否定の「〜ない」
みなさん、こんにちは!
B-CHANです。
こうやって文章を書くときに、言葉の用法や文法について調べることがあります。
調べていて自分が間違いだったと気付くこともあります。
今回、
とんでもない
という言葉について書いてみます。
動詞や形容詞は、「〜ない」を付けると否定の意味になります。
動詞
- 走る→走らない
- 話す→話さない
- 食べる→食べない
形容詞
- 大きい→大きくない
- 美しい→美しくない
- 遅い→遅くない
形容詞だと、「〜ない」を「〜ありません」「〜ございません」に変えると丁寧になりますね。
- 大きい→大きくありません、大きくございません、大きゅうございません
- 美しい→美しくありません、美しくございません、美しゅうございません
- 遅い→遅くありません、遅くございません、遅うございません
原形に「〜ない」「〜ありません」「〜ございません」が付くことで意味を打ち消すわけです。
逆に、「〜です」「〜ございます」を付けると、丁寧に肯定します。
- 大きい→大きいです、大きくございます、大きゅうございます
- 美しい→美しいです、美しくございます、美しゅうございます
- 遅い→遅いです、遅くございます、遅うございます
「大きくございます」はあまり言わずに日常では「大きゅうございます」と言いますね。
とんでもないの「ない」は否定の「〜ない」では無い
ここで、
とんでもない
について考えます。
とんでもない、は、とんでもない、でひとつの言葉です。
「とんでも」に「ない」が付いた言葉では無いということです。
とんでもない、というひとつの形容詞です。
- 美しい
- とんでもない
これらはどちらも形容詞で、並列の関係です。
- 美しい→美しいです、美しくございます、美しゅうございます
- とんでもない→とんでもないです、とんでもなくございます、とんでものうございます
以上が正しい使い方ですね。
「とんでもありません」「とんでもございません」は文法的には間違いなわけです。
そもそも、「〜ありません」「〜ございません」は否定の「〜ない」を丁寧にした言い方。
- 美しい→美しくない→美しくありません、美しくございません、美しゅうございません
ですよね。
だけど、「とんでもない」の「ない」は「とんでも」を否定しているわけでは無く、あくまでも「とんでもない」というひとつの言葉です。たまたま否定の「〜ない」と同じ文字であるというだけのことです。
だから、「とんでもない」の「ない」だけを「〜ありません」「〜ございません」に変化させるのはおかしいわけです。
会話の中で、「とんでもございません」が出てきたら間違いだと気付きましょう。
もう一度書きます。
- 美しい→美しいです、美しくございます、美しゅうございます
- とんでもない→とんでもないです、とんでもなくございます、とんでものうございます
褒められたときに謙遜する場合は、「とんでもございません」では無く、「とんでもないです」「とんでものうございます」と言うのが正しいです。
同じような事例として、
みっともない
だらしない
があります。
- みっともない→みっともないです、みっともなくございます、みっとものうございます
が正しくて、
みっともありません、みっともございません
とは言わないですね。
- だらしない→だらしないです、だらしなくございます、だらしのうございます
が正しくて、
だらしありません、だらしございません
とは言わないですね。
時代とともに普及する言葉
ただし、文法的には間違いでも、間違ったまま広まったので、今では使っても問題無いと言われている言葉も世の中にはあります。
「とんでもございません」
もそのひとつです。
文化庁の「敬語の指針」の47ページでそのことが触れられています。
まあ、言葉を国家が定義するものでは無いので、文化庁の指針はあくまでも指針ですね。
本来の文法では間違いであることに変わりはありません。
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