はんこ
自民党のはんこ議連が、はんこ制度の継続を要求しているそうです。
これに関しては、自民党の支持・不支持に関係無く、がっかりした人も多いと思います。
理由としては、はんことITの本質を議連の人たちが理解していないからです。
ボクは別に、古いモノを捨てて新しいモノを取り入れよう、と言うつもりはありません。
古くても良いモノであれば活用したほうが良いわけです。
しかし、はんこに関しては、古い新しいの議論では無く、その仕組みが問題だらけなのです。
- 印影さえ手に入ればカンタンに偽造できるのでセキュリティは最悪。
- はんこを押してもらうために出社すると言うコストのムダ。
ボクは先日、労働生産性に関する記事を書きました。
日本はこの20年30年で世界の先進国からは取り残され、相対的に所得も減り、生活が苦しい人が増えました。
なぜなら生産性が低いからです。
なぜ生産性が低いかと言えば、生産性を高くする仕組みを取り入れないからです。
制度と文化
日本では昔、速く移動するのに馬を使っていました。
では、日本の文化を守るためにいつまでも馬に乗っていたらどうでしょうか。
世界の国々がクルマを使う中で、日本だけが馬。
もう、明らかに競争に負けます。
競争に勝つコトは人々の所得を押し上げ、豊かになるコトを意味する反面、競争に負ければ、所得は減り、貧困な生活が待っています。
古き良き馬の文化はボクも好きですが、文化と制度を間違えてはいけません。
馬の文化は残せば良いでしょう。
現に馬を育成する施設は日本にもいくつかあります。
でも、文化では無く制度としては、馬よりもクルマを使うしかありませんし、現にそうやって日本は世界の先進国の仲間入りを果たしたわけです。
はんこも同じなんです。
日本の文化として、はんこを守り通すのは大いに良いコトだと思います。
でも、文化では無く制度にまで、はんこを残せば、それは大いに足を引っ張ります。
世界の中ではんこ制度のある国はわずか。
いちいち決裁に時間のかかるはんこ制度を維持していては、日本は今後、ますますじり貧になります。
外国企業が1時間で完結するサービスを日本企業は2時間かかるとなれば、日本離れが進みます。
当然、働く人たちの収入は減っていきます。
はんこ議連の人たちが持っている認識は完全に的外れです。
やるべきは、はんこ文化の維持と、はんこ制度の撤廃です。
ただでさえ生産性が低くて、世界から取り残されつつある日本で、わざわざ足を引っ張る制度を残して、国民にどう言うメリットがあるんでしょうか。
はんこ議連の人たち、いや、全政治家は、既得権の維持よりも、将来、国民が得る利益の維持拡大に努めて欲しいモノです。
元号も同じなんですよね。
元号と言う文化は日本の文化としてこれからも維持すれば良いと思います。
でも、実務面で、元号と西暦が混在していると、その変換だけで、時間コスト、もしくは金銭コストが余分にかかり、不利な競争に身を置くコトになります。
文化と制度を混同せず、制度はどんどん改革して、生産性を上げ、日本国民を苦しい生活から飛躍させる。
これは、政治家の大事な仕事だと思います。
数十年に渡って、それができていないからこそ、日本の生産性は低迷し、所得も低下しているわけです。