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大企業は税金を払っていないとうデタラメが出回っているので解説します

大企業は税金を払っていないのか

 

みなさん、こんにちは!

B-CHANです。

 

世の中にデタラメが出回ってしまうという良い見本があるので、ちょっと説明してみます。

これです。

 

ソフトバンクの税負担は利益の0.006%! 大企業は法人税を払ってなかった|LITERA/リテラ 本と雑誌の知を再発見

 

インターネット上でもずいぶん拡散されていますね。

いかに世の中の多くの人がデタラメを信じてしまうのかがよくわかります。

なぜデタラメか、その理由はこちらで「すらたろう」さんが解説してくれています。

 

巨大企業も税金を払っています。 - すらすら日記。Ver2

結構なトンデモ本なのに売れてます、富岡幸雄中央大学名誉教授の「税金を払わない巨大企業」 : 市況かぶ全力2階建

 

事情はとても簡単で、専門的知識のない大多数の人はデタラメをそのまま信じてしまい、専門的知識のある人は、そのおかしさに気付く、というよくある話です。

上記のサイトだけではわかりにくい人のために、ボクがここに簡単に説明します。

あくまでも、専門的知識が無い一般の人に向けて書くので、細かい事は省略します。細かいツッコミはやめてくださいね、本質が伝わればOKですから。

「税金を払わない巨大企業」という本の名前だと長いので、ここでは「当該本」と呼びますね。

 

次の図を見てください。

一般的な持株会社の仕組みです。

持株会社

 

 

持株会社Hが傘下にいろんな会社を保有しています。各社の株式を持っているわけです。

実際に事業を行うのは事業会社A、B、Cです。

各社は事業を行い、利益を上げ、税金を支払い、配当を持株会社Hに支払います。持株会社Hはほとんど事業をしていませんが、管理的な仕事はするので多少の利益は上がります。

つまり持株会社は、自社の利益と、事業会社A、B、Cからの配当を得ているわけです。

自社の利益分については当然、税金Hを支払っています。

各社からの配当についてはグループ内での振替に過ぎないので税金は掛かりません。

これは別に大企業の特権ではなく、中小企業でもまったく同じ税法上のルールです。

 

当該本では、持株会社Hに注目しています。

いま書いたように、持株会社Hは自社の事業の利益と、配当A、配当B、配当Cを受け取るんですが、税金は自社の事業の分にしか掛かりません。

配当A、配当B、配当Cはすでに事業会社A、B、Cが税金を払った後のおカネだからです。

なのに当該本では、持株会社Hは、自社の利益と、配当A、配当B、配当Cの合計の数値を見て、それに対して税金Hしか払っていない、つまり税金が少なすぎる、と言っているわけですね。

おかしいですよね。

事業会社A、B、Cがすでに税金を支払い済みで、その配当を受け取って、また持株会社Hがその分の税金を払わなければいけないのであれば、それこそ二重課税になってしまいます。

その方がおかしいです。

つまり、A、B、C社はちゃんと税金を支払っているし、H社も自分の事業に関して税金を払っているわけです。

H社が受け取っている配当は、あくまでも税金を払った後のおカネです。

それとH社自身の利益を合計して、

「H社は儲けが大きいのに支払っている税金は小さい。」

というのは明らかに間違いです。

繰り返しますが、これは大企業だけの優遇では無く、中小企業でもルールは同じです。大企業特権ではありません。

 

学者による間違いの謎

 

すらたろうさんも言っていますが、こんな事は当該本の著者である富岡教授は税の専門家なので、当然知っているはずです。

知っているはずなのに、なぜ89歳になって、このような間違った本を出したのかが謎です。

 

多数決の間違い

 

ボクは日頃から、民主主義でよく見られる「多数決」は間違いを犯しやすいと言っています。

世の中の大多数の人は専門家では無いですよね。

例えば医学に関して言えば、大多数の一般人は医学の知識は無くて、一部の勉強した専門家、つまり医者が医学の知識を持っているわけです。

だから病気やケガの時は医者に診てもらうのです。

もし多数決が正しいのなら、医者などに任せなくても治療法を一般の人達の多数決で決めればいいはずです。

でも、そんなことをしたら大変なことになりますよね。医学の知識のない人たちが多数決で決めても正しい選択はできません。

 

多数決というのは、専門的知識のない一般人が数の論理で決定するので、非常に間違えやすい。

 

それと同じで税制についても一般の人達は専門的知識を持っていません。

なのにネット上ではあっという間に間違った知識が拡散します。

というか、専門的知識が無いからこそ、間違いに気づかずに拡散させてしまうのです。

多くの人達が言っているからと言って、正しいと思ってはいけません。

世論が正しいと思ってはいけません。

中身が大切です。

このブログでおなじみのフレーズですね。

人間も物事も中身が大切なんですよ。

中身をちゃんと検証しないと、罪の無い人に罪をかぶせる、つまり、えん罪を生む原因になります。

 

大企業が利益を払っていないというデタラメも、税に関する専門的知識のない一般の人達によってネット上で拡散されてしまいました。

これを読んだあなたが気を付けて欲しいのは、それを中身を検証することも無く信じてはいけないということです。

専門的知識を持った人が、きちんと理由を書いてくれているので、それをしっかり読んでほしいということです。

 

大企業批判は必要

 

ボクも大企業批判は必要だと思っていますし、このブログでも何度も書いてきました。

しかし、ウソを付いて批判しても意味はありません。

 

青信号をきちんと守って横断歩道を渡っている人に向かって、

 

赤信号を渡るな!」

 

と注意しても意味が無いですよね。言われた方も、何も直しようがありません。

批判は必要ですが、批判はきちんと事実に基づいて行われるべきです。

事実に基づかない批判をしても何も変わりませんし、そうなると批判する人は無意味なことに時間と労力を使うことになり、単に損するだけです。

世の中も良くならず、批判者も損をし、誰も得しません。

 

今回のように、単に大企業を批判するのが目的で、ウソが拡散されていくのはボクはおかしいと思っています。

批判は目的では無く、世の中を良くするための手段であるべきです。

 

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