書籍と同じ価格なんておかしい、と断じてしまうのは、表面上の判断にすぎないということを知っておいてください。
モノの価格というのは需要と供給についての記事でも書きましたが、消費者の需要が大きく影響します。
必ずしもコストで決まるわけではありません。
例えば、同じ製造コストのコップが2つあって、1つには太陽のイラストが、もう一つにはミッキーマウスのイラストが入っていれば、後者の方が高くなります。
これは太陽のイラストのコップよりもミッキーマウスのコップの方を欲しがる人が多いからです。
そこでは製造コストは関係ありません
電子書籍でも同じで、製造コストというのは価格を決めるための1つの要素にすぎないということです。


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