非天マザー by B-CHAN

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経営者でも知らないことが多い、赤字でも行うべき事業とは

赤字の性質

 

みなさん、こんにちは!

B-CHANです。

 

最近はITの発達のおかげで、事業を立ち上げたりフリーランスになったり、とにかく会社に勤務しないで生活する人をよく見かけるようになりました。

そうなると、勤め人と違って自分で経営のノウハウを身につける必要があります。

ボクはこのブログで以前から、会計こそが世界共通言語だと言っています。

Webサービス開発であろうが、魚屋さんであろうが、美容室であろうが、経営する以上は会計知識は必須です。

どんな会社にもついて回りますし、本業の受注はうまく行ってるのに会計やファイナンスでの失敗によって倒産という事例はたくさんあり、あまりにももったいないからです。

今回は、赤字について、ちょっとだけ書こうと思います。

事業をやる上で、赤字は避ける必要がある。

これは当然なんですが、赤字にも種類があります。

決算上の項目として、営業赤字や経常赤字という言葉も使いますが、それらはどこまでの項目を含むかによって決まります。

今回はそれらではなく赤字の性質の話です。

 

限界利益

 

経済学の世界でも会計学の世界でも、限界という言葉がよく登場します。

これは英語のmarginalという用語を日本語にしたものですが、正直、日本語での限界という言葉を考えるとピンと来ません。

体力の限界、みたいなイメージに囚われると理解しにくくなるので、その意味はいったん忘れてください。

例えば、限界利益という言葉があります。

これは売上が1単位増加するときに増える利益の大きさを表します。

ある製品を5台売ったら利益は300円だった。

ある製品を6台売ったら利益は350円だった。

1台余分に売れたら利益が50円増えたので、この場合の限界利益は50円です。

 

変動費と固定費

 

さて、利益を計算するには、売上から費用を引く必要があります。

1000円の売上で費用が800円なら利益は200円ですね。

ただし費用は、変動費と固定費に分けられます。

変動費とは売上が増加すると増える費用、固定費とは売上とは無関係にかかる費用です。

例えば、パンを1個作るのに材料が60円かかるとし、1個100円で売るとします。

1個売れれば売上は100円で材料費は60円。

2個売れれば売上は200円で材料費は120円。

と、たくさん売れれば材料費も増えていきます。

この材料費が変動費です。

一方、店舗の家賃は売上とは無関係に毎月払う必要がありますよね。

これが固定費です。

 

例えば一例として、

  • 1個100円でパンを売る
  • 材料費は1個60円
  • 店舗の家賃は毎月1000円で他に固定費が無いとする
  • また、その他の数値も無いものとして考える

この条件で今月、パンが100個売れたとします。

すると利益は、売上から費用を引くので、

100円×100個-60円×100個-1000円=3000円

はい、3000円の利益が出ました。

では、もっと売上が少なかったらどうでしょう。

1ヶ月にパンが20個しか売れなかったとします。
これで利益計算すると、

 

100円×20個-60円×20個-1000円=マイナス200円……A

 

と赤字になってしまいました。
うーむ、赤字になってしまった、それだったらこのパン販売はやらない方が良かった。

そう考えますか?

残念。違います。

限界利益を考えてみます。

さっき書いたように限界利益とは売上が1単位増えた時に増加する利益の額です。

このパンは売値が1個100円で材料費が1個60円なので1個売れば40円の限界利益が出ます。

例えば、

 

200個売れば、
100円×200個-60円×200個-1000円=7000円
201個売れば、
100円×201個-60円×201個-1000円=7040円
202個売れば、
100円×202個-60円×202個-1000円=7080円

 

確かに売上が1個増えると利益は40円増えています。

実は、限界利益がプラスである以上は、赤字であっても、このパンの販売はやったほうがいいのです。

なぜなら固定費である家賃は売上が無くても発生します。

もしこのパンの販売をやめてしまうと、

100円×0個-60円×0個-1000円=マイナス1000円……B

という風に1000円の赤字になってしまうんです。

さっきのAの式では20個のパンが売れて200円の赤字でしたよね。

赤字だからといって、このパンの販売をやめてしまうと、さらに赤字が拡大してしまうのです。

これは言い換えると、パンを販売することによる限界利益が、固定費をカバーしてくれていると言えます。

なので、個々の事業の判断をするときには、単なる赤字黒字ではなく、限界利益から判断する必要があるということです。

ちなみに、このパンの材料費が高騰して1個120円になったらどうでしょう。

これを今までどおり1個100円で売るとします。

すると、

 

100個売れば、
100円×100個-120円×100個-1000円=マイナス3000円
101個売れば、
100円×101個-120円×101個-1000円=マイナス3020円
102個売れば、
100円×102個-120円×102個-1000円=マイナス3040円

 

と、1個売上が増えるたびに赤字が20円ずつ増えていますね。

限界利益の反対で、限界損失が20円ということです。

このように限界損失が発生している場合は、このパンを売ることで損失は拡大するので、パンの販売はやめたほうが良いということになります。

 

なるべく簡単な数値を使って書いたつもりですが、理解してもらえましたか?

事業の可否を判断するときに、当然、損益を見ますが、単に赤字だから止めると、かえってマズイ事例があることがわかります。

赤字であっても限界利益が発生していれば、その事業は進めて良いケースがある、そして、そのためには、変動費と固定費を見る必要があるということです。

 

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