非天マザー by B-CHAN

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金融、保険、不動産経験者が、持ち家と賃貸を語る

持ち家と賃貸 

住宅

 

 

ボクはこれまで金融、保険、不動産という主に3つの業界に身を置いています。

厳密には他の業界も経験がありますし、3つの業界でもさらに異なった複数の業界にいました。

例えば不動産でも管理をやったり仲介をやったりファンドをやったり。

 

そんなボクは持ち家か賃貸かと言えば賃貸派なんですよね。

 

賃貸と持ち家を比べると、毎月数万円ずつ長期間に渡って払っていくのは同じ構図なんですよね。

なのに持ち家を選ぶ理由って何でしょうか。

と聞くと、多くの人は、自宅を所有できること、と答えるでしょう。

 

正解

 

正直言って、どちら正解、なんてのは無いです。

好みの問題ですから。

 

ただ、ボクは、自宅を所有することの意味にどうしても疑問が湧くんですよね。

それは金融、保険、不動産を職業として経験してるからこその疑問なんです。

つまり、そういう知識が身についてしまっているんです。

 

東京や大阪などの大都市の都心に近いほど不動産価格は上がるので、都会で自宅を買うということは、多くの人にとっては戸建ではなくマンションを意味します。

戸建は高すぎてほとんどの人が買えないからです。

この、マンションというのが実に曲者。

 

建物

 

不動産には大きく分けて土地と建物があります。

会計的に考えれば、土地は減価しませんが建物は減価償却があります。

減価償却はあくまでも税制上の話ですが、それを抜きにしても、建物というのは実際に劣化していきます。

バブル経済などの特殊な要因がない限り、基本的に建物は価格が上がることはありません。安くなっていきます。

5000万円で買ったマンションを将来6000万円で売るぞ!と思っている人がいたら、たぶん狙いは外れます。

そういう意味で、建物に資産価値はありません。

少なくとも支払った金額に相当する資産価値はありません。

時間が経てば経つほどその価格はゼロに近づきます。

30年払ってやっと自分のモノになったマンションは、おそらくほぼゼロ円です。

そういう意味では賃貸と大して変わらないわけです。

もちろん、賃貸はそれ以降も家賃を払う必要があるので、その点では持ち家は有利に感じるかもしれませんが、賃貸は、その時点で、また新しい建物に引っ越すことも可能です。

しかし持ち家は30年経ってボロボロでもそのままです。

しかも修繕費用は自己負担。

マンションなら修繕費の積立や管理費の支払いはずっと続きます。

もちろん固定資産税も自己負担。

ボロボロのマンションに費用を引き続き支払い続けるか、新しい賃貸の家賃を払うか。

そう考えると、費用対効果という意味では両者、あまり違わないんですね。

しかも賃貸なら、近所のトラブルが発生すれば、わりと簡単に引っ越せます。

家族が増えれば広い建物に引っ越し、減れば狭い建物に引っ越し、柔軟に家賃の増減ができます。

 

土地

 

あと、ボクがマンションで気になるのは土地なんですよ。

タワーマンションって人気がありますよね。

あれって、要するに同じ面積の土地に大勢の人が住むわけです。

平屋の戸建と30階建てのマンション。

仮に同じ土地面積だとすると、後者は同じ面積の土地を30倍の数の人間で共有しなきゃならないわけです。

知ってますか?

マンションの敷地の名義って赤の他人と共有です。

マンションの階数が多いほど、多くの人たちと共有です。

 

さっき、建物は減価すると書きました。数十年後には価値無しです。

しかし土地は減価しません。

なので持ち家のホントの価値は土地にあるんです。数十年後にも価値があるわけですから。

しかしタワーマンションなら一つの土地を大勢で共有。

自分の持ち分なんてごくわずかですし、そもそも自分で勝手に処分できません。勝手に好みの庭を作ったりできないわけです。

高いおカネを出して自分の好きにできないちょっぴりの土地と価値のない建物を数十年後に手に入れる。

 

マンションの性質

 

しかもマンションは共同体です。

区分所有法では、全体の区分所有者の5分の4の人たちが賛成してしまえば、そのマンションは建て替えです。

老朽化したマンションは、当然のようにそういう話が持ち上がります。

するとあなたは、新たにローンを組むか、そのマンションを手放すかのどちらかです。

 

自分で好きなようにできない。

 

これがマンションを買うということです。

 

資産

 

持ち家を買うということは資産を手に入れると思い込んでいる人は、資産の意味を取り違えています。

資産というのは価値があるものです。

賃貸なら資産は手に入りません。

賃料は単なる消費で捨てるおカネです。

持ち家ならほんの小さな持ち分の不自由な土地という資産っぽいモノが手に入ります。建物は価値がないので、もはや資産ではないでしょう。

こう考えた時に、持ち家を買う意味に疑問が湧いてくるわけです。

 

ボクは以前、消費と投資の違いを書きました。

 

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そういう意味では、持ち家も賃貸も消費なんですよね。

 

資産というのは、それ自体が新たに資産を作り出してくれるモノ。

例えば、このブログは毎日、収益を生み出してくれます。

そういう意味で、このブログは資産です。

 

将来への判断

 

自分が住むための家を買うことを「資産を手に入れる」と呼ぶのは違和感があります。

同じ不動産でも収益物件なら資産と呼べます。

人に貸すことで家賃収入を産んでくれるからです。

 

実際のところ、持ち家と賃貸とどっちが得か、なんて永遠の議論が起こるくらいですから、それくらい両者の関係は微妙なんですよ。

仮に持ち家がホントに得なら、そんな議論になりませんから。

 

ボクたちの世代は将来、ほぼ確実に年金で生活するのは不可能になります。

だから、単なるイメージとか夢で、なんとなく判断するのではなく、きちんと正確に検証して判断して、困らないようになってほしいです。

 

家を手に入れた。資産を手に入れた。だから老後は安泰。なんてことはさっき書いたように、ちょっと無理があります。

 

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