非天マザー by B-CHAN

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理解していますか?演繹法と帰納法。

論理的な思考

ロジカル

 

 

ボクはよく、因果関係と相関関係の話をします。

そして、実際に数えたわけでは無いので正確には言えませんが、肌感覚としては、9割くらいの人が、因果関係と相関関係を混同してしまっています。つまり、間違えています。

こんな風に考えているボクですら、事例によっては間違えることがあるくらい、とにかく間違っている人が多いんです。

 

で、具体的に、その話をしようと思ったんですが、今回はその前に、

 

  • 演繹法(えんえきほう)
  • 帰納法(きのうほう)

 

の話をしてみます。

ロジカルシンキングを学んだ人なら絶対に知っていると言うか、代表的な推論の手法ですね。

漢字は難しいですが、話は簡単です。

 

演繹法

 

AだからBである。このような結論を連結していくことで結論を導き出す方法です。

例えば、

 

  • 魚は水中で生きる。
  • イワシは魚である。

 

と言う前提から、

 

だから、イワシは水中で生きる。

 

と言う結論を導くことができますね。

 

他にも、

 

  • 鈴木さんには10歳の子供がいる。
  • 10歳の子供には教育を受けさせる義務がある。

 

だから、鈴木さんには自分の子供に教育を受けさせる義務がある。

 

と言う感じですね。

導かれる結論は、理論上、必ず正しいと言うことになります。

ただし、前提が間違っていれば、結論も間違いになります。

 

帰納法

 

いくつかの事実を踏まえ、そこから結論を導く方法です。

例えば、

 

  • トヨタ自動車の給料は高い。
  • 任天堂の給料は高い。
  • フジテレビの給料は高い。

 

だから、大企業の給料は高い。

 

と言う感じです。

 

  • 山田さんが薬Cを飲むと風邪が治った。
  • 佐藤さんが薬Cを飲むと風邪が治った。
  • 高橋さんが薬Cを飲むと風邪が治った。

 

だから、薬Cは風邪に効く。

 

と言う使い方もできますね。

帰納法の最大の特徴は、絶対的に正しい結論では無いと言うことです。

ホントに大企業の給料が高いかどうかを知るには、上記の3社だけでは無く、すべての大企業を調査する必要があります。

薬Cが風邪に効くかどうかは、すべての人が飲む必要があります。

しかし、すべてを調査するのは現実には無理なので、一部のデータから推論するわけです。

帰納法はあくまでもサンプルデータからの推論です。

データの数が増えれば増えるほど、真実に近づくと言えます。

テレビの視聴率なんて、すべての家庭に調査機械が設置されているわけではないですよね。

せいぜい数千軒の家庭です。

しかし、その数千軒のデータから、全体の数値をかなり正確に予測できます。

視聴率も帰納法による推測値ですね。

 

こんなのはどうでしょうか。

 

  • カモメは白い。
  • 鶴は白い。
  • アヒルは白い。

 

だから、鳥は白い。

これは正しいとは言えないことがわかりやすいですよね。

サンプルデータが少なすぎて、導いた結論の誤りがすぐにわかります。

 

薬の開発なんて、何度も臨床実験を繰り返しますが、あれも帰納的結論を導くためです。

確率論ですね。論理的に万人に絶対に効く薬の存在なんて証明できません。

証明するためには全人類にその薬を飲ませる必要がありますから。

たくさんの人に使って病気が治ったから、おそらくこの薬は病気に効くはず。

これが薬の開発です。

 

帰納法と相関関係と因果関係

 

ボクが良く読んでいるブログに、チルドさんの散るろぐがあります。

で、この記事が良い事例になりました。

 

cild.hatenablog.com

 

記事中に、こう言う箇所があります。

 

そもそも、企業でしっかりしたスキルを身につけられるのは、大企業だけだ。日本のほとんどの会社は、スキルのいらない(覚えたら誰でもできる)中小零細なのだ。

 

