iCloudの概要を体験する
先日のWWDCでiCloud、iOS5、OS X Lionなどの新しいサービスが発表されました。
特にiCloudは新しいクラウドサービスで、これによってパソコンが無くてもiPhoneが使えるようになります。
しかし厳密に言えば、パソコンがいらなくなるのではなく、パソコンとiPhoneとの位置関係を変えてしまうものです。
先に、先日書いた、クラウドに関する記事を読んでみてください。これでクラウドとはどういうものかがわかると思います。
クラウドは何がいいの?難しいの?
さて、今まではiPhoneを使うにはパソコンが必須でした。
パソコンの中に音楽や写真や動画やアプリなどのデータがあり、それとiPhoneをつないで同期する事で、iPhoneにも音楽などをコピーする事ができました。
また逆にiPhoneにためた音楽や写真などをパソコンにバックアップしていました。
つまり、パソコンは母艦であり、母艦にiPhoneという子機をつなげ、子機のデータはすべて母艦に保管しておくという考え方でした。
しかしiCloudが始まると変わります。
母艦はApple社にあるサーバー(クラウド)になり、iPhoneもパソコンもすべて子機になります。
例えばパソコンのiTunesでダウンロードしたアプリの記録は、クラウドに保管され、iPhoneとクラウドは同期されるので、iPhoneとパソコンをつながなくてもiPhoneにアプリが入ります。
音楽も同様です。
iCloudが始まるのは今年の秋ということですが、先日リリースされたiTunes10.3では、その一部が先行して体験できます。
さっそくやってみましょう。
パソコンにiTunes10.3をインストールしていない人、古いiTunesを使っている人はアップデートしておいてくださいね。
クラウドの実験なので、パソコンとiPhoneとはケーブルでつながずに外しておいてください。
準備は2つ。
まずはパソコンで、iTunesの設定画面の「Store」を開いてください。
次のように、「自動ダウンロード」の「App」と「ブック」にチェックマークを入れてください。
これでパソコンの準備は終了。
次は、iPhoneの設定画面で、「Store」を開き、次のように「App」と「ブック」をオンにします。
「モバイルデバイス」をオンにすると、外出先など、無線LAN(Wi-Fi)が無いところでも携帯電話の電波(3G)でクラウドが使えます。普通はこれもオンで良いでしょう。
さて、準備はこれだけです。
あとは実行してみます。
パソコンのiTunesでAppStoreの画面を開いて、あなたのiPhoneにまだインストールされていないアプリをどれか選んで、その画面を開いてください。
ここでは、
「めめたん.」
というアプリをインストールしてみます。
いつもどおり「無料App」というボタンを押してダウンロードします。
今までなら、これでiTunesにダウンロードされたので、あとはパソコンとiPhoneをケーブルでつないで同期すれば、iPhoneにも今のアプリがインストールされていました。
しかし、iTunes10.3ではすでにアプリのiCloud機能が有効です。
パソコンのiTunesでダウンロードしただけで、自動的にiPhoneのほうでもダウンロードが始まりインストールされます。
どうですか?ケーブルでつながなくてもiPhoneにインストールされたのが確認できましたか?
こんなふうにケーブルを使わない通信の事をOTA(Over The Air)と言います。
今までは、ダウンロードしたアプリのデータは、あなたのパソコンにありました。それをケールでつなぐ事でパソコンからiPhoneに送っていたんですね。
しかしiCloudではダウンロードしたアプリのデータはApple社のサーバーにあります。
それが、パソコンやiPhoneなど、それぞれの機械に配信されて同期されるわけです。
つまりiCloudが母艦でiPhoneはもちろんパソコンも子機にすぎないというわけですね。
上記とは逆に、iPhoneでアプリをダウンロードしてみてください。すぐにパソコンのiTunesでもダウンロードが始まるのがわかると思います。
こうやってiCloudは従来の母艦と子機の関係を完全に変えてしまいますし、それによって、パソコンがなくてもあなたのデータはすべてiCloudに保管されるので安心というわけです。
データはiCloudにあるので、パソコンを買い換えるときに面倒なデータの移行などもしなくて済みます。
個人的にはずいぶんこれで便利になるなあと思いつつ、Apple社にとっては、Macを売るための必然性が一つ減るわけで、ビジネスとして必ずしもメリットだけでも無いんですね。
果たしてこのユーザビリティがAppleにとって吉と出るか凶と出るかはわかりませんが、ケーブル無しでデータのやりとりができるのはユーザーにとっては大きなメリットです。
よく、iPhoneにはSDメモリーカードスロットが付かないのかという人もいるんですが、Appleが目指しているのは機能を増やしつつ、なるべくシンプルにという方向性です。
わざわざメモリーカードを抜き差ししてデータをやりとりしなくても電波で簡単にやりとりできるこういった仕組みを普及させようとしているので、おそらくメモリーカードスロットは今後も付きません。
せっかくのiPhoneユーザーになったんですから、こういったこともどんどん活用してみましょう。
以前書いた、OTAでのネットプリントの記事も貼っておきますので、読んでみてくださいね。
自宅にプリンターもいらないご時世