人間をはるかに超える速さ
ボクは5年ぶりにパソコンを買ったわけですが、買った目的のひとつが、最新のスペックを手に入れること。
パソコンは毎年、どんどん進化しています。
画面は高精細に、音質も向上し、そして処理速度も高速化しています。
ボクが子供の頃、必死でプログラミングを勉強したMSXと言うパソコンは、画面の発色数が16色、解像度は横が256ドット、縦が192ドット、3重和音の音楽を演奏できました。
CPUのクロックは3.579545MHz。、メモリーは64KB。外部記憶装置はカセットテープでした。
家庭用のテレビに接続して使っていました。
一方、ボクが買ったばかりのiMacは、CPUのクロックは3.4GHzつまり3400MHz。MSXの1000倍です。もちろん同じCPUではないので、単純にクロック数の差が処理速度の差ではありません。今のパソコンの方が1000倍どころかもっと速くなっています。
メモリーは40GBにしました。MSXの625,000倍。とんでもない進化です。
画面はiMacの5kモデルは27インチ画面で、横が5120ドット、縦が2880ドット。
つまり、iMacの1画面の中にMSXの画面が300画面収まることになります。
音楽はiMacはもちろんハイレゾ対応。4Kの映像もラクラクと処理します。
進化とは別の話
じゃあ人間はこの数年間に進化したかと言えば、実はほとんど変わっていません。
コンピュータは人間が作り出したモノですが、人間の方は、数年とか数十年程度ではほとんど変化しません。
平均身長が高くなったとか、顔がほっそりしたとか、食べ物や環境に影響されたと思われる変化はありますが、基本形はほぼ同じです。
30年前の人間に比べて今の人間の足の速さが10倍になったと言うことはありません。
人間の進化は遅く、コンピュータの進化は猛烈に速い。
囲碁の世界ではすでにコンピュータが人間を打ち負かしている。
そんな恐るべきコンピュータですが、大きな弱点があります。
それは、ボクはこの3つだと考えます。
- 顔の評価
- 料理の味
- 芸術
基準が無いんですよね。
美人やイケメンの基準はありません。目と目の間が何cmなら美人だとか、顎の長さ、鼻の角度など、どれも定義はありません。
人によって基準が異なるからです。
料理の味もそうですよね。
ビール大好きな人もいれば、ビールの苦みが苦手な人もいる。ボクのように。
同じ味でも人によって感じ方が違うんです。
つまり、おいしさを定義するパラメーターがありません。
そして、もっともあいまいなのが芸術。
絵画でも音楽でも文学でも。
理論的に人間の脳細胞を完全に再現できるコンピュータがいつか発明されたとしても、それをもって人間のクローンとなりうるんでしょうか。
そのとき、「彼ら」は、人の顔をどう感じるんでしょうか。
料理の味をどう思い、音楽を聴いてどう影響されるんでしょう。
現在、コンピュータは大量生産品です。
同じ製品なら、どれも同じ性能です。
しかし人間は絶対に同じ「規格」が存在しません。
人間を超えるコンピュータが世界を支配する。
そのとき、その「人格」は何を思うんでしょうか。
コンピュータによる世界征服の懸念。
でも、同じ性能のコンピュータがあふれかえったとき、ただコンピュータ同士の対立が起こるだけで、人間にとっての懸念ってホントに起こるんでしょうか。
自我と同等の他者が存在する時点で、コンピュータ同士の抹消が始まるのでは?
コンピュータの弱点を考えると、そんな未来が想像されるのです。