非天マザー by B-CHAN

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1冊100円の書籍PDF化「BOOKSCAN」の是非について、合法かどうかじゃなくて

スキャン代行を合法化する

世田谷区にある合同会社大和印刷が、1冊100円で書籍をPDF化するサービス「BOOKSCAN(ブックスキャン)」を事業として開始して、大いに話題になっていますね。


1冊100円の書籍PDF化「BOOKSCAN」開始


簡単に言うと、手持ちの本を送ると、それをバラバラにして全ページ分スキャンしてPDFにしてくれるわけです。
送った本は当然バラバラになるので基本的には戻ってきません。
ここにFAQがあります。


http://www.bookscan.co.jp/faq.php


さて、何が話題になってるかと言えば、ずばり著作権法への合法性です。
小飼弾さんのこのエントリーでは合法論調です。


ブックスキャン代行サービスは合法だよね?


いっぽうで違法論調もたくさん見受けられます。
ボクは著作権法の専門家ではありませんので、合法かどうかの議論は他にお任せするとして、そもそも、このサービスの是非について書いてみたいです。
著作権法ってのは、その大きな目的が、著作権者の権利を守るってことです。
例えば、本の所有者が友人にその本を貸して、借りた友人がコピーを取れば、それは明確に著作権法違反ですよね。
著作権者に追加的に料金を支払うことなく著作物の複製を手に入れたわけですから。
では、この新サービスって、その目的から見ればどうなんでしょうか?
PDF化された本はバラバラになっているため、もはや本では無くなっています。そういう意味では、著作物が増加したのではなく、著作物の形が変わった。だから複製ではない、これが小飼さんの論ですね。
ただし、スキャンすること自体を「複製」と呼び、非複製物がどのような形で残るかは問わないという論もあります。つまり、そういう意味では非合法になります。
最終的には訴訟が行われて司法判断が出るまでは結論付けにくいです。
ボクが考えているのは、そもそも、このサービスが著作権者の権利を侵害しているのか、そして、このサービスのニーズは現行著作権法の壁を越えられないニーズなのか、ということです。
ボク個人は、法律的にはよくわかりませんが、実質的には、著作権者の権利は侵害していないと思うんですね。
著作権者はすでに本の発行時に契約に基づいた報酬(印税)を得ているわけで、それがスキャンされたことによって追加的に報酬を得られるという根拠はどこにもありません。もちろん著作物が増加したのであれば、それに対する著作料は当然得られますが、このサービスの場合は、元の本がPDFという形に姿を変えているだけで、別に増刷したわけではないんですね。
「PDFにしてしまったら、ファイルをコピーされてしまうじゃないか」
という人が出てきそうですが、それはPDFの所有者のモラルの問題であって、このサービスとは関係ありません。それでも、
「このサービスのせいでPDFをコピーする人間が出たらどうするんだ」
という人もいるかもしれません。でもそれを言い出したら、
「包丁なんかがあるから包丁で殺人するヤツが出てくるんだ」
「金属バットなんかを作るから殴られるんだ」
なんて話になります。当たり前ですが、ツールやサービスが存在することと、その所有者や利用者のモラルは別問題です。
ツールやサービスを取り締まるのではなく、所有者や利用者のモラルを取り締まるのが正論です。
PDFのコピーの話に触れるのなら、このサービスに頼まなくても自宅で本をスキャンしてPDF化することも可能ですから、それも禁止になってしまいます。
そもそも、紙の本のままでもコピーはできてしまうんですから、
「PDFはファイルコピーの懸念があるからPDF化はダメだ」
なんて人は、本の出版そのものも禁止する必要が出てきます。
このPDF化のサービスのメリットはあえてここで書くまでもないでしょう。
ボクなんかは、大量の書籍がiPhoneなどのスマートフォンで簡単に持ち運べる、というだけでもワクワクしてしまいます。
利用者にとって計り知れないメリットがあり、著作権者の権利も侵害しない、そういう事業が、もし著作権法の壁によって継続できないのであれば、ボクは法改正もありかな、と思うんですね。
法律って未来永劫変わらないわけではなく、しょっちゅう変わりますからね。法律制定時には想定していない事態も後からどんどん出てきますし。
過去、法律によって実現できなかったサービスや事業が、規制緩和によって実現し、世の中が便利になった事例はたくさんあります。今では無くてはならない携帯電話なんて、その代表格でしょう。
だから、仮にこのPDFサービスが現行法に抵触しているとしても、単に、
「違法だからダメだ」
と言うだけではなく、合理的な方向に進めば素晴らしいなと思います。
そんなふうに、ボクは個人的にはこういう便利なサービスは継続してほしいなと思っています。
もちろん、たとえ合法であっても最終的に必要かどうかは消費者が決める、というのは言うまでもありませんが。