非天マザー by B-CHAN

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Apple(アップル)とSamsung(サムスン)に限らず世の中パクリだらけ

iPhoneのパクリ製品は多い


Apple(アップル)とSamsung(サムスン)の法廷闘争が面白いです。
いろんな争いをしていますが、大まかに言うと、Samsungのスマートフォンがアップルのスマートフォンに似すぎている、つまり、パクリ、だというAppleの主張が通るかどうかです。
Appleの信者の人たちは当然のようにパクリだと言いますし、昨今の日本と韓国の領土問題のこじれから、日本人もSamsung製品はパクリだと言う人が多いようです。
ボクのスタンスはどの会社も支持しない、つまり、第三者であり客観的に書きたいということは前から言っています。


どこかの企業のファンになることは損という考え方


ボクは今はSoftBankのiPhoneを使っていますが、SoftBankのファンでも無いですしAppleのファンでも無いです。
SONYのテレビを持っていますがSONYのファンでも無く、シャープの冷蔵庫、日立の電子レンジ、PRADAの財布を使っていますが、シャープのファンでも日立のファンでもPRADAのファンでもありません。
以前は、いすずやホンダのクルマに乗っていましたが、別にいすずやホンダが好きだからでは無く、それらのクルマがボクの目的と合致していただけのことです。
どこのブランドであるかどうか、よりも、モノが良いかどうかで選んでいるだけです。
良いモノを選び、結果としてそれが、たまたまAppleのモノであったり、シャープのモノであったりするわけです。
そんな風に、どこの企業にも偏らずに、このAppleとSamsungの法廷闘争を見て思うのは1つ。
iPhoneとSamsungのスマホが似ているかどうかと言えば、ぶっちゃけ、そっくりです。
というか別にSamsungだけの話では無いです。
iPhoneが登場する以前の携帯電話やスマートフォンは、ほとんどが上部に画面、下部にハードウェアキーがありました。
それがiPhone登場後は、右へ倣えするように長方形を目一杯使った画面のタッチパネル操作の形に変わっていきました。
あきらかにパクリです。


iPhone以外でもパクリ製品は多い


これは実はiPhoneだけの話では無いです。
かつて、携帯電話の初期の頃にも、NECの折りたたみ式の携帯電話がヒットしたところ、他社もこぞって折りたたみ式を採用し、ほとんどの機種が折りたたみ式になりました。
パクリです。
ノートパソコンの形を考えてみてください。
初期の頃はいろんな形がありましたが、今では大半が上部に画面、下部にキーボード、その手前にタッチパッド。どこが最初にやり出したのかは知りませんが、大半の機種がパクリです。
自動掃除機で有名なルンバ。円形で部屋中を動き回って掃除して自動的に充電場所に戻ってくるというヒット商品です。
これも今や多くのメーカーがそっくりなモノを出しています。パクリです。
自動車はどうでしょう?
例えばセダン。前方にボンネットがあってエンジンが入っており、真ん中はキャビン、つまり人が乗る箱ですね。そして後部にトランク。ほぼ100%この形。パクリです。
書籍はどうですか?たくさんの紙が左右どちらかで綴じられています。パクリです。
冷蔵庫は?電子レンジは?エアコンは?自転車は?鉄道は?扇風機は?
結局、世の中の製品って、大半はパクリなんですよ。
わざと、パクリ、という言葉をたくさん使ってみましたが、ここでは悪い意味では使っていません。
製品というモノには、利便性、経済性、デザイン性など、いろんな要素が求められます。
人間の身体の特性が世界中でほぼ同じである以上、利便性などを追求していくと、製品設計は似たようなモノになっていくんですよね。
例えば、冷蔵庫。
縦長で横にドアが開く冷蔵庫を作ったらパクリ、だと言われてしまうと、それを避けるために、上下に開く冷蔵庫を作らざるを得ないかも知れません。
しかしそんな冷蔵庫は不便なので、きっと売れないでしょう。
あるいはスライドドアの冷蔵庫を作るかも知れません。しかし非常にコストがかかりそうです。結果、商品価格が上がって売れません。
結局、最初に横開きの冷蔵庫を作ったメーカーだけになってしまい、独占によって価格も上がりますし、選択肢もありませんから、ユーザーにとって何のメリットもありません。
つまり、大半の冷蔵庫はパクリであっても、パクリだからダメ!と言ってしまうと、実は良い事はほとんど無くなってしまうんですよね。


パクリはダメな事なのかどうか


それでも意匠権とか著作権といった概念が存在するのは、それらの権利者を保護するためです。
冷蔵庫の例で言えば、A社の冷蔵庫と完全に同じデザインの冷蔵庫をB社が売り出せば、パクリでありアウトです。
しかし、同じ高さ、同じ幅、同じ奥行き、同じ重量、同じ消費電力、同じ開き方というだけでは、パクリではあってもアウトではありません。
パクリはパクリでも、アウトになる範囲とセーフになる範囲があるということです。
そして、そのアウトとセーフの範囲を決めるのはとてつもなく難しい事です。
単に数値上の類似性なら明確な基準を設ける事ができますが、さきほどの冷蔵庫の例でもわかるように、単にサイズが全く同じというだけではアウトにはなりません。
デザインというのは千差万別なので絶対的基準を設ける事はほぼ不可能なんですね。
AppleとSamsungの法廷闘争の難しさもそこにあります。
最初の方にも書きましたけど、iPhone登場以降のスマートフォンはほとんど右へ倣えしたようにiPhoneタイプに変化しました。
要するにSamsungに限らずにほとんどがパクリです。
Appleが1つのプライベート(公的では無い)企業としてSamsungを訴えることは当然の行動ですし正しい事です。株主価値を守る必要があるわけですから。
ただし、この法廷闘争にAppleが勝訴したところで、Samsung側はデザインを少し変えた(対して変わらない)スマホを登場させて訴訟を回避すれば済んじゃうんですね。
なぜなら、少しでも似ている製品がパクリ訴訟の対象となってしまうのなら、すでに書いたように、世の中の製品の大半はパクリでアウトになってしまうからです。
でも実際にはそれは起こりません。
となると、パクリ訴訟で負けたのなら、次は負けない範囲でのパクリ商品を出せば良いだけですから。
iPhoneがなぜヒットしたかという1つの理由に、その操作性の良さがあります。
ボクも初めてiPhoneを使ったときには、その使いやすさと滑らかな動作に驚いたものです。
であるならば、他社もその操作性の良い製品のパクリを出せば、ユーザーにとっては使いやすい製品の選択肢が増える事になり、メリットは大きくなります。
もちろん中には劣化版のパクリもありますが、それはパクリ問題とは別の話です。
Appleには、使いやすいスマートフォンをヒットさせた先駆者としてがんばって欲しいですが、一方で、使いやすい製品が1社独占というのは、1ユーザーとしてはメリットが無いので、できるだけ多くのメーカーが競争して欲しいとも思っています。
そういう意味では、このAppleとSamsungのパクリ闘争は、どう考えてもパクリには違いないんでしょうけど、だからといってAppleだけがこの分野で独り勝ち(もしくはSamsungだけが独り勝ち)するという、ユーザーにとっての不利益な構造は避けてほしいと思う今日この頃です。
多くのメーカーがいろんな製品を出して激しく競争することが、ユーザーにとって一番メリットがあるのです。