非天マザー by B-CHAN

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スティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)がマーケティング嫌いだったという誤解

Appleの強烈なブランド力 

iPhone 6 Plus

 

 

みなさん、こんにちは。

B-CHANです。

 

Appleの最新の四半期決算で驚くべき数値が発表されました。

 


iPhone無双!アップル「超優秀決算」の衝撃 | オリジナル | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

 

カリスマ経営者であるスティーブ・ジョブズがいなくなったから、Appleはもう終わりと言う声も聞かれますが、ジョブズが亡くなって3年が経過して、なお過去最高の売上を更新し続けています。

普通の会社が過去最高を更新することはいくらでもありますが、Appleの場合は特別です。

なぜなら、Appleはすでに歴史上、最大規模の会社であり、最高レベルの売上、利益を誇るからです。

その自らが持つ、史上空前の記録を、さらに更新し続けている、これは驚異という他ありません。

さらにAppleがすごいのはその利益率。

例えば、販売台数を増やしたい、シェアを増やしたいのなら、簡単です。

自動車でも何でも、無料つまりゼロ円でばらまけばいいんです。

自動車がゼロ円なら、おそらく世界中の人が手に入れ、史上空前の台数になるでしょう。

巨大なシェアを獲れます。

しかし、それと引き換えに大赤字を出すでしょう。

スマートフォンの世界ではAndroid機が大きなシェアを持っていますが、Androidスマートフォンのメーカーのほとんどが利益を出せていなかったり赤字だったりします。

数売れど儲からないのです。

一方のAppleはシェアは1番では無いものの、その利益は巨大です。

つまり高く売れているわけです。

一般に高いものは売れにくく、安いものは売れやすいのは当たり前ですが、iPhoneの場合は高くて売れているのです。

つまり訴求ポイントが価格以外の点、すなわち製品自体の魅力にあり、消費者はそこを支持しているわけですよね。

支持しなければ当然、売れないですから。

これが、メーカーとして異常なくらい高い利益率に現れているわけです。

そしてそれを何年も続けているわけです。

どんな企業でも赤字では存続できません。利益が必要で、それが潤沢であるほど、従業員にも高給や良い労働環境を提供できますし株主にも還元できます。

それが、すべての企業が目指すべきところです。

今のAppleはそういう意味でも非常に優秀なビジネスモデルを持っているわけです。

 

スティーブ・ジョブズのマーケティング

 

さて、スティーブ・ジョブズと言えば、マーケティング嫌いで有名でした。

 


「市場調査なんてクソ喰らえだ」スティーブ・ジョブズとマーケティングについて。 - 感謝のプログラミング 10000時間

 

 

マーケティングとは人々が欲しがるものを調べ、売るまでの一連のプロセスです。

と言うことは、人々と言うのは、自分が知らないモノを欲しがるはずがありません。

例えば、上記記事にも書かれていますが、人々が馬に乗っていて自動車が無い時代に、人々が欲しいモノを訪ねても「自動車」と答えるはずが無いんですよね。そもそも人々は自動車というモノを知らないんですから。

人々が知らない自動車というモノを発明し、それを与えることによって普及した。これはまさにマーケティングの手法とは異なります。

マーケティングに頼っていては新しいものは生まれないというのがスティーブ・ジョブズの考え方だと言われています。

確かに、それまでの携帯電話とはまったく異なるiPhoneが登場したのも、マーケティングとは異なる要因です。

iPhoneが無い時代の人々に訪ねても、「iPhoneが欲しい」なんて答えが返ってくるはずも無いですからね。

 

スティーブ・ジョブズそしてAppleの有名な一文があります。

 

Think different

 


Think different スティーブ・ジョブズが亡くなった日の夜に【湯川】 | TechWave

 

 

多くの人々とは違うことを考えよう。

このこと自体はよく聞くセリフですが、実際に実行できる人はごく一部です。

ほとんどの人は、人気商品を買い、ランキング上位の音楽を聞き、人気の飲食店に食べに行き、同じような生き方をします。まさに他人のやる通りに生きるわけです。

 

では、スティーブ・ジョブズはどうでしょうか。

確かに、普通の生き方ではありません。

でも、ここで気を付けるべきことがあります。

ボクが以前書いた記事を読んでください。

 


世の中の逆を行くという人は実は独創的では無いという話 - 非天マザー by B-CHAN

 

 

例えば、AさんとBさんがいて、Aさんが東へ行くといえばBさんは西へ行き、Aさんが音楽を聞くといえばBさんは聞かない。Aさんが働くといえばBさんは遊び、Aさんが寝るといえばBさんは起きる。

このBさんって、他人と同じことはしてませんが、果たして独創的でしょうか。

違いますよね。

常にAさんの逆をするということは、完全にAさんにコントロールされているのと同じです。

他人と異なることをするというのは、2つの意味があります。

ひとつ目は、他人のやることを見て、それと異なることをする。これがBさんですね。

そしてもうひとつは、他人のやることを気にせずに自分の考えでやる。この場合は、必ずしも他人と異なるとは限りません。他人からは影響されませんが、自分で考えたことがたまたま他人と一致する可能性もあります。

そしてこの場合、自分が何かを発明した場合に、もしかしたらすでに世の中に存在する可能性があるのです。

 

つまり、今まで世の中に無いモノを発明するのなら、世の中のことをよく調べる必要があります。

世の中をよく調べて、それがまだ存在しないことがわかって初めて、それは新しいモノだと言えるんです。

 

例えばスティーブ・ジョブズが他人から影響を受けずに自分の考えでiPhoneを生み出した段階で、もし同じようなモノが世間にたまたま存在したとしたら、iPhoneは目新しくもないですし独創的でもありません。

iPhoneが独創的な製品として世の中に登場するためには、世の中をよく調べて、iPhoneのようなモノが無いということを知る必要があるわけです。

 

つまり、スティーブ・ジョブズは独創的なカリスマ経営者でしたが、決してマーケティングと遠いところにいたのでは無く、世の中のこと、人々のことをよく把握し、その結果、世の中に無いモノを作ったと言えます。

上記の例で言えばBさんです。意外ですが。

 

本来のマーケティングは、人々をしっかり調査し、人々が欲しがるモノを知り、それを売ることです。

スティーブ・ジョブズは、人々をしっかり調査し、人々が知らないけれど人々が欲しがるモノを知り、それを売りました。

 

世の中の人々の動きから独立していたという意味で独創的だったのでは無く、人々の動きをしっかり調べ、つまり、マーケティングの第一段階をしっかり行い、その結果、新しい市場を作り出し、そしてAppleを巨大なブランド企業へと導きました。

 

日本企業でマーケティングが一番うまいのはトヨタ自動車でしょう。

綿密なマーケティングデータにより、人々が欲しがるクルマを作り、今や世界一の自動車メーカーです。

 

そして上記のいきさつにより、Appleは世界一の巨大企業。

人々の欲しがるモノを提供するのがトヨタで人々の知らないモノを提供するのがスティーブ・ジョブズ。

提供するモノは違えど、世の中の人々が何を欲しているか、あるいは、何を知らないか、それをしっかり把握している点で、両者は同じです。

 

スティーブ・ジョブズはマーケティングやブランドを嫌ったと言われていますが、実は、マーケティングやブランドに深く関わった人物であると言えるわけです。