安すぎるアプリの価格
スクウェアエニックスから出たばかりの、iPhone版の、
がヒットしています。
iPhoneに登場した時点の価格は1800円。iPhoneのゲームとしては異例の高額にも関わらずです。
多くのゲームが無料か115円、大手ゲームメーカーでも450円か600円という設定に慣れてしまったiPhoneユーザーから見れば驚くべき高額です。
iPhoneにアプリはすべて電子的に配信されるため、製造コストと流通コスト、在庫コストはゼロだと考えて構いません。
ですので、従来のゲーム機のようにDVDなどの物理的なメディアで販売するよりもコストを大幅に抑えられることは間違いありません。
それにしても価格差が大きすぎる気がします。
例えば大手ゲームメーカーで開発費が1億円かかったとして、600円で販売すると16万本ほど売って、やっと収支ゼロです。
つまり16万本売ってもまったく事業にならないのです。
実際には開発費だけではなく、固定費も含めて配賦すべきコストはいろいろありますから赤字です。
製造コスト流通コスト在庫コストがゼロですから、キャッシュフローで考えればすぐには倒産にはつながりませんが、長期的にはゲーム会社の衰退を招きます。
おそらく任天堂などの他社も将来的にはダウンロード販売が主流に移行していくと思います。
そのときの価格設定はとても重要です。
たとえば、顧客の購買力を考えてみれば、1800円でも高いと言うことは無いんですよね。
これまでは1本5000円前後するゲームが100万本売れる例がいくらでもあったわけですから。
もちろん物理的なメディアのゲームは、遊び終わったらリサイクルショップに売ることができますから、実質的な負担は下がります。
リサイクルショップに持ち込むタイミングによって買い取り価格は大きく変わりますが、仮に50%だとしても5000円のゲームなら2500円。やはり1800円のiPhoneアプリでも決して高くは無いと思います。
少なくとも各種コストが減らせるのはメーカー側の話であって、ユーザーには関係の無い話です。ユーザーにしてみれば、従来は5000円で買っていたものが1800円で買えるわけですから負担減になっています。ダウンロード版だからといってゲームがつまらないという理由にはなりません。
しかもリサイクルショップへ売ってしまうともう遊べませんが、わずか1800円で購入したゲームはずっと遊べます。
そういう意味では115円前後の設定は一部の開発者を除いて、かなり厳しい数字だと思います。
サラリーマン並みの手取りで毎月25万円を確保するのは難しいでしょう。
115円のアプリなら5000本売ってもアップルに3割取られて手取りは402500円。そこから開発などに諸経費が30%かかるとして、約28万円が手取りです。
しかもサラリーマンならそれが毎月安定して入ってきますが、アプリなら、毎月毎月新規で5000本が売れ続けないとこの収入は確保できません。サラリーマンよりも圧倒的にリスクが大きいです。
そういう意味では、115円という下限に張り付いているアプリのマーケットはいずれ淘汰されて衰退する危険があります。
iPhoneの魅力の一つは多くの開発者がいることによる豊富なアプリ数なんですよね。その魅力が失われるのは、iPhoneユーザーにとってデメリットです。
今のところはiPhoneは最も売れているスマートフォンですから、そんな心配は無用だと思いますが、長期的にはそういうリスクが出ると思います。
そういう意味では今回のファイナルファンタジー3の価格設定は高いようで高くない、現実的な設定だと思います。
オリジナル版を5000円以上で買った人から見れば十分に安いんですから。