歩合
かんぽ生命の営業がめちゃくちゃと言うコトでニュースになっています。
ボクも昔、生命保険業界に4年強、身を置いていました。
世の中のすべての生命保険会社が同じだとは言いませんが、概ね似たような仕組みなので、書いてみますね。
そもそも、生命保険会社の営業マンはサラリーマンではありません。
大学を出て日本生命や第一生命などに就職していく正社員もいますが、彼らはいわゆる営業マン(保険外交員)とはちょっと位置づけが違います。
まあ、営業もやるんですが、本部で働く人も大勢います。
彼らはいわゆるサラリーマンであり、ご存じの通り、給料も非常に高水準です。
一方、保険外交員と呼ばれる営業マンは、歩合制です。
つまり、高い給料なんてもらっていません。
不安定な身分
昔から日本に存在する生命保険会社ではいわゆるセールスレディと呼ばれる人たちが多く、外資系では男性のセールスマンが多いのが外交員の特徴です。
ボクは、銀行員として8年ほど勤めた後に、保険外交員として外資系生命保険会社に転職しました。
外交員なので、生命保険会社の社員として雇われたのでは無く、あくまでも個人事業主です。
なので、給料はありません。
サラリーマンの場合、最低時給を満たさないの法令違反になりますが、保険外交員は個人事業主なので、給料はゼロです。
そして、契約の出来高に応じて、報酬(給料では無く)が支払われます。
個人事業主なので、一人一人が経営者です。
なので、営業活動に関する経費は、もちろんすべて自分持ち。
例えば、お客さん宅に訪問する交通費も自己負担。ガソリン代も。そもそもクルマも自家用車です。
おみやげのカレンダーなども自分のおカネで制作します。
営業用のパソコンは会社にレンタル料を払って借り受けます。
ね、サラリーマンと全然違うでしょ。
月に1件も契約が取れなければ、収入はもちろんゼロですが、それでも交通費やレンタル料などはかかるので、赤字です。
つまり、契約を取れなければ、働けば働くほど赤字になり、おカネは減ります。
こんなのは自営業では当たり前ですね。
サラリーマンは、労働環境や給料などが保証されています。もちろん経費も会社が負担。
そう考えると、サラリーマンがいかに恵まれているかがわかりますよね。
しかも最近はブラック企業が叩かれるので、ますますサラリーマンの環境は良くなり、その一方で、自営業者にはそんな保証は無いので、売れなければ自己責任。
ここまで書けば、かんぽ生命がなぜ無理な営業をしたかがわかると思います。
サラリーマンの人なら、営業で売れなくても給料は保証されます。
でも、生命保険の営業マンは、仮に24時間不眠不休で働いても契約が無ければ収入ゼロ。
必死さが違うわけです。
いかがでしょうか。
あなたは毎月毎月、新規契約を獲得し続ける自信はありますか?
自信が無くてもやらなければ1円も入って来ないのが歩合制の営業の世界です。
仮に1000万円の収入があっても、交通費やおみやげなどの経費で700万円使えば、実質300万円です。
世の中の歩合営業が存在する限り、必死の営業が続くのは世の常なのです。
かと言って、給料を保証するのも難しい時代ですよね。
売上が無いのに給料なんて保証したら、もちろん倒産ですから。
なので、今後、人口が減って市場が縮小するのにブラック環境が規制されるようになれば、倒産する企業は増えるでしょう。
ホワイトな環境はおカネがあってこそ実現しますからね。