世の中を変えたモノ
先日ボクは、こんな記事を書きました。
技術は日進月歩だけれど、それと人々のエクスペリエンスの変化とは別の話だと言う記事です。
例えば、自動車が登場して100年くらい経ちましたが、ほとんど変わっていないんですよね。
燃料を燃やして走るクルマから電気自動車へ変わりつつあるじゃないか、と言われそうですが、それは単なる技術の変化なんですよね。
実際にクルマを使うユーザーにとってみれば、ガソリンエンジンであろうが、電気モーターであろうが、人間を乗せて移動するコトに何ら違いはありません。
高速道路を時速80キロメートルで走る限り、ガソリンエンジンでも電気モーターでも、大して変わらないのです。
例えば、自動車が空を飛んで、あっと言う間に目的地に到着するような世界になれば、大きな変化と言えるでしょうけど、たぶん、ボクらが生きている間にはそんな時代は来ません。
では、今のボクたちが経験した、一番大きなパラダイムシフトって何でしょうか。
携帯電話
人によって意見は違うでしょうけど、ボクは時空を超越したと言う意味で、携帯電話が最大の変化だと思うんですよね。
インターネットも確かに巨大なパラダイムシフトをもたらしましたが、その本質は携帯電話と同じです。
その本質が、時空の超越です。
時空とは時間と空間です。
電話(電信)が登場して時空の概念が変わりました。
電話が登場するまでは、遠方の相手への連絡には郵便や伝書鳩などの移動手段が必要で、どうしても時間がかかりました。
いま、この瞬間の情報を、遠く離れた相手と共有できるのが電信を含めた電話です。
事実上、距離をゼロにしてしまったんですよね。
同時(時間)に遠方(空間)と情報共有。
だから、時空を超越です。
しかし、固定電話の場合、固定電話が設置されている場所まで移動する必要がありました。
そう言う意味では、その移動距離と移動時間があるので、固定電話では時空を超越したとは言い切れないわけです。
そこに登場した携帯電話。
これこそ、ホントの意味での時空の超越。
情報伝達のために、移動距離も時間も不要になったわけです。
携帯電話にやや遅れて普及したインターネットも同様に時空を超越したわけですが、それは、携帯電話の音声情報が、文字が画像などのデータに置き換わったに過ぎません。
つまり、インターネットと言うのは、携帯電話から扱うデータのタイプのみを変えたモノと言えるわけです。
そして、今となっては、携帯電話自体でインターネットを使う時代なので、その区別は無くなりました。
音声ですら、データのひとつに過ぎません。
そう考えると、現代人であるボクたちの生活に大きな影響を与えた、パラダイムシフトを起こしたのは、携帯電話だと言えると思います。
それは、自動車がガソリンから電気に代わるのとは、根本的に違うわけです。
そう言う意味では、いま、身の回りで起きている様々な技術革新は、ほぼ全て、単なるスペックアップに過ぎません。
カメラの画素数が上がろうが、コンピューターの処理速度が上がろうが、携帯電話の通信速度が上がろうが、既存の体験がするだけです。
携帯電話の登場によって時空を超越できたときのような、巨大なパラダイムシフトは、恐らくボクたちが生きている間は、起こらないと予想します。
もし、それが起こるとすれば、ボクは、iPS細胞じゃないかと予想します。
なぜなら、寿命と言う概念が無くなるからです。
寿命と言う概念が無くなれば、限られた人生の間に何かを成し遂げると言うモチベーションが消滅します。
それが良いか悪いかは別にして、次のパラダイムシフトはそこでは無いでしょうか。