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非天マザー by B-CHAN

iPhoneの使い方、IT、金融、経済、不動産、保険、ビジネス、音楽、映画、ニュース、自己啓発などを語ります。

SoftBankが買収するスプリントの赤字は良い赤字???

iPhone ビジネス

黒字でも倒産する


このブログではiPhoneの話題を中心にファイナンスその他、数多くのジャンルの事を書いているわけですが、専門家向けでは無く、むしろそれらの知識が無い人向けに書いています。
小学生でもわかればいいな、という気持ちで書いています。
今回はSoftBankのスプリント買収について、ちょびっとアカウンティング(会計)の事を書いてみます。
まずはこれを読んでみてください。


「ソフトバンク、日米買収の裏にアップルの影(日経より)」


はい、読んで理解できたでしょうか?むしろ理解しにくかった人が多かったのでは?
別にこの記事が悪いわけでは無く、むしろ非常に興味深い良記事です。
ただし理解するためにはある程度の会計知識が要求されるので、理解しにくい人も多いだろうという話です。
そこでちょっと簡単にかみ砕きます。
SoftBankが買収するスプリントという会社はここのところ赤字経営です。
多くの人が心配しているのは、そんな赤字会社を多額の負債を抱えて買収して大丈夫?ということなんですね。
ここでひとつ知って欲しいのは、会計上の赤字と企業の存続に関しては必ずしも結びつかないということです。
例えば日本でもソニーやパナソニックやNECなど、ものすごく巨額の赤字決算を出しながら存続している会社もあります。
一方で、黒字でも倒産する会社もあります。
会計の知識が無ければ、「なんで黒字なのに倒産するの?」と思うでしょう。
実は企業の倒産というのは業績不振が原因で起こるのでは無いからです。
ここでは詳しく書きませんが、倒産は資金が不足することが理由なんです。
例えば、とある企業が今年の1月1日に銀行から100万円を借りたとします。返済期限は12月31日とします。
その100万円で材料を買ってきて製品を作ったとします。
その製品が11月1日にとある企業A社に150万円で売れたとします。
すると今年の決算は、
150万円 - 100万円 = 50万円 の黒字です。めでたしめでたし。
しかし企業の取引というのは通常は現金のやり取りはしません。
11月1日に売れたからと言って、その日にすぐに150万円が入ってくるわけでは無いのです。
いちいちそのつど現金払いなんかしてたら経理処理が大変すぎるので、通常は複数の取引の分をまとめて数ヶ月後に一括で支払います。
A社からの支払いが翌年の1月31日だとしたらどうでしょうか?
今年の決算は黒字ですがおカネが実際に入ってくるのは来年です。
しかし銀行への返済は今年の12月31日ですね。
間に合いません。残念!
こういうのを「不渡り」と言います。
不渡りってのは、1回くらいなら許してもらえるんですが、2回もやるともう終わりです。
これが倒産です。
超簡単に書いてしまったので、細かいツッコミはあるでしょうが、要するに、決算は黒字なのにおカネが足りなくなって倒産が起こるわけです。
せっかくものを売るという事業としてはうまくいったのに社長さんが会計知識不足のために上記のように潰れてしまう会社は意外と多いんですよ。
で、そういう社長さんとは逆で、本業そのものの専門家では無いけれど、おカネに関するプロなのがSoftBankの孫さんなんです。


スプリントの赤字の仕組み


では赤字であるスプリントという会社の仕組みを説明します。
例えばスプリントがAppleからiPhoneを1台5万円で仕入れるとします。
それをスプリントはお客さんに1台2万円で販売します。
すると1台売れれば3万円の赤字ですね。
こうなるとiPhoneがたくさん売れれば売れるほど赤字は大きくなります。
今のスプリントは売れなくて赤字なのではなく、たくさん売れてるから赤字がふくらんでいるわけです。
これだけならもちろんダメです。
しかしiPhoneを買ったお客さんが今後毎月5千円の料金を払ってくれるならどうでしょうか。
6ヵ月使ってくれれば3万円になるので、その時点で赤字分はチャラになり、それ以降はプラスになりますよね。
iPhoneがたくさん売れれば売れるほど、スプリントは、売った時点での赤字は大きくなりますが、後から取り返せる額も大きくなります。
まさに損して得取れというヤツです。
一般の人は赤字という表面的な事象だけを見て心配するわけですが、孫さんは、将来の収益を見越した、という話です。
似たような話はゲーム機の業界でも言えます。
任天堂やソニーなどはWiiとかPlayStationと言ったゲーム機本体は赤字でも良いのでなるべく安く売ります。
安ければ安いほどたくさん売れ、その分、赤字の額は大きくなります。
しかしゲーム機がたくさん売れるほど、ゲームソフトがたくさん売れます。
ゲーム機本体の赤字をゲームソフトで取り返す、これがゲーム機ビジネスであり、実際、これまでは任天堂はこれで巨大な利益をあげてきました。
孫さんがスプリントを買収した狙いはいくつかあるんですが、重要なのは決算上の赤字かどうかよりも、将来の企業価値なんですね。
つまり、赤字であっても倒産しなければ良くて、そのためには上記で書いたように資金調達が何よりも重要になります。
今回、2兆円近い資金調達を行ったのも、スプリントにとっては非常に有効で、孫さんも、また資金を貸し付けた複数の銀行もそれを当然見越しているわけです。
もちろんビジネスなので必ずうまく行くかどうかは誰にもわかりません。
いずれ、孫さんが6年前にボーダフォンを買収したときに行ったLBO(leveraged buyout)という手法についてもわかりやすく説明してみたいと思います。


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