だいたい、中小零細の正社員は、非正規雇用者とたいして変わらないどころか、それ以下の生産性しか持ち合わせていない場合も多々ある。

 

少なくとも、僕の会社ではそうだ。正社員採用した者の半数は、不真面目で使い物にならない。

 

非常にわかりやすい帰納法のミスです。

 

自分の会社が中小企業であり、そこの社員の半分は使い物にならない、

 

と言う事実から、

 

世の中の中小企業の社員は使い物にならない。

 

と言ってしまっているわけです。

これは、

 

アヒルは白い。

 

だから、鳥は白い。

 

と言ってるのと同じで、サンプルデータが少なすぎるために起こる間違いです。

例えば、転職が10回あって、大企業から零細まで経験しているボクでも、大企業の使い物にならない社員や、零細企業のスキルの高い社員を知っています。

つまり、たかだか10社を見ただけでも、チルドさんの結論とは異なります。

チルドさんは自分の会社だけのことしか書いてませんが、たった1個のサンプルデータで、世の中の会社の一般論としてしまうのは、そもそも無理があります。

あるいは、チルドさんは、数多くの大企業や数多くの中小企業を経験したのでしょうか。

 

そして、もうひとつのミスがここで登場します。

それが冒頭に書いた、因果関係と相関関係です。

 

仮に、ある中小企業の社員が使い物にならないという事実があるとします。

では、その原因は何でしょうか。

 

  • 会社の仕組みに原因がある。
  • 会社の規模に原因がある。
  • 人に原因がある。

 

など、複数の原因が考えられます。他にもあるかも知れません。

もし会社の仕組みに原因があるのなら、それは個々の会社の個別の理由であり、大企業とか中小・零細とか、会社の規模は関係ありません。

もし会社の規模に原因があるのなら、それはチルドさんの結論が正しいと言うことになります。

もし人に原因があるのなら、それは個々の人の個別の理由であり、大企業とか中小・零細とか、会社の規模は関係ありません。

 

このように複数の要因があるにもかかわらず、その検証無しに、チルドさんは、会社規模だと決めつけてしまっているわけです。

じゃあ、ボクのように、大企業から零細企業に移った人間はどうなるんでしょうか。

いきなりボクは使い物にならなくなるんでしょうか。

と、矛盾が発生します。

 

あと、チルドさんは経験があるか無いかはわかりませんが、ボクが経験した範囲内で言えば、大企業より中小企業の方が高いスキルが求められることが多いです。

大企業は中小企業よりも知名度が高いので、中小企業よりも競争力が強く、自然にお客が集まりやすく、高い売り上げ、高い給料に結びつきやすいです。

同じ売り上げを上げるなら、大企業の社員の方がはるかに低いスキルで済みます。

また、大企業はセクションがしっかりしていますが、中小はあいまいなので、一人で複数の仕事をこなす必要があることが多いです。

つまり、大企業の社員より中小企業の社員のクオリティが低いとは言い切れないんですね。

もちろん、たまたまクオリティの低い社員が多い中小企業も世の中には存在します。

しかし、それは、たまたまそうだった、と言うだけのことです。

中小だからクオリティが低い、と言うことにはなりません。

つまり、中小・零細企業と社員のクオリティは、因果関係では無く相関関係であるだけのことです。

因果関係と言うなら、その要因を証明する必要があります。

 

今回は、演繹法と帰納法の話であるため、最後の、因果関係と相関関係の話は、はしょりました。

因果関係、相関関係については、あらためて別の記事で書きたいと思います。

 

今回は、たまたまチルドさんの記事を参照させてもらいましたが、冒頭に書いたように、これはチルドさんだけじゃなく、世の中の大半の人が混同したりミスする話です。

チルドさんは、むしろ良い参考記事を書いて頂いて感謝しています。

まあチルドさんの場合は、ボクもいつも読ませてもらっていますが、あえて炎上を狙っているかのような表現が多いので、今回も意図的にあのような書き方をしたのかも知れませんが。