収益物件
みなさん、不動産屋さんと言えば不動産を売る仕事だと思っているでしょう。
その通りです。
ホントは、幅広い仕事ですが、今回は、不動産を売る仕事に絞って話をします。
ボクは現在、不動産を売る仕事をしています。
自分が勤める会社が不動産を保有していて、それを売るのです。
他の業界と同じですが、安く仕入れて高く売れば利益が出ますし、それができなければ倒産です。
パン屋さんが小麦粉や光熱費や人件費や家賃より安くパンを売ってしまえば倒産しますよね。
それと同じ。
どんな仕事でも、安く仕入れて高く売って儲けるのです。
普通の住居なら、それでOK。
しかし、世の中には、収益物件と呼ばれる不動産があります。
たくさんあります。
普通の住居は、例えば、木材やコンクリートなどの材料費や大工さんの人件費などが3000万円かかったとして、それを5000万円で売れば、2000万円の儲け。
それだけです。
でも、収益物件は違います。
収益物件で一番身近なのは、賃貸アパート。
1億円で賃貸アパートを買ったとします。
すると家賃収入が入ってきます。
家賃が1年で1千万円入って来るなら、利回りは10%です。
今どき、銀行に1億円預けて、年利10%の預金なんてありませんよね、低金利なので。
不動産だとあります。
実際には、修繕などの費用もかかるので、手取りでは800万円くらいになるとしても、それでも、1億円の投資で、1年で8%の利回り。
銀行預金より、ずっと儲かります。
その代わり、ハイリスクハイリターンの原則。
例えば、その賃貸アパートに空室ができれば、その分の家賃収入は無くなりますよね。
銀行に1億円預けて、金利1%だと、1年後に預金を引き出せば、1億円と100万円が返ってきます。
上記の収益物件を1億円で買って、利回り8%だと、1年後に1億円で売れれば、1億円と800万円が返ってきます。
このように、不動産と言っても、保有期間中に収益が発生する物件を、収益物件と呼ぶわけです。
普通の住宅を買ったとしても、空いている部屋を誰かに貸し出す、いわゆる民泊をやれば、それも収益物件になります。
売るのが難しい
で、ボクが売っているのが、収益物件。
不動産でも何でもそうですが、安いモノは売れやすく、高いモノは売れにくいです。
あなたはどちらを選びますか?
- 1年で1000万円の家賃収入がある1億円の賃貸アパート。
- 1年で1000万円の家賃収入がある2億円の賃貸アパート。
物件のその他の条件が同じだとすれば、当然、前者を買った方がオトクです。
前者の利回りは10%で、後者は5%です。
物件価格が安ければ利回りは上がり、物件価格が高ければ利回りは下がる。
そう言う関係にあります。
当然、市場では、利回りの高い、つまり安い物件から売れていき、利回りの低い高い物件が売れ残ります。
それでも、仕事としては売らなきゃならないのです。
売るコトで生計を立てている会社は売らなきゃ倒産ですから。
あなたはどうしますか?
高い物件を買ってもらう方法。
悪い不動産屋さんなら、あの手この手で買主を言いくるめて買わせるかもしれません。
もちろん、それはダメですね。
実は、不動産には大きな特徴があります。
それは、評価額です。
評価額と言うのは、税務署が決める価額です。
例えば、銀行に2億円の預金があれば、それは原則的には税務署は2億円と評価します。
そのままですね。
相続が発生したら、それに相続税がかかります。
ところが不動産の場合は、評価額が減ります。
市場価格で2億円の不動産物件でも、それが賃貸アパートであれば、評価額はグッと小さくなります。
例えば、評価額が1億円になったとしましょう。
それに相続税がかかります。
当然、相続税は安くなりますね。
と言うコトは、2億円の預金を持っている人に、2億円の収益物件を買ってもらえば、その人の相続税は減らせます。
上に書いたとおり、2億円の物件は利回りで見ればオトクでは無いかも知れません。
なので投資向きではありません。
でも、相続税と言う面から見れば、オトクなわけです。
なので、そう言うお客さんを探せば、高い不動産が売れます。
お客さんは相続税を節税できてハッピー。
不動産屋さんは売上ができてハッピー。
まさに、Win-Winの関係ですね。
ここに書いたのはあくまでも考え方であって、正確な税額は税理士が計算する必要がありますが、不動産とは、そのような使い方もあるってコトで、今回、記事にしてみました。
もちろん、不動産は広さや用途や位置や時代によって評価は大きく変わるので、一概には言えませんが、現金や預金のようなそのままの評価とは異なる性質があるコトをしっておけば、もしかしたら、トクするかもしれませんよ。
と言うわけで、何か心配な人は、専門家に聞いてみてくださいね。
ボクでも結構ですし。