非天マザー by B-CHAN

iPhoneの使い方、IT、ビジネス、金融、経済、不動産、保険、音楽、映画、ニュース、自己啓発その他。

Amazonへのマイナンバー提出メールを見て債権譲渡を思い出した

マイナンバー提出

 

ボク宛に、こんなメールが届きました。   

メール

 

 

ボクは、アフィリエイトの一種である、Amazonアソシエイトを使っています。

Amazonからボクに報酬が支払われているわけです。

すると、当然のように税務署は支払者に対して、

 

「支払い調書には支払先のマイナンバーを載せてね。」

 

と言うのです。

それで、Amazonはボクのマイナンバーを要求して来たわけですね。

 

まあここまでは良しとしましょう。

 

問題はここからです。

 

マイナンバーと言うのは、あらゆる個人情報を紐付ける大前提となる、究極の個人情報です。

原則的には他人が知ってはいけない番号のはず。

それを要求してくるからには、かなりの必然性が必要です。

うかつに教えると、悪事に使われるリスクもあります。

教える相手の素性を完璧に知る必要があります。

 

上記のメールの発信者は、三聖トラスト会計事務所です。

ボクはよく知りませんが、ネットで調べたところ、実際にきちんと存在する法人だと思われます。

 

会計事務所は、会計士や税理士を擁する、士業の中でも難易度の高い仕事集団です。

そんな、会計事務所からの上記のメールに、ボクは、あることを思い出したんです。

 

債権譲渡

 

債権と債務ってわかりますか?

AさんがBさんにおカネを貸したとします。

この場合、AさんはBさんに対して債権を持っていると言います。

また、BさんはAさんに対して債務を負っています。

貸した方が返してもらう「権利」があるので債権。

借りた方は返す「義務」があるので債務。

 

実は、債権というのは原則的には、自由に譲渡できます。

例えば、AさんがBさんに1万円を貸したとします。

そのままなら、BさんはAさんに1万円を返す義務がありますよね。

でも、AさんがCさんに、その債権を譲渡したら、BさんはCさんに返済しなければなりません。

 

どう言う場合に債権を譲渡するのでしょう。

例えば、元の債権の返済期日が3月末だとします。

しかし、Aさんは2月末までに8千円が必要になりました。

Bさんからおカネが返ってくるのを待てません。

そこで、その債権をCさんに8千円で譲渡するのです。

これでAさんはすぐに8千円を手に入れました。

一方のCさんはBさんから1万円返してもらえる債権を8千円で買ったことになります。

Cさんは3月末にBさんから1万円の返済を受ければ2千円の儲けですね。

 

Bさんは当初に必要な1万円を借りることができた。

Aさんは急ぎで必要になった8千円を回収するのに間に合った。

Cさんは2千円儲かった。

 

みんなの役に立ったわけです。

債権譲渡は便利な仕組みです。

Bさんにとっては返済する相手がAさんでもBさんでも損得は無いので、そう言う意味でも問題ありません。

 

しかし、ひとつだけ、とても大切なことがあります。

それは、債権の譲渡をした場合、必ず、元の債権者から債務者への通知が必要だと言うことです。

 

例えば、Aさんからおカネを借りたBさんのところへDさんがやって来て、

 

「Bさん、私(D)が債権を譲り受けたので、Aさんでは無く私に1万円を返してね。」

 

と言ったとします。

Bさんは、それを信じて、Aさんでは無くDさんに1万円を返しました。

これで債権・債務が消滅。

そうなるはずでした。

ところが後日、Bさんの元へAさんがやって来て、

 

「約束どおり、1万円を返して。」

 

と言ってきて、Bさんはビックリ。

聞けば、AさんはDさんのことなんて知らないし、債権譲渡なんてしていないと言うのです。

そうです。ここでのDさんはただの詐欺師だったのです。

詐欺師のDさんは1万円を持ち逃げ。

そしてAさんはまだ1万円を返してもらっていません。

Bさんは泣く泣くAさんに1万円を返しました。

 

このように、世の中には詐欺師が存在します。

それを防ぐために必要なのは、Aさんが債権を譲渡したという意思表示ですね。

上記の例ではDさんが勝手にやって来て、Aさんの意思表示もなく、やり取りが行われました。

もしBさんがAさんの意思を確認しておけば防げたんですよね。

 

と言うわけで、実際には、債権譲渡するには、債権者から債務者への意思表示(通知)が必要です。これで悪い第三者による犯罪を防げるんですよね。

 

会計事務所からのメール

 

で、最初のメールの話に戻ります。

このメールの最大の問題は、三聖トラスト会計事務所からメールが来ている点です。

つまり、マイナンバーを取得するはずのAmazonの意思表示がありません。

いわば、AmazonがAさんであり、ボクがBさんです。そして、三聖トラスト会計事務所がDさんかも知れません。

いきなりよくわからない組織から要求のメールが来ても、うかつに応じることなんてできませんよ。

必要なのは、Amazonから、

 

「マイナンバーが必要なので、三聖トラスト会計事務所にその業務を委託しています。あなたの元へ三聖トラスト会計事務所からメールが届きますが、それはAmazonの代行なので、よろしくお願いします。」

 

と言う意味の通知です。

これが今のところありません。

おかしいですよね。

Amazonからの通知が無い以上、このメールに応じる義務は何も無いわけです。

 

仮に、Amazonがマイナンバーを必要としていることがホントであっても、また、三聖トラスト会計事務所に委託していることがホントだとしても、それとは別の問題です。

手続きに不備があるってことです。

 

同様のメールを受け取ったみなさん。

このメールはもちろん、債務の返済の機会があった際にも気を付けてくださいね。

 

と言うか、会計事務所ともあろうモノが、そんなこともわからないのが不思議です。