目先の掛け金だけで判断すると失敗する
ボクは金融系の世界を中心に活動してきました。
生命保険の世界でも活動しました。
とはいっても、親戚縁者を回ってお情けで保険に入ってもらうような営業では意味がありません。
きちんと具体的に数字を持って、その人にとってどれだけのメリットとデメリットがあるのかという根拠を示して仕事をしていました。
その経験上、ボクが感じているのは、いかに間違った生命保険の加入の仕方をしている人が多いかということです。
例えば、
「掛け金が安い保険に入り直した」
というケース。よくありますよね、そういう事って。
でも、よーく考えてみてください。毎月の掛け金が安い保険は本当にお得な保険なのかどうか。
とてもわかりやすい事例を書きますね。
あなたの年齢:30歳
プランA
毎月の掛け金が5000円。保険金1000万円。保険期間20年。
プランB
毎月の掛け金が3万円。保険金1000万円。保険期間終身。終身とは一生涯のことです。
この二つのプラン。確かにAの方が毎月の掛け金は安いです。
今から20年間加入したら、あなたはいくら払うことになるでしょうか。
プランAは、
5000円×12ヶ月×20年=120万円
プランBは、
3万円×12ヶ月×20年=720万円
プランBはプランAに比べて20年間でなんと600万円も余分に支払うことになります。
では、お得なプランAに加入すべきでしょうか。
ここで落とし穴です。
20年経ったらあなたは50歳ですね。まだ50歳ですから亡くなる確率よりも生きている確率のほうがずっと高いです。
もし生きて無事に50歳を迎えたら。
プランAだとそこで保険は終了です。120万円支払ってそれで終わり。もし万が一その直後に死亡しても1円も保険金は降りません。
こういう一定期間で終了するタイプを定期保険といいます。
プランBだとどうでしょうか。
この保険は終身タイプなので保険は続いています。
50歳になったあなたは2つの選択ができます。
そこで解約するか、そのまま続けるか。
実は終身保険は定期保険とは違って、契約が長期になると解約返戻金(かいやくへんれいきん)が積み上がるという特徴があります。
解約返戻金とは文字通り、解約した場合に戻ってくるオカネです。
もし、50歳の時点で解約したとして、解約返戻金が800万円戻ってきたらいかがですか?
総額で720万を支払ったのに800万円戻ってきたら、プラス80万円ですよね。
プランAはどうでしたか?
120万円を失って終わりでした。
さて、どちらの方が安く済みましたか?
考え方は人それぞれですが、単に目先の掛け金が安いプランAの方が必ずしも安いとは言えないという事実が潜んでいます。
プランBにはもうひとつの選択肢がありましたね。
50歳になっても解約しないパターンです。
この場合、解約しないので当然、解約返戻金は戻りませんが、保険がずっと続くというメリットがあります。
人間は年齢が上がるほど亡くなる確率は上がりますし、いつかは必ず亡くなります。
つまり、保険がずっと続くということは、いつか必ず1000万円の保険金が降りてくるということです。取りっぱぐれがありません。
プランAはどうでしたか?50歳までに人間が亡くなる確率は非常に少ないと書きましたよね。現代人だと90%以上の人が50歳以上生きます。
つまり、プランAだと、50歳まで無事に生きて保険期間も終了して掛け金も全部失う可能性が90%以上あるということです。
そして先ほども書いたように51歳で無くなっても1円も保険金は降りません。
さて、ここでもう一度聞きます。
あなたは毎月の掛け金が安いプランAに加入しますか。それとも毎月の掛け金が高いプランBに加入しますか。
ボクが言いたいのはプランAが良いとかプランBが良いという話では無いんですよ。
問題なのは、そういった知識も無く、保険会社のオススメプランに従って加入してしまっている点なんですよ。
ほとんどの人がそうなんです。
生命保険は上にも書いたように100万円単位で支払う契約です。家を買う次くらいに大きな契約なんですよ。
しかも保険金というのは遺族の生活を支える生命線であるわけです。
間違って必要なときに保険金が下りないとなれば遺族まで命に関わることになります。
なので、契約の仕方というのは慎重に細心の注意を払って行うべきなんですよね。
大多数の日本人が加入していて、しかもこんなに重大な契約なのに、よくわからずに加入している人が大半。
それが生命保険の実態。
上記の解約返戻金や、定期と終身の選択肢の有無の話だけでも奥が深いことがわかったのではないでしょうか。
このシリーズもお役立ちシリーズとして続けますので、興味のある方は読んでください。
もっと深く知りたい人は、Twitterででも声をかけてください。
※加入者が保険会社に毎月支払っていくお金のことを正しくは「保険料」と言いますが、わかりやすくするために、あえて「掛け金」と言っています。