口座凍結
こんなニュースがありましたね。
NHKの規定、恐るべし。
と言うわけで思い出したことがあります。
昔、ボクは銀行員でした。
銀行員と行っても信託銀行だったので、業務の幅は広く、様々な仕事をしました。
その中で、普通の銀行の業務も経験しました。
店舗にいて、カウンターに座ってお客さんの応対をする仕事です。
預金の預け入れや引き出しなどですね。
そこで何度か経験したのが、預金の凍結。
預金の名義人が亡くなった場合、その口座は凍結されます。
つまり誰も預金を引き出せなくなります。
理由はカンタンで、相続財産だからです。
通常は、口座名義人本人が銀行の窓口に来なくても、通帳と印鑑があれば、預金を引き出せますし、あるいはキャッシュカードと暗証番号を知っていれば、同じく引き出し可能です。
預金の引き出しに必要なのは、本人と言う人間では無く、
- 通帳と印鑑
- キャッシュカードと暗証番号
なんですね。
逆に、本人であっても、それらが無ければ、預金を引き出せません。
紛失したり忘れたりしたら色々と面倒です。
相続発生
銀行はお固い商売なので、規則には杓子定規に従います。
口座の名義人が死亡したことを知れば、その瞬間から口座の凍結が始まります。
芸能人などの有名人は、やっかいですね。
報道されますから。
報道されたら銀行は知ることになるので、親族が何もしなくても無くなった人の名義の口座は凍結されます。
そうなると、誰も預金を引き出せません。
例えば、高齢者の親が年金をもらっていて、中年のニートを養っている場合。
その親が亡くなったらわりと大変です。
そのニート銀行の窓口に行って、親が亡くなったことを告げてしまうと、そこから、親の預金が下ろせなくなりますから。
解決法はただひとつ。
遺産の分割協議を行うことです。
すべての相続人の実印が必要です。
例えば、親がすでに一人で、子も一人なら、話は難しく無いですね。
相続人は、その子だけなので。
遺産分割協議は子だけでOK。
しかし、複数人がいて、例えば結婚して実家を出て遠方に住んでいるケースなんかは面倒ですね。
ボクが経験したのは、あるお客さんの親が亡くなって遺産分割協議をするのに、親の戸籍謄本を取得してみたら、親に隠し子がいたことが判明したことです。
つまり、一人っ子だと思っていた人が、実は兄弟がいた、と言う話。
昔は、少なからず、あったようです。
そうなると、見知らぬ兄弟を探し出して、会って、協議する必要が出てきます。
やっかいでしょ。
ぶっちゃけ、実務的には、ホントはダメですが、要は、
親の寿命が長くない状態になったときは、あらかじめ、親の口座からおカネを引き出しておく
と言うのが、知る人ぞ知る方法なんですよね。
もちろん、銀行員の口からは、自らそれをオススメはできないんですが、遺族が生活に困らないための防衛手段みたいになっています。
ちなみに、ボクは保険業界にもいたことがあります。
親が亡くなったときに、生命保険が掛けられていて、受取人が子だった場合、その保険金は親とは無関係の子の財産なので、凍結とは関係無く受け取れます。
生命保険は、そう言う場合にも実は役立つってことです。
と言うわけで、今回は、ちょっとした内緒話でした。