一棟収益マンション
日本の法律ではマンションとは、2戸以上の区分所有される部屋を持つ建物を言うので、一棟収益マンションと言う言い方は変なんですが、まあいいでしょう。
要するに、建物全体をひとりのオーナーが所有していて、それぞれの部屋を誰かに貸している、そんな建物を、一棟収益マンションと、ここでは呼びますね。
この場合、部屋の借り主は、そのマンションのオーナーと賃貸借契約を結びます。
30戸あるマンションなら、オーナーは30契約を結ぶわけですね。
分譲賃貸
一方、日本の法律で言うトコロのマンション。
これは、分譲マンションです。
各戸ごとに販売されていて、それぞれの戸ごとに所有者つまりオーナーが異なります。
30戸あるなら、30人のオーナーがいます。
管理の違い
一棟収益マンションなら、オーナーはひとりなので、各室の所有者もそのオーナーですし、建物の廊下やマンションの玄関などの共用部の所有者もそのオーナーです。
しかし、分譲マンションなら、大勢で所有しています。
各戸はそれぞれのオーナーが所有していますが、廊下やマンションの玄関などの共用部は、オーナー全員で共同所有している状態です。
そのオーナーたちが集まって管理組合が成立しています。
共用部は管理組合つまりオーナーがみんなでおカネを出し合って、清掃等のメンテナンスを行うのです。
ややこしいのが、各戸を誰かに貸すケース。
この場合、その部屋のオーナーが貸し主であり、そのオーナーと借り主が賃貸借契約を結びます。
しかし、廊下等の共用部は、そのオーナー個人のモノでは無く、オーナー全員のモノなので、部屋を借りた借り主にとっては、直接的な関係は無いわけです。
例えば、一棟収益マンションの廊下の掃除が手抜きの場合、部屋を借りた人は、そのマンションの管理会社に言えば良いのです。
ところが、分譲マンションの1戸を借りた人の場合、借りたのはあくまでもその住戸のみ。
借り主と、そのマンションの管理会社とは、直接の利害関係に無いんですよね。
これが借り主にとって理解しにくいのです。
こんな話があります。
一棟収益マンションの301号室から騒音が聞こえる場合、302号室の借り主は、そのマンションの管理会社に連絡します。
管理会社は、ひとりのオーナーから全室の管理と建物のメンテナンスを請け負っているので、当然のように、各戸のトラブルに対応します。
一方、分譲マンションの場合、301号室のオーナーが委託した管理会社と、302号室のオーナーが委託した管理会社は別です。
さらに、管理組合が委託した管理会社も別に存在します。
つまり、分譲マンションの各戸が賃貸に出されている場合、その戸数だけ管理会社が存在し、さらにそれらとは別に建物共用部の管理会社も存在するのです。
だから、301号室がうるさいからと言って、建物の管理会社にクレームを入れても、
いえ、当社は建物の管理会社ですので、各戸の問題にはタッチできません。
と答えます。
これはこれで正しいのです。
分譲マンションは、あくまでも、同じマンションの中に、複数の所有者が存在するので、各戸間のトラブルは各戸で解決するしかありません。
でも、それぞれの住戸を借りた人には、わかりにくいんですよね。
これから、部屋を借りようとする人。
それが、一棟収益マンション(つまりオーナーがひとり)なのか、それとも分譲賃貸なのか。
そこは気を付ける方が良いと思います。
この話、業界の人にはよくわかるんですが、一般の人には理解しにくかったかも知れません。