非天マザー by B-CHAN

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タッチパネルの恐ろしさ

工業製品の美しさ

 

 

Apple製品はデザインが優れていると言われます。

正直、デザインと言うのは主観によるので、デザインが良いかどうかは、個人個人の好みによります。

でも、一般論として、客観的に美しいと言われるデザインの理論もあります。

それは、分割線の少なさ、です。

 

例えば、こんなスマートフォンがあるとしましょう。

ボタン

 

 

上図のスマホでは、本体前面中央下部に押しボタンがあります。

スマホ本体のパーツとボタンのパーツは別々です。

なので、本体とボタンは分割されています。

 

一方、下図のスマホはどうでしょうか。

タッチパネル

 

 

この場合は、ボタン部分はタッチパネルになっており、スマホ本体の一部です。

なので、分割線が存在しません。デザイン的に四角い枠を描いていますが、これはあくまでも模様です。

 

上の2つのスマホの本質的な違い、わかりますか?

前者はボタンが別の部品なので、別の製品にも流用できます。

ひとつの種類の部品を複数の製品に使い回す。

工業製品では良くある話ですね。

すると、前者のスマホは、部品を他のスマホと共用していると言う意味で高級感は低くなります。

後者のスマホは、ボタン部分も本体と一体化しているので、他のスマホに使い回すコトができません。

このスマホの専用設計です。

前者のスマホは他の製品にも使い回される汎用部品が使われ、後者のスマホは専用設計。

当然、後者のスマホは高級スマホです。

iPhoneなんかは高級スマホなので、他の製品と使い回されている汎用部品は外観上は少ないんですね。

他社の安いスマホは価格を下げるために汎用部品が多用されています。

プラスチックのフタがあったりしますよね。

分割線が多いのです。

高級感は下がりますが、その分、価格は安くなります。

 

自動車の車内でも同じ現象が見られます。

高級車では、エアコンなどが一体化していますが、安いクルマでは、エアコンははめ込み式になっていたりします。

自動車で言えば、バンパーもわかりやすいです。

商用車のバンパーって黒いコトが多いですよね。

黒いバンパーなら、クルマのボディの色とは無関係に使い回せますよね。

もし、赤いバンパーにしてしまうと、そのバンパーは赤いボディのクルマにしか使えません。

昔は、一般の自動車でも黒いバンパーが使われていましたが、最近のクルマでは商用車以外ではまず見かけなくなりました。高級感を増すためですね。

スポーツタイプのクルマで意図的に黒いバンパーなどを使うケースを除いては、基本的にはバンパーはボディ同色になりました。

 

 

タッチパネルは見る必要がある

 

 

iPhoneは高級スマホと書きました。実際、価格も高いです。

Appleは懸命に分割線を減らそうとしています。

昔のiPhoneは丸いホームボタンが実際に丸い部品でした。

その後、ホームボタンはボタンでは無く、丸いタッチパネルに変わりました。

そして最新のiPhoneではホームボタンはありません。

分割線を無くしたわけです。

イヤフォン端子を無くしたのも同じ理由です。

e-SIMが普及すれば、カード型のSIMカードを入れる必要が無くなるので、SIMカードスロットも無くせます。実際、Appleはe-SIMを推進しています。

将来のiPhoneでは、音量ボタンやサイレントスイッチも、物理的なスイッチでは無くなると思います。

無線通信と非接触充電が高性能化すれば、Lightning端子もUSB-C端子も不要になります。

そうなれば、iPhoneは分割線の無い、単なる板になります。

それを目指しているはずです。

 

分割線や汎用部品のはめ込みが減れば、故障も減ります。

スキマを無くせるので、水やホコリの侵入も防げます。

 

基本的にはメデタイですね。

 

しかし、恐ろしいのは、すべてがタッチパネル化、無線化し、物理的な可動部品が無くなれば、手で触って判断するコトができなくなる、と言うコトです。

 

テレビのリモコンを思い出してみてください。

ずっと使って慣れてくると、テレビのリモコンって手探りで操作できますよね。

チャンネル変更と音量操作くらいはカンタンです。

でも、このリモコンを見てください。

 

huis.jp

 

 

こうなると手探りでは操作できません。

その代わり、物理的なボタンでは無く、画面表示なので、いくらでも機能の追加ができます。

高機能と引換えに、手探り操作を失うわけです。

 

ちょっと面倒ですよね。

 

ボクが恐ろしいと考えているのは、クルマの操作系のタッチパネル化です。

運転中の携帯電話の操作は違法です。

同じコトですよね。

クルマの各種操作がタッチパネル化すれば、それはもう、携帯電話の操作そのモノです。

運転手は前方への注意が散漫になり危険です。

 

自動車メーカーは、くれぐれも、自動車の操作はタッチパネルを基本としないコトを貫いて欲しいです。

もし、タッチパネル操作をする部分があれば、走行中には操作できない仕組みや、音声コントロールできる仕組みを必須にして欲しいですね。

 

iPhoneはかなりの操作を音声で行えますし、音声フィードバックがあります。

視覚障害者にもある程度、使用可能。

 

ボクも最近、視力が落ちる中、スマホの文字もやや読みにくくなりました。

見るコトを前提に作られた機械は、見なくても操作できるコトを必須にしないと、これからの高齢化社会では普及が難しいと思います。