レオパレス問題
昔から、レオパレス21のアパートは壁が薄いとウワサされていましたが、今年になって施工不良問題が勃発し、ウワサでは無く実際にヤバいコトがわかりました。
不動産業界に身を置いていない一般の人にとっては、レオパレス21が運営するアパートに問題があると認識するでしょうが、一方で全国のオーナーがレオパレス21に訴訟を起こすのではとも言われています。
レオパレス21とはどう言う立ち位置なのか。オーナーとは何か。
それをカンタンに説明してみます。
あ、ボクは、金融・不動産業界経験者です。
アパート経営
全国にはたくさんの賃貸アパートがありますが、それらって不動産会社が運営していると思いますか?
実はそれはハズレてはいないんですが、ズバリ当たりとも言いにくいです。
多くの場合、賃貸アパートを所有してるのは、一般の個人であるコトが多いからです。
例えば、あなたの親が広い土地を持っているとしましょう。
もし親が亡くなれば、その広い土地に対して大きな相続税がかかるとします。
土地は持っていてもおカネを持っているとは限らないので、大きな相続税がかかれば払えない可能性があります。
払うとすれば、おカネの代わりに土地を国に納める物納と言う方法もありますが、それでは先祖代々の土地を失います。
そもそも、その土地に自分が住む住居が建っているなら、出て行く必要があります。
困りますよね。
そこに目を付けて、ハウスメーカーや銀行が営業にやって来ます。
「相続税対策しませんか?」
これが売り文句です。
相続税対策とは、相続税をどうやって払うか、よりも、どうすれば相続税が発生しないようにできるか、です。
その答えは、土地の評価を下げる、なんですね。
相続税は不動産の評価額にかかります。
不動産の評価は、土地の上に賃貸アパートがあると下がります。
それは税法で決まっているのです。
なので、土地のままだと評価額が高く、結果として相続税も大きくなります。
一方、土地の上に賃貸アパートを建てれば、評価額は下がるので、相続税も小さくなります。
さらに、そのアパートを建てるために銀行でローンを組めば、そのローンは借金なので、財産がマイナスになり、さらに相続税は減らせます。
ローンを組んでもどうやって返済するのか。
それも答えはカンタン。
家賃収入で返済するのです。
ローンの返済額よりも家賃収入が大きければ、地主さんは自分でおカネを持ち出す必要はありませんよね。
例えば、非常にカンタンな話をすれば、毎年の家賃収入が1億円、毎年のローン返済が7000万円なら、ローン返済をした上で、なお3000万円が手元に残ります。
もちろん、アパートの修繕などにもおカネがかかるので、手残りはもっと少なくなりますが、いずれにせよ、アパート経営をするコトで、地主さんは利益を手にするコトができます。
しかも相続税はグーンと減ります。
まさに良いコトだらけ。
そして、このアパートを建てるハウスメーカーのひとつがレオパレス21です。
地主さんはレオパレス21に発注してアパートを建ててもらうんですね。
このアパートに施工不良があったので、地主さん(オーナー)が怒っているわけです。
まあ、そりゃそうです。
これを読んでいるあなたも賃貸アパートに住んでいるかも知れませんが、それもたぶん、不動産会社のアパートでは無く、普通の個人のアパートです。
なので、施工不良事件には、不動産会社としてのレオパレス21とオーナーが登場するわけですね。
今回はたまたまレオパレス21の問題なので、是正をするのもレオパレス21の責任ですが、一般的には、賃貸アパートの問題、例えば雨漏りや破損などの修繕の責任はオーナーにあります。
つまり個人なのです。
なので、そのオーナーに財力が無ければ、なかなか是正が行われません。
実際、空室があって家賃収入が少ないアパートなんかは、オーナーにおカネが無いので、壊れた部分がそのままと言うコトもあります。
そのせいでますます入居者が集まらず悪循環になるんですね。
大きな賃貸マンションなら大手の不動産会社が運営しているコトも多いので、ある程度、会社に体力があり、メンテナンスも行き届いていたりするんですが、賃貸アパートの場合は実質的に個人経営が多いので、オーナーの財力によって入居者の住環境が左右されます。
これが賃貸アパートに入居する際の注意点ですね。
レオパレス21に関してはサブリースの話もあるんですが、長くなるので、別の機会に書いてみたいと思います。