App Storeの仕組み
今日は、一般の人があまり知らなくて、アプリ開発者を悩ませる話を書きましょうか。
知ってたらごめんなさい。
iPhoneのアプリ開発にはたくさんの規約がありますが、結果として開発者では無くユーザーに不便を強いる規約も少なからず存在します。
例えば、ボクがB-CHAN書店という電子書籍販売サイトを作ったとします。
これはWebページなので基本的に誰でも見に行ってWebで購入することができます。
書籍はどれも1冊100円だとします。
もしWebサイトで100冊売れたら、合計で、
100円×100冊=1万円
の収入になりますね。
さて、ボクが今度はiPhone用にB-CHAN書店アプリを作ったとします。
アプリはWebサイトよりも多機能で便利に設計できます。
ボクとしては当然、お客さんにはより便利に使って欲しいと考えますからね。
お客さんは使いにくいWebサイトよりも使いやすいアプリで書籍を購入するようになります。
ところがAppleの規約により、アプリ内での購入は代金の30%はAppleが得ることになります。
Apple社はApp Storeという便利な仕組みを提供しているので、その見返りということですね。
しかし書籍の販売者としては困りものです。
同じように100冊売れても、
100円×100冊×(100%-30%)=7,000円
簡単な計算ですが、収入は7割に減ってしまいます。
よく考えてください。
月収20万円もらっていたサラリーマンなら月収が14万円に減ることになります。
大きいですよね。
月収が減ったからと言って家賃や食費や光熱費などがそれに合わせて安くなるわけではありません。
例えば住宅ローンを組んでいる4人家族がなんとかやりくりして節約して毎月15万円で生活していたとしたらこれまでは毎月5万円の貯金ができていましたが、収入が7割に減ると1万円の赤字です。
赤字なら当然生活はできません。
収入が14万円になっても、子供は食べなきゃ育ちませんし、電気代も水道代も安くなりません。もちろん住宅ローンもです。
しかし赤字と言うことは足りないと言うことなので、自動的に生活は破綻。
家族を飢えさせるか住宅を手放すか。
これはApp Storeに限らず一般論ですが、例えば家計にせよ、企業経営にせよ、収入は簡単に変動しても費用はなかなか減らせません。
10人の従業員に20万円ずつ給料を払っている中小企業の社長さんが、売上が7割に減ったからと言って簡単に全員の給料を14万円にはできません。
すれば従業員の中には生活ができなくなる人が出てきて、他社へ転職するでしょうし、しなければ赤字になって企業は倒産、全員が失業です。
どっちにしても事業の存続が難しくなります。
売上と固定費のバランス問題は非常に大きいことなんです。
ちょっと話がそれました。
そこでB-CHAN書店のボクとしては、アプリ内で書籍を買えないように設計し、代わりにアプリ内のボタンを押せばB-CHAN書店のWebサイトが開くようにすればよいわけです。
そしてみんながWebサイトで購入してくれれば問題無し、めでたしめでたし。
ところが!
アプリ内から自社サイトに誘導してそちらで商品を買わせる仕組みも実はAppleは禁止しています。
そんなことしたらApple社は30%を取ることができませんかんらね。
むむむ。
そうなると経営者であるボクはどうすればいいか。
結局のところ、書籍そのものは最初からWebサイトだけで買えるようにします。こうすれば1冊100円が丸ごと収入となります。
そして、別途アプリを起動して、あらかじめWebサイトで買っておいた電子書籍を読んでもらう、ということです。
切ないですね。
まとめると。
- アプリ内で書籍を購入できるようにすると、Apple社は儲かり、読者は便利だが、書店側は経営が成り立たなくなって結局終了。
- Webサイトでしか書籍を購入できないようにすると、Apple社は儲からず、読者は不便だが、書店側は経営を続けることができる。
これが現時点でのApp Storeの仕組みです。
だから、実際にアプリ内で直接購入できないようなアプリも少なからず存在します
不便だなと思う人もたくさんいると思います。
でも、もし便利にしてしまうと企業売上は7割に激減するので上記に書いたように破壊的なダメージを与えることになり企業側もやむなく不便な選択をせざるを得ないということです。
何か良い解決策はありませんかね?
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