分譲マンション
賃貸マンションでも分譲マンションでも共通の困った問題があります。
それは部屋による価格差です。
例えば分譲マンションの場合。
分譲マンションとは部屋を買い取るタイプのマンションのことです。
例えば、302号室を5000万円で買った人がいるとします。
その後、他の部屋は2年ほど売れ残りました。
このまま売れないとマズいので売主は価格を4000万円に引き下げ、ようやく売れました。
すると、先に5000万円で買った買い主が文句を言います。
なぜ同じ階で同じ間取りのほとんど同じような部屋なのに、自分は1000万円も高く買わされたんだ、自分にも1000万円返せ、と。
みなさん、どう思います?
買い主の言うことが正しいと思いますか?
実は、買い主の主張はおかしいんです。
この世の売買契約はすべて、その価格で売主と買い主が合意した契約です。
この買い主はその部屋を5000万円で買うことに合意したわけです。
例えば、スーパーで売られる野菜なんかがわかりやすいですね。
毎日、価格は変動します。
気候が悪くて収穫量が少なければ価格は上がりますし、多ければ価格は下がります。
昨日、キャベツが200円で売られ、今日、キャベツが150円だった場合、昨日のお客さんに50円返す必要があるでしょうか。
そんなことをしていれば、何年も返金のリスクが発生し、商売になりません。
さらに言えば、逆もありうるわけです。
5000万円で売れた後に景気が良くなって、次の部屋は6000万円で売れたとします。
すると、5000万円で買った買い主に、後になって、さらに1000万円出せと言えますか?
当然、言えません。
あくまでも302号室は5000万円で売買するという契約に合意しているわけですから。
後から安くなったからと言ってカネを返せと言う権利があるのなら、逆に、後から高くなったら追加でカネを出す義務も課さないと公平では無いですよね。
賃貸マンション
ボクは賃貸マンションの管理の仕事をしています。
築年数が長い賃貸マンションの場合、当然、部屋によって家賃のバラツキが出てきます。
10年前から入居している人と、いま入居した人とで、同じような部屋でも家賃は違っているのは当たり前です。
そりゃそうです。
景気も変わりますし、入居時の建物の古さも違います。
でも、やはり同じようなことを言ってくる人はいます。
いま、新規で入居募集している部屋は月額5万円だけど、自分が借りている部屋は同じ間取りなのに6万円だ、だから下げろ、と。
これもおかしいんですね。
6万円でその部屋を借りることに合意しているわけですから。
もちろん、景気が極端に悪くなって、6万円と言う家賃が不当に高いと考えられるのなら、交渉の余地はありますが、単に他の部屋と違うからと言う理由では、大家さんは値下げに応じる義務はありません。
契約はあくまでも当事者の話。
他人が違う条件で契約したからと言って、いったん合意した契約を破棄しなければならない義務は双方に無いわけです。
物価は一律では無く、需要と供給によって常に変動する。
それが当たり前だと思ってください。
そして、契約は双方の合意であることも認識してくださいね。
いったん合意して成立した契約を後から破棄できるようにすると、世の中はメチャクチャになります。