会計
世の中の人間を大別する方法は色々あります。
性別で分ける方法。
血液型で分ける方法。
出身地で分ける方法。
大人か未成年かで分ける方法。
そんな分け方のひとつが会計について。
そうです。
世の中は、
- 会計を理解している人
- 会計を理解していない人
とに分けられます。
後者の人たちは、根本的に会社の仕組みを知らないので、例えば、
内部留保が多すぎる!
と言う、意味が良くわからない主張をします。
専門用語として内部留保という言葉は会計上には無いので、そもそも内部留保をどう言う意味で使っているのでしょうか。
会社の内部におカネを貯め込んでいることを内部留保と呼んでいるのでしょうか。
であれば、資産、資本、負債の概念を基礎から勉強した方が良いと思います。
時価総額
ボクは別に、細かい用語の意味を、重箱の隅をつつくような指摘をしたいわけではありませんし、重箱の隅をつつくのであれば、ボクも完璧な人間では無いので、むしろボクがつつかれることもあるでしょう。
そんな細かい話では無く、基礎的な概念を知ってほしいと思うことはたくさんあります。
例えば株式会社の一般的な仕組み。
株式時価総額の意味。
例えば、ある会社を興すのに、100万円が必要だとしましょう。
50万円は銀行からの借り入れ。残りの50万円は株式を50株発行するとします。
話をわかりやすくするために数値はカンタンにしてあります。
株式50株で50万円なので、1株1万円で発行ですね。
銀行からの借り入れ50万円は返済する必要があります。負債ですね。
一方、株式を発行して得た50万円は返済義務はありません。
会社としては、株主に50万円で50株を売ったわけです。
これを自己資本と言います。
銀行は、50万円を将来、返済してもらい、それだけだと商売にならないので、金利ももらいます。この金利が銀行の儲けですね。
このように、負債に関しては話はカンタンです。
ややこしいのは、株式。
株主は、会社が負債を返済した後の残りを得る権利があります。
例えば、この会社がこの100万円で事業をして300万円売り上げて費用が100万円だったとしましょう。
利益は200万円ですね。
最初に100万円でスタートした会社の財産が計300万円に増えました。
仮にここで銀行に100万円と金利の10万円を返したとしましょう。
すると会社に残るのは190万円ですね。
これはすべて株主の財産です。
50万円を払った株主の財産が190万円に増えました。
ここで会社を解散すれば、190万円を50株で山分けします。
1株あたり3.8万円です。
1株1万円で買った株主は3.8万円を得られるので、2.8万円の儲けですね。
このように、ビジネスがうまく行けば儲かる代わりに、ビジネスが失敗すれば、会社の財産が減って、1万円で買った株が1万円未満に減る可能性もあるわけです。
負債はあくまでも決まった金額を返済する借り入れ。
株式は金額の保証の無い投資。リスクが高い代わりにリターンも大きいわけです。
ところで、さっきの会社が儲かって1株3.8万円の価値があるなら、そもそもその株を1万円で買わなくても、2万円で買っても株主は儲かりますよね。
3万円で買っても儲かります。
ボクだって、その株を欲しいです。
事業を継続すれば、来期も儲かるかもしれません。
そうすれば、株の価値もさらに上がっていきます。
つまり、一番最初に発行したときの株価は1万円でも、将来の業績予想が高ければ、その株の価値は上がります。
これが株価の変動要因です。
上場株であれば、株の売買は自由に行えます。
株によって最初に会社に入ってきたおカネは50万円だけです。
しかし、その株は証券取引所で取引されて、価格が変動します。
株の価値が3.8万円になると予想すれば、その株を2万円で買いたい人も3万円で買いたい人も現れます。
逆に4万円で買いたい人は、まずいません。
こうやって株価は決まっていくんですね。
常識的に考えれば、上記の話では、株価は理論的には3.8万円になります。
それ以上高く買えば損ですし、安く買えば儲かるからです。
繰り返しますが、事業を継続して、将来、さらに会社が利益を出すと考えれば、株価も上がります。
最初に会社が発行するときの市場を株の発行市場と言い、上記の例では1株1万円です。
そして、いったん発行された株を株主同士が売り買いする市場を株の流通市場と言い、会社の業績や業績予想によって価格は変動するわけです。
例えば、ボクはAmazonが将来、多くの利益を出すと思っているので、今のうちにたくさんのAmazonの株を買っています。
上記の会社の場合、資本金は、
1万円 × 50株 = 50万円
そして株式時価総額は、
3.8万円 × 50株 = 190万円
です。
現時点で時価総額が世界一の会社はAppleですね。
約9,000億ドルです。
つまり、Appleの株主全員が持っている株の価格を合計すれば約9,000億ドルになるってことですね。
これは、さっき言ったとおり、負債を返済した後のAppleの会社の全財産が9,000億ドル以上あると株主が考えていると言うことです。
株をやっている人なら耳にする、PBRと言う言葉。
Price Bookvalue Ratio
です。
これは、
株価 ÷ 1株あたりの株主資本
を意味します。株主資本とは、負債を返済した後の会社の財産です。
PBRが1倍であれば、株式時価総額と会社の財産は一致します。
PBRが0.7の会社があるとします。
株価の方が会社の財産より安いわけです。
てことは、例えば、7,000円でその会社の株を買って、すぐに会社を解散すれば、1万円が手に入ることになります。
だから、PBRが1倍を割っている会社の株は割安と言われるんですね。
株はギャンブルだと言う人もいますし、それを全面的に否定するつもりはありませんが、少なくとも、会計に関して何の知識もない人にとっては、株は正真正銘のギャンブルであり、サイコロを振るのと変わりません。
しかし、今回のようなことを頭に入れて、相対的に安い株を見つけることができれば、あるいは、事業の将来性を考えて銘柄を選ぶことができれば、株は単なるギャンブルでは無いと言うことがわかると思います。
株価が上がるのには、その理由があります。
株価が下がるのには、その理由があります。
投資をするなら、自分でまったくコントロールできないギャンブル投資をするよりも、少しでも有利な投資をした方が良いと思いませんか?
ボクは100社近い会社の株を保有していますが、少なくとも、その株価の指標が割安かどうか、その会社の直近の業績と、そのマーケットの将来性はじっくり考えていますよ。
それでも確実に儲かるかどうかはわかりませんが、少なくともギャンブル投資をしている人よりは有利だと思います。