読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

非天マザー by B-CHAN

iPhoneの使い方、IT、金融、経済、不動産、保険、ビジネス、音楽、映画、ニュース、自己啓発などを語ります。

無借金経営って良いこと?(ファイナンスの基本)

ビジネス ファイナンス

借金は収益アップのための手段のひとつ

ボクは、金融、不動産系に長らく携わっており、ファイナンス関連もなかば趣味と化しています。
そこで、一般の人にもわかりやすく、かつ、役立つ話をしてみましょう。
今回は、無借金経営の話です。
ほとんどの企業は借金があります。これを専門的には「負債」と言います。
たまに、
「我が社は無借金経営です。」
と誇らしげにしている経営者がいて、それを聞いた人も、なんとなく、無借金って良いことだな、なんて思ってるのではないでしょうか?
でも、実際には、無借金経営が良いとは限らないのです。
具体的に説明しましょう。
とある無借金の会社が現金を10万円持っているとします。
例えば、1000個のモノを販売するとしましょう。
仕入れは1個100円として1000個で合計10万円ですよね。
これを1個150円で販売すると、
150円×1000個で売り上げは15万円。
つまり、5万円の利益になります。
厳密には人件費などの販売管理費というものも発生しますが、ここでは話を簡単にするために無視してください。無視しても理論は同じですから。
さて、もし上記のケースで、あと20万円借りてきて、さらに2000個仕入れた場合はどうでしょうか?
合計3000個を仕入れますから仕入れ代金は30万円です。
それがもし、同じように1個150円で全部売れたら、売り上げは45万円。
仕入れ代金を引けば、利益は15万円になります。
ただし借りた20万円は利息を付けて返す必要があります。
金利が年間5%だとしたら、もし半年後に返済した場合、
20万円×5%÷2で5000円。つまり売り上げの中から、元本の20万円と金利の5000円を返済する必要があります。
すると、残った利益は、14万5000円。
いかがでしょうか。
一つ目の事例では現金を10万円しか持っていませんでしたから、それを全部使って5万円の利益を上げることができました。
二つ目の事例では現金10万円と借り入れ20万円を使って、最終的に14万5千円の利益を上げることができました。
つまり、同じ現金10万円の会社でも、借り入れという手法を使うことによって、たとえ金利というコストを払ったとしても、9万5千円も余分に稼ぐことができたわけです。
この、元から持っている自分のお金を自己資本と呼び、借りてきたお金を他人資本と言います。
10万円の貯金がある会社が5万円の利益を上げることと、同じく10万円の貯金がある会社が14万5千円の利益を上げること、もちろん後者の方が商売上手ですよね。
こうやって同じ元手を持ちながら、他人資本を上手く使って稼ぐことを、「レバレッジをかける」と言います。
ほとんどの企業はこうやって少ない元手でできるだけ大きな利益をかせぐ為に借り入れをしてレバレッジをかけているわけです。
専門用語では、自己資本の調達をエクイティ(Equity)ファイナンス、他人資本の調達をデット(Debt)ファイナンスと言います。
エクイティは自分のお金ですから返済義務はなく、デットは他人のお金ですから返済義務があります。
代表的なエクイティファイナンスは株式発行です。
ところで、すでにお気づきかもしれませんが、こうやってどんどんレバレッジをかければどんどん儲かるんじゃないか、と思うかもしれません。
でもそれは、あくまでもすべての商品が完売したら、という前提なんですよね。
もし、上記の2番目の例で余分に仕入れた分が全然売れなかったとしたら、商品在庫が山のように残った上に、借金も返済できません。
そうなると倒産です。
デットファイナンスにはそういうリスクがついて回ります。
この事例では話をわかりやすくするために極端な数字を使ってみました。
実際にはもっと緻密に計算します。
つまり、どれくらいの割合でレバレッジをかけるのかは、マーケットの需要と供給のバランスや、資本コスト(金利など)を総合的に考えた上で決定する必要があるわけです。
レバレッジが高すぎれば倒産リスクが高まり、低すぎれば利益もあまり出ない。
高く儲けるには高いリスクを受け入れる必要があり、逆にリスクが低ければ、あまり儲からない。
まさにハイリスクハイリターン、ローリスクローリターンの原則ですね。
だから、一番最初に言った、無借金経営の会社は、
「うちはあまり儲からない会社です」
と宣言しているとも言えるわけです。
そういう会社の株価は、当然、上がりません。
10万円の株を買って5万円の配当を行う会社と、
10万円の株を買って14万5000円の配当を行う会社、
この事例では極端すぎますが、一般的にはより高い利益を出して高い配当を行う会社の株が買われますよね。
無借金経営が必ずしも良い経営ではないというお話でした。
トヨタ自動車なんかは10兆円以上の負債がありますし、ソフトバンクもボーダフォン買収にレバレッジド・バイ・アウトという手法で2兆円以上の負債を戦略的に作りました。
それらも簡単に言えば、稼ぐための手法なわけです。
ソフトバンクが過去最高益を叩き出したのは記憶に新しいところです。
経営者には、常にそういった資本戦略が求められます。


関連記事
国は税金で動いている(高速道路の無料化はなぜダメなのか)
株はギャンブル?(ファイナンスの基本)
国の借金が1000兆円になるニュースを聞いても何が問題なのかがよくわからない人へ
消費と投資と読書と既得権益と正社員解雇