YouTubeの問題
かつて、インターネットが存在しなくて、家庭の余暇の娯楽と言えば、ほぼテレビだった時代。
そんな時代から見れば、今はインターネットが浸食しています。
人間の1日は誰もが平等に24時間。
その24時間を睡眠や食事や仕事や趣味に割り振って人々は生きています。
当然、何かに使う時間を増やせば、他のコトに使う時間は減ります。
ビジネスとは、人間の24時間の奪い合いと言っても過言ではありません。
インターネットはテレビと違って、原則として参入が自由です。
テレビならチャンネル数はせいぜい10個程度。
人は、その限られたチャンネルを切り替えながらヒマを潰すわけです。
しかし、インターネットのサービスは無数。
YouTubeもあればNetflixもあればTwitterもあればInstagramもあります。
これだけ無数にあるサービスがしのぎを削っていますが、それでも、まだ、たかだか10チャンネルほどのテレビの影響力は絶大。
- インターネットを見る時間 > テレビを見る時間
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まだまだ後者の方が多いと思います。まあ、同時に見る人もいるでしょうけど。
例えばYouTubeはテレビと同じく、映像を提供するサービス。
しかも、YouTubeのコンテンツの量は無数。
さらに、見たい時間に見るコトができます。
なぜ、それでも、テレビは絶大な数の視聴者を惹き付けるのでしょうか。
それは、YouTubeにあってテレビには無い問題点が影響している気がします。
音量
テレビの圧倒的なメリットは、ユーザーの操作の少なさ、だと思うんですよ。
スイッチを入れるだけ。
それだけで、何らかの放送が始まります。
これ、ボクがテレビを、史上最強の麻薬、と呼ぶ所以です。
テレビって、人間の能動的な部分をことごとく奪うんですよね。
いったんスイッチを入れれば、視聴者が何もしなくても、勝手にどんどんコンテンツが流れていく。
地上波だけなら、チャンネルの選択肢もわずか。
ボーッとテレビを垂れ流しながら1日が終わってしまう。そんな経験をした人も多いのでは?
好みのチャンネルに合わせる以外はとにかく自動、自動、自動。
帰宅したら、とりあえずテレビを点ける。
しかも国民の大半がその行動パターン。
麻薬でしょ?
その中でボクが着目したのが、音量なんですよね。
テレビの音量って、テレビ受信機の音量を意味します。
音量が0から100まんであるとして、25に合わせれば、フジテレビとかTBSとか日本テレビとか関係無く、音量は25になります。
チャンネルによって大音量になったり微音になったりはしません。
それは、番組を製作する側が、音量も統一してくれているからです。
ところが、YouTubeでは、音量がバラバラです。
YouTubeのコンテンツの大半は素人がアップロードしています。
当然、用意されたコンテンツの音量はバラバラ。
なので、色んな人の動画を連続で次々に流していくと、いきなり大音量になったり、小さくなったり。
YouTubeのプレイヤーにあるボリュームスライダーとは別に、コンテンツ制作者によって動画制作時の音量がバラバラだからです。
テレビ番組とか音楽製作においては、マスタリングと言う作業を行います。
番組や曲によって音量がバラバラにならないように、標準的な音量になるように調整する作業です。
ややこしいんですが、コンテンツの中身による音量の違いとは無関係です。
バラードのような静かな曲もあればヘビメタのような音量の大きな曲もありますが、それはコンテンツによる指定です。
YouTubeの問題は、それとは関係ありません。
マスタリングが行われない点が問題なのです。
同じ曲でも、Aさんが大音量で録音してYouTubeにアップロードしてしまえば、その動画は大音量で流れますし、Bさんが小さな音で録音してアップロードすれば、YouTubeでは小さな音で流れます。
なので、YouTubeで次の動画を次々と自動的に再生するモードにしておいても、コンテンツによって音量が変わってしまうので、その都度、適度な音量に調節する必要がある。
要は、視聴者(ユーザー)に行動を強いるわけです。
これはテレビでは基本的には不要です。
今のところ、テレビは大衆を怠惰にさせる究極の麻薬。
YouTubeを初めとするインターネットは、そこまでの利便性は無い。ある程度、ユーザーに行動を強いる。
ここが大きな違いかな、と。
YouTubeはコンピュータ処理によるマスタリング機能を導入する時期に来ているのかなとボクは思うんですよね。
もちろん、ボク自身がYouTubeの画像処理アルゴリズムを知っているわけでは無いので、もしかしたら、アップロードされた動画を最適化する際に何らかのマスタリングは行われているのかもしれませんが、今でも動画によって音量の違いが大きすぎます。
と言っても、コンピューターとインターネットの世界は日進月歩。
YouTubeが、より自動化・最適化していけば、いずれはテレビを超える、人間を怠惰にさせる史上最強の麻薬になる日が来るかも知れません。
関係無いですが、ボクも音楽を作る人間なので、マスタリングを行います。
ボクが使っているDAWはいくつかありますが、そのひとつが、これ。
先週、宇多田ヒカルさんが、こんなツイートをしていましたね。
「平成の歌人(かじん)」枠とか「平成のDAW使い姫」枠とかあったら素敵
— 宇多田ヒカル (@utadahikaru) February 15, 2019
宇多田ヒカルさんもLogic Pro Xを使っているようです。