ミス
自動車のブレーキとアクセルを踏み間違える事故。
数え切れないくらい起こっています。
その手のニュースが流れるたびに、運転者を非難する人がいます。
無意味です。
無意味な非難は時間のムダ。
踏み間違えたヤツが悪いんだ。
だから踏み間違えたヤツを処罰すべし。
それって、何ひとつメリットがありません。
自分の意思でアクセルを踏んで暴走したのなら、それはその人が悪いです。
処罰しましょう。
そして二度と自分の意思でアクセルを踏んで暴走しないように教育すべきです。
でも、世の中のこの手の事故のほぼすべては、
踏み間違い
による事故なんです。
間違いなんです。
人間は間違いを意図的に起こすことはできません。
意図的に起こした時点でそれは間違いでは無く意思なんです。
例えば、あなたが毎日毎日、仕事でパソコンにデータ入力していると、たまに間違えますよね。
何千回、何万回、何十日、何百日もずっと1度も間違えない人なんていませんし、自分の意思で間違いの箇所を決められる人もいません。
人間は間違える生き物なんです。
自動車のブレーキとアクセルの踏み間違いも同じ。
世の中にドライバーが何百万人も何千万人もいれば、必ず何人かは間違えますし、それが次はあなたかも知れないんです。
それは誰にも選べませんし意思ではどうしようも無いんです。
そう書くと、
パソコンの入力は命がかかってないから、そんなに注意しない、だから間違うこともある。
でも自動車の運転は命がかかっているから、慎重になる。だから自分は自動車では間違えない。
そう言いたがる人も出てくるんですねえ。
じゃあ、こう言うのはどうでしょう。
千個の大豆を、ツルツルの箸(はし)で、右の皿から左の皿へ移す。
1個でも落としたら大爆発して命を落とす仕掛けがある。
その場合、千個を一回も落とさずにできますか?
まあ無理でしょう。
命がかかっていて慎重になるかどうかは関係無いんです。
人間はすべての行動を完璧に制御できるようにはできてないんです。
踏み間違えた人を処罰したら、その人は未来永劫、絶対にミスをしなくなるか。
いや、無理です。
あと、ブレーキとアクセルを踏み間違える事故は、その都度、違う人が起こすんです。
Aさんを処罰したら、次はBさんが事故を起こし、Bさんを処罰したら、次はCさん。
誰かを処罰することと踏み間違い事故を防ぐことに何の関係もありません。
踏み間違い事故を処罰しても、本人も直らないし、世の中の事故も減らない。
まあ、無意味なんですよ。
人間はミスをする生き物なんだから、事故を防ぐには、
ミスをしても事故にならない仕組み作り
が大切なんです。
クルマの前後に立つな
人間はミスをする生き物と言う大原則を忘れてしまって悲劇が起こるんです。
よくあるのは、暴走したクルマに挟まれて家族が亡くなる事故。
おじいさんが運転して車庫入れしようとしてアクセルを踏んでしまって急発進し、おばあさんが挟まれて亡くなる。
よく聞きますよねえ。
もう一度言います。
人間はミスをする生き物なんです。ミスをするんですから、クルマは暴走する可能性があるんです。
だから、クルマの前後には絶対に立っちゃいけないんです。
ボクは絶対に立ちません。
以前から何度も書いていますよね。
交差点で待つときは、走ってくるクルマに注意しよう、と。
だって、人間はミスする生き物ですから、交差点で待っている人に、クルマが運転を誤って突っ込んでくる可能性があるんですよ。
実際、交差点で巻き込まれて亡くなる交通事故なんて、毎年、うんざりするほど大量に起こってるんですよ。
確率が非常に高いんです。
なのに、交差点で待つ間にスマホの画面を見ていてクルマに気付かない人たち。
あなた、1万回に1回落ちる飛行機があったら乗りますか?
乗らないでしょ?
交通事故で事故に巻き込まれる確率なんて、それよりずっと高いんですよ。
いつクルマが突っ込んできてもよけられるように交差点では走っているクルマに注意すべきです。
なぜ危険な飛行機には乗らないのに、それより危険なことは平気でするんでしょう?
こう書いても、やはり、ボクの発言に耳を貸さず、交差点で待っている間にスマホに夢中でクルマに突っ込まれて、命を落とす「罪の無い」人が出てくるんですよ。
交通事故死者数は年間に4000人くらい。
つまり、毎日10人ですよ。
今日も10人、明日も10人。
今週だけで交通事故で70人も亡くなってるんですよ。すごい数です。
70人って。
1ヶ月で300人ですよ。
ニュースで目にする事故なんてほんの一部なんですよ。
今月、交通事故で300人亡くなり、来月もまた300人亡くなるんです。
信じられますか?でも現実です。
交通事故では、圧倒的に、クルマよりも歩行者が弱いんです。
人間と言うミスをする生き物が2トンの塊を時速数十キロで走らせるんです。
絶対に事故は起こるんです。
残念ながら、人は、自分の最後の日を知りません。
いままで事故で亡くなった人たちも、それまで普通に暮らしていました。
学校へ行ったり会社へ行ったり、デートをしたり、子供を育てたり。
まさか、今日が自分の人生最後の日だなんて思わなかったでしょう。
でも、現実にたくさん起こるんです。
これを読んでいるあなたも、いままで普通に暮らしてきたでしょう。
明日、自分の人生が終わるなんて予想もしてないでしょうね。
でも実際に何人かはそうなります。
こればっかりは誰にでも可能性があります。
ただ、事故に関しては、確率を下げることができます。
その方法が、
人間はミスをする生き物である
ことを知ること。
クルマは運転ミスで自分に突っ込んでくる。
それを意識しておけば、よけられる確率は上がります。
歩行者は右側を歩きましょう、と言う基本原則もそのためにあるんです。
たった一度の事故で、被害者の人生は永遠に狂います。
普通に暮らし、普通に歩いたり走ったりしてた人でも、一度クルマに突っ込まれて脊椎が損傷すれば、その瞬間から、一生歩けなくなります。
青信号は安全と言う意味ではありません。
青信号でも無視して突っ込んでくるクルマはいます。
もちろんそのクルマに罪があるんですが、被害を受けるのは罪の無い歩行者。
罪の有る無しなんて関係無いんです。
青信号でも歩行者は必ず左右を見てから渡らないと、高い確率で命を落とすんです。
鉄道の踏切だって同じ。
遮断機が上がっていても、万が一、何かの間違いで電車が来ていれば、命を落とすのは罪の無い歩行者。
数千年、数万年前までは人類は、自然界で自己責任で自分の命を守っていました。
現代社会は自然界には存在しない高速で移動する乗り物であふれています。
自己責任以上に自分で自分の身を守らないと、生き残れないのですよ。