コントロール
今回は身も蓋(フタ)もないことを書きます。
この世の中は宇宙の果てまで、物理法則に従って動きます。
地球上のどこでもモノを手放せば、地球の中心に向かって引力によって落下していきます。
人間はみんな違います。
例えば、あなたがウサイン・ボルトよりも速く走るのは不可能です。
それは本人の意思とは無関係なのです。
人間の行動はすべて自分の意思で動くと思われがちですが、そうでないケースがたくさんあります。
ミスもそうですよね。
文字をたくさん書いていると、時々、書き間違いをします。
それは本人の意思とは無関係です。
どこで書き間違いをするかは自分の意思では選べません。
自分の意思で選んだ時点でそれは間違いでは無いんですから。
そして未来永劫、一度も間違えずに書き続けることも不可能です。
頭痛が起こったり腹痛が起こったり。
身体のどこかを切れば血が流れたり。
それも自分の意思とは無関係です。
犯罪も意思とは無関係
料理の味は人によって感じ方が違います。
ビールを飲んだときにおいしいと感じる人もたくさんいますし、ボクのように、単に苦いだけと感じる人もいます。
その違いは自分の意思ではコントロールできないのです。
実は犯罪を犯す行動も同じです。
人間の脳は身体の各部位をコントロールするための指令を出します。
なので、身体の動きは脳に依存します。
では、脳そのものの動きはどうでしょう?
さっきから書いている人間の動作はすべて脳からの発信です。
つまり、脳の働き方が人によって違うので、感じ方も人によって違うんです。
犯罪を起こす人の行動は脳からの指令です。
しかし、脳が犯罪を起こそうと指令を出すこと自体は本人の意思ではコントロールできません。
犯罪を起こすと、つかまって刑罰を受ける。
そのことはみんな知っています。
それでも毎日のように犯罪は行われます。
それはその人の脳が悪事をしても構わないと言う思考を持っているからです。
問題はその源です。
悪事をしても構わないと言う思考を持ってしまうこと自体は本人の意思では無いんですね。
本人の意思は脳の働きによる結果であり、脳が先だからです。
つまり、生まれつき、悪事をしても構わないと言う性質の脳を持って生まれてきてしまうと、そこから、悪事をしても構わないと言う意思を持ってしまうわけです。
そして犯罪に向かう、と。
最初に、ウサイン・ボルトの話を書きました。
世界一足が速いかどうかは、生まれつきその肉体を持って生まれてくるかどうかにかかっています。
ボクがウサイン・ボルトの100倍練習してもウサイン・ボルトより速くは走れません。
それは持って生まれた肉体が違うからです。
つまり、犯罪者は、スタートラインが同じで、そこから自らの意思で悪事を行うようになるのでは無く、スタートラインがそもそも違ってしまっているわけです。
このことを読み違えると重大な差別につながります。
ボクが言いたいのはまったく逆で、人間はすべて違うと言うことです。
その多様性をいかに重視するか。
ボクがどんなに強い意志を持ってもウサイン・ボルトより速く走れないように、どんなに強い意志を持っても犯罪脳を持って生まれてしまうと、それは本人にはどうしようもないわけです。
繰り返しますが、それはボクがウサイン・ボルトより速く走れなくてもどうしようもないのと同じです。
だから、
犯罪を起こした = 悪いヤツだから刑罰を与えよう
この繰り返しでは永遠に犯罪は無くなりません。
さっきも書いたように、刑罰を受けることがわかっていても実行してしまう脳を持っているんですから。
念のためにもう一度書きますが、この記事は、そんな人を犯罪脳として差別する意図では無く、まったく逆で、そんな人に生まれたかどうかは本人の意思とは無関係なので、本人に罪は無いと言うことです。
わかりやすいようでわかりにくい例えを書くなら、洗脳です。
あなたが洗脳され、自分の意思とはまったく無関係に殺人を実行してしまったとしましょう。
そんなあなたに対して、
お前は悪事をしたから死刑だ!
と言われても理不尽ですよね。
悪いのはあなたの意思では無いわけですから。死刑自体が無意味です。
それと同じで、どんな脳に生まれてくるかは、言わば、生まれもっての洗脳なんですね。
そんな風にしてボクは世の中を眺めています。
たくさんの人間が違う性質を持って生まれてくる以上、何人かは必ず犯罪を犯します。
ボクはいままで犯罪を犯していませんが、それはたまたまボクがそう言う脳を持って生まれてきただけであって、ボクの意思では無いわけです。