ベンチャー
ボクは転職回数が多いんですが、ほとんどは、職場の消滅です。
自分の意思では人生で3つの職場を経験しようと計画していたんですが、結果的に10社くらい経験しています。
上場大企業から零細まで。
とにかく倒産しまくりですね。
ボクが心残りなのはベンチャー企業。
ベンチャー企業と言ってもすでに成長軌道に乗っていました。
ボクが入社した時点で300人ほどの従業員数の会社でした。
約2年半後に倒産するんですが、その時点での従業員数は1000人を超えていました。
毎月毎月、50人ほどの新入社員が入るめまぐるしさ。
と言っても、その企業は、新卒は一切採用しない会社だったので、全員が転職組です。
人手不足
毎月、それだけ大量の人を採用していたのは、もちろん、人手不足だったからです。
よく、無理な拡大が倒産を招いたと言われる事例がありますが、ボクが在世したその会社は、リーマンショックでの資金繰りの問題で倒産したのであって、業績拡大は関係ありませんでした。
だからこそ、残念なんですよね。
長年、利益を蓄積してきた大企業と違って、創業年数が浅いベンチャー企業は、例え業績が良くても、利益の積み立ては大きくありません。
なので、運転資金が会社の明暗を左右します。
会計的に言えば、BSがそこそこ薄く、PLは好調、CSが命運を握る、と言った状態ですね。
PLが好調と言うコトは、その事業自体は、世間から求められているわけです。
社会に役立つ仕事ですね。
なのに、まだ体力が脆弱であったために、リーマン・ショックによるデット資金引き締めは強烈でした。
業績とは関係無く倒産する。
世の中には黒字のまま倒産する企業は少なくありません。
逆に赤字でも倒産しない企業もたくさんあります。
倒産するかどうかは、業績では無く、運転資金、キャッシュフローにかかっているわけです。
ボクがいたその会社は大きく2つの部門に分かれていました。
ボクがいた部門は、最先端の金融工学を駆使していたので、世の中に人材が多く無くて、採用に苦労していました。
さっき書いた毎月50人の新入社員が入って来るのは、もうひとつの部門なのです。
ボクの部門では、人が少なく、結果として、ボクたちの労働時間は非常に長くなりました。
長時間労働かつ高給な仕事です。
ボクは、それをメリットだと捉えていました。
1日の労働時間は16時間から20時間くらいでした。
毎日、普通の人の2倍のペースで仕事ができる。つまり人の2倍のペースでスキルアップができる。
そして、平均的な給料の2倍も3倍も4倍ももらえる。
これは、キャリア形成において大きなメリットでした。
労働時間を見れば、2年半で5年分以上。
しかし、結局、会社は倒産。
面白くて有意義で人の役にも立つ仕事でも、金融機関の動きで存続の可否が決まる。
もちろん、金融機関もまた、自らの意思ではありません。
そもそも金融機関は規制産業なので自由は無いのです。
かつての花形産業もいずれは斜陽になります。
どの産業が斜陽になるかは、なかなか予想しづらいんですよね。
人生は、99%が運です。
少なくとも健康な身体に生まれて来た人は、それはその人の努力でも何でもありません。
運です。
戦争の無い平和な日本に生まれてきたのも運です。
有意義な仕事が短命で終わってしまったのは心残りですが、仮に長くできていたとしても、それは運。
そう思って、これからも生きようと思っています。
少なくとも、5年後。ボクはどんな仕事をしているのか、予想もできません。
未来が見えない人生。
わかりきっている人生と比べて、実に楽しいではないですか。