量と価格
「これ、量を半分にして価格も半額にしてほしいな。」
という、ありがちなセリフ。
でもそれ、おかしいんですよね。
人間は2種類に分かれます。
- 会計がわかる人間
- 会計を知らない人間
会計がわかる人は、上記のセリフを聞けば瞬時におかしさに気づきます。
あなたは気づきましたか?
費用
答えは、変動費と固定費ですね。
こんな例を考えてみてください。
あなたは店舗不動産物件を借りてパンを売ることにしました。
店舗の家賃は月に1万円とします。
パンの材料費はパン1個につき100円。
あなたは大サービスして、パンを1個150円で売ります。
パン1個の材料費は100円で、それを150円で売るので、1個売れば50円の利益が出ますね。
100個売れれば5000円の利益。
200個売れれば1万円の利益。
ところが、
「これ、量を半分にして価格も半額にしてほしいな。」
という声が聞こえてきました。
そこでパンの大きさを半分にして売値も半額にしてみます。
材料費ももちろん半分。
つまり、パン1個の材料費は50円で、それを75円で売るので、1個売れば25円の利益が出ますね。
1個あたりの利益は半分になりましたが、お客さんにしてみれば半額になって買いやすくなり、結果として数はたくさん売れるようになります。
100個売れれば2500円の利益。
200個売れれば5000円の利益。
400個売れれば1万円の利益。
2倍売れば、やはり1万円の利益となります。
と思っていました。
家賃
しかしそうはなりません。
店舗の家賃を思い出してください。
月に1万円かかるんですよ、家賃は。
最初のパンでは200個売れれば利益は1万円だったので、それで家賃を払えばプラスマイナスゼロ。
一方、半額にしたパンでは400個売れれば利益は1万円なので、それで家賃を払えばプラスマイナスゼロ。
そうなるはずでした。
しかし、その店舗の規模では1ヶ月に200個しかパンを作れないのです。
400個売るためには同じ条件の店舗不動産物件をもう1軒借りる必要があります。
すると家賃は2万円。
パンの大きさを半分にして価格を半額にして、その代わりに数を2倍売るとなると、結局、マイナス1万円、つまり赤字になってしまうんですね。
量を半分にして材料費を半分にして価格を半分にして2倍の数を売る計画はダメ。
どこに落とし穴があったのか。
そうです。
変動費と固定費の違いです。
変動費というのは材料費です。
パンの数が2倍になれば材料の量も2倍。
変動するので変動費。
一方の家賃は固定費。
パンを1個しか作らなくても200個作っても家賃は変わりません。
これを最初に計算に入れてなかったんですね。
パンを201個以上作る場合にはもう一軒の店舗が必要です。
固定費でありながら、半分変動費の要素もあるんですね。
会計を理解する人
会計が身についている人は最初から変動費と固定費の概念があるので、量が半分なら価格も半分、と聞いた瞬間に違和感を感じます。
世界中にはありとあらゆる業界が存在しますよね。
その業界特有の知識はそれぞれ専門的に身につける必要があります。
しかし会計は全業界共通で必要な知識です。
自動車の知識はラーメン業界では不要ですし、ラーメンの知識は介護業界では不要。
しかし会計知識は、自動車業界でもラーメン業界でも介護業界でも必要です。
経営の舵取りをする人には会計知識は絶対に必要です。
例えば、IT業界でITの高度な技術を持っているにも関わらず、会計知識が足りなくて倒産してしまった会社なんていくつもあります。
ホントにもったいないですよね。
会計知識を身につければ、業界に縛られずに、どの業界でも仕事ができるということです。
もしみなさんが、将来、出世を考えていたり、企業を考えているなら、ぜひ若いうちに身につけておいてください。
このブログでもファイナンスというカテゴリーで会計っぽいことを書いてますので、読んでみてください。
厳密に言えば、ファイナンスは会計というより財務なんですけどね。
資金繰りという意味では会計よりも財務知識が重要ですが、まあそれはおいおい学んでください。
このブログでも引き続き色々書いていきますので。