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電子書籍はなぜ安くできるのかをちょっと掘り下げてみる

電子書籍のコスト面での利点


電子書籍って流通コストや製造原価がほとんど無いと言って良いので、開発コストを回収できれば、それ以降の売り上げはほぼ儲けになるのがメリットです。
会計的には開発コストは期間に分配されるので単純に売り上げが利益とはなりませんが、キャッシュフローの観点ではほぼ売り上げがキャッシュインフローになります。
例えば紙の書籍の話で、開発に10万円かかった本を1冊1000円で売るとします。
1冊の製造コスト(話を簡単にするため、印刷代とか流通代を含めるとします。)が1冊300円とします。
つまり1冊あたりの儲けは
1000円ー300円=700円ですね。
これが初年度に100冊売れたとします。
すると初年度は700円×100冊=7万円の儲け
とはなりません。最初にその本を開発するのに10万円かかっていますから、差し引きマイナス3万円ですね。
つまり、この本を100冊売った結果、3万円損しました。
ここまでわかりますか?会計の超基本です。
この開発費は本が何冊売れても最初の10万円です。こういう替わらないコストを固定費と呼びます。
一方の製造コストは本をたくさん作るほど増えていきます。1冊なら300円ですし10冊なら3千円です。こういうのを変動費と呼びます。
では何冊売れば本当に儲かるのでしょうか?
損失がゼロになる冊数をx(エックス)と置くと、
10万-700x=0
のxを求めれば良いわけです。
なので、x=142.857です。よって143冊以上売れば、最初の開発コストも回収できますし、1冊ごとの製造コストも回収できます。
それ以上売れればどんどん儲かります。このxの事を損益分岐点と呼ぶわけですね。
実際の会計では開発コストを初年度だけに割り当てることはしなくて、本を売り続ける期間に分配します。
例えば本を5年間売るのであれば、1年あたりの開発コストは10万円÷5=2万円ですよね。
だから、初年度に100冊売れたのなら、700円×100冊-2万円=5万円
つまり初年度の会計上の利益はプラス5万円で黒字です。
会計上は黒字ですが、さっきも書いたように、その時点ではまだ回収できたおカネとしては3万円のマイナスです。ここでやめたら損ですよね。
こんなふうに会計上の黒字や赤字と実際のおカネの差し引きがずれるのはよくあることで、企業が黒字なのに倒産することがあるのも、こういった理由からです。
おカネの流れのことをキャッシュフローと呼んでいるわけですが、企業の成績つまり業績を見るときには単に利益を見るだけではなく、キャッシュフローもつかんでおく必要があります。
決算では大きな黒字だから、将来を見越してその会社の株を買ったら、キャッシュフローの悪化によりすぐに倒産して株が紙切れになった、なんてことになったら大変ですから。
ちょっと話がずれました。
紙の書籍と違って電子書籍の場合は開発コストはかかりますが、それ以降の製造コストはほとんどかかりません。
上記で言えば、変動費が限りなくゼロ、ということですね。
例えば、紙の書籍であれば、1冊1000円で143冊売れて、最初の開発コスト10万円を回収できたとしても、それ以降も1冊作るたびに300円のコストがかかります。
つまり、1冊を300円未満の価格で売れば、また損失が発生していきます。
一方の電子書籍なら、最初の開発コスト10万円を回収できれば、それ以降は変動費がありませんから、売れば売るほど儲けになります。
極端に言えば、1冊1000円で143冊売ってしまえば、それ以降は1冊10円で売っても儲かるわけです。
安くすればそれだけ消費者も買いやすいですから、経営戦略上は固定費の回収が終われば値下げして売りまくるという考え方もできます。
これは電子書籍だけでは無く、スマートフォンのアプリにも言えます。
1000円のアプリなら10本しか売れなくても、10円のアプリなら1000本以上売れるかも知れません。
実際、例えばもし家電量販店で定価10万円のパナソニックのテレビが1台1000円で売られていたら、大ベストセラーになるんじゃないでしょうか。一人で何台も買う人もいるでしょう。
電子書籍やスマートフォンアプリではそれが可能なんですね。
売る方も儲けることが出来、買う方も破格の価格で手に入れられる。
電子書籍やアプリの価格の変動を見て、そんなふうに経営戦略を考えると面白いですよ。
で、ボクが紹介したかったのがこれ。
こういったすばらしい本も、こんなに安く手に入れられるんです。これまでに何度も書いてきましたが、本を買うというのは消費では無く投資です。
とりあえず、ボクもどんどん手に入れて読んでます。
小宮一慶さんの本なんて、今までもたくさん読んだのになあ。
この本も紙の書籍だと1470円もするんですよ。


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