銀行員の偏った知識
ボクは大学を卒業して新入社員として銀行に入りました。
いわゆる財閥系の巨大な信託銀行です。
銀行員だからおカネを増やすことが上手かと思われるかもしれませんが、意外とそうでも無いんです。
今でこそ銀行の窓口で保険や投資信託が販売されますが、当時は銀行では銀行の商品しか販売できませんでした。
銀行員だから金融の知識は豊富。そう思いますよね。
ところが、保険会社に転職したときに、ボクはその別世界に驚きました。
銀行員なんて保険の知識は皆無に近いです。
あまりの保険の奥深さに打ちのめされるとともに感動すら覚えました。
保険というシステムは人類が発明したモノの中でもトップクラスの英知が結集されたモノです。
そんなボクが、その後、不動産ファンドに転職します。
ファンド、つまり、ファイナンスの世界へ。
ここでまた打ちのめされます。
ファイナンスという恐ろしく奥の深い世界があるのか、と。
貸すか差し入れるか
融資と出資。人によって定義はあいまいかもしれませんが、ここでは融資はおカネを貸すこと、出資は資本を差し入れること、つまり株と定義しましょう。
すると、銀行は前者、ファンドは後者になります。
両者はもちろん似てはいるんですが、根本的に違うのは、融資は儲けが確定されていること、出資は儲けが不確定であることが特長です。
融資は金利で儲けるので、あらかじめ金利が決まっていれば儲けも確定します。
しかし出資は株価に左右されます。すごく儲かるかもしれないし損するかもしれない。
ボクは若い時から銀行員だったので、融資の考え方でガチガチでした。
あらかじめ金利が決まっている(もちろん変動金利商品もあるんですが)ので、儲けは決まっている。
つまり不確定要素が少ないローリスクなわけです。
ここで言うリスクというのは危険性ではなく不確定性を表します。
ローリスクならローリターン。これが原則。
つまり、融資は相対的にはあまり儲からないんですね。
一方、株を買うことはハイリスクつまりハイリターン。
リスクを取りに行く人ほど大きなリターンを得る可能性があります。
ボクはずいぶん歳を取ってからこれに気づきました。
若い頃にボクがファンドや証券会社にいたら、融資よりも出資の概念が身についていたでしょう。
複利と時間
ここで強烈に身につまされるのは複利という概念です。
複利については過去の記事を読んでください。
複利という強力な武器。
その武器のエネルギーの源は間違いなく「時間」です。
単利ならあまり差は出ませんが複利なら時間が経てば経つほど加速度的に指数関数的に差がついていきます。
銀行にいたので若い頃でもそれなりに高給取りでしたが、出資の概念がなかったので、それなりに浪費もしていました。
毎月、パソコンが買えるくらいの給料がありましたから。
つまり、収入も多いけど支出も多かったので、現金資産はあまり増えません。
もしボクは最初から出資の概念を持っていれば、若い頃に高い給料をもらっていても、それを消費ではなく投資に回したでしょう。
すると時間がたっぷりあるわけですから、複利効果で、今頃は巨大な資産が出来上がっていたでしょう。
ボクの場合、残念ながら、それに気づいたのは、それなりに歳を取ってからでした。
初任給
そこで新入社員の若い人たちに言いたい。
給料をもらったら、できるだけ消費に回さず貯蓄でもなく出資(投資)に回してください。
それが分かれ道です。
10年後20年後に大きな差となって表れます。
コツコツと貯蓄をするだけでももちろんおカネはそれなりにたまりますが、出資をして複利運用した人は、それをはるかにしのぐ財産を築き上げる可能性が高いです。
時間を味方につけられるのは若い人しか不可能です。
おカネやモノは手に入れられますが、時間だけは絶対に手に入りませんから。
この4月の初任給、将来の資産家を目標とする人は、慎重に使い方を考えてくださいね。