学力
このニュースを見た人、多いと思います。
要するに、大人の学力低下の話です。
このニュースを見たときに、
「へえ、そうなのか。」
と単純に思ってしまった人は甘い。
これほど疑問が湧くニュースも珍しいですからね。
つまり、ニュース自体が怪しいということです。
もちろん理由はあります。
スラッシュ
今回の調査対象が20歳代の技術者というのがヒント。
若い人たちです。
幼い頃からパソコンにも慣れている人たちが多いでしょう。
その前提で次の図を見てください。
Aのパターンで問題が出題されたのだとすると、2通りの解釈ができますよね。
ポイントは"/"(スラッシュ)記号です。
1/3と表示されている場合、ひとかたまりで、「三分の一」とも解釈できますし、「1割る3」とも解釈できます。
もし、「三分の一」と解釈したのなら、Aの数式の回答は1ですし、「1割る3」と解釈したのなら、Aの数式の回答は9です。
つまり、Aのように出題されたのなら、解釈が2通りあるために、回答も2分されてしまいます。
この場合、どちかかが誤答とされてしまっても、それは学力の低下とは何の関係も無い訳です。
パソコンでプログラミングをする人なら、スラッシュは割り算の意味で常識的な記号ですし、プログラミングまではしなくても、エクセルでの数式入力でもスラッシュはおなじみです。
もし、上記のBのように出題したのなら、確実に回答は1が正解です。
それでも正答率が低かったのなら、学力の低下を疑っても良いでしょう。
しかし、今回のニュースでは、そのあたりがはっきりしません。
もし、Aのように出題されていたのなら、解釈によって回答は分かれますから、正答率は、学力に関係なく落ちるのが当たり前です。
まずは、AなのかBなのか、きちんと情報が開示されないと断定できません。
なので、今回のニュースを読んだだけで、
「学力が低下しているんだな〜。」
と思ってしまう人は思考が甘いです。
もっと言えば、このニュース自体が、そういう意味では甘すぎるんですよね。
冤罪を防ぐ
今回は良い事例でしたが、世の中には論理的に考えて疑わしいニュースがたくさんあります。
しかし、それを深く考えることなく、断定してしまう人がたくさんいるのも事実。
そして、その結果、誤った判断をして、何の罪もない人を犯人だと決めつけて、自宅に抗議電話をする人がいたりします。
迷惑そのモノですよね。
みなさん、ニュース(に限らずあらゆる情報)は鵜呑みにせず、まずはきちんと論理的に考えましょう。
それが本当に善悪を判断する大きな源泉になります。