イノベーション
今回はありがちな説を検証します。
これ。
要するに、日本人にはiPhoneのようなイノベーションを起こせないという話。
はっはっは。
何という後付け理論。
ある現象を見てから、後で理屈を語るのはわりと簡単です。
しかし、後から無理矢理こじつけた理由には矛盾が生じます。
上記の記事内の矛盾に気付きましたか?
簡単ですね。
そうです。任天堂は日本企業です。
任天堂は最新鋭のスペックに頼らずに大ブームを巻き起こしました。
まさにAppleのiPhoneと同じ。
最新最高のスペックを優先したのでは無く、既存の技術で最高のユーザー体験を提供し、世界を席巻したんです。
日本人とかアメリカ人とかは関係ないんです。
記事内で理論が破綻してます。
日本人だってイノベーションは起こせるんですよ。
昔のソニーのウォークマンだって世界を席巻したじゃないですか。
もっともらしい理屈を後から付ければ、それを検証することも無く信じてしまう人が多いので、上記の記事のような説がまかり通るんです。
高度成長期
例えば、戦後の高度成長期の日本について。
当時の日本人はがむしゃらに頑張ったから、あれだけの成長ができた。
今の日本人にはそれができない。
そんな説を平気で言う人がいます。
もちろん完全に間違いです。
人口ボーナスという言葉。
人口オーナスという言葉。
聞いたことありますか?
高度成長期の日本は人口ボーナスに恵まれました。
労働人口が増大した時期なんです。
労働人口が増大すると言うことはおカネを使える人口が増えると言うこと。
つまりそれだけ消費を活発にしたんです。
仮に同じようにがんばったとしても、人口ボーナス期には経済はより大きく成長するんです。
その事実を無視して、単に人々のがんばりだけで評価するのは、検証の仕方としては片手落ち。
当時の人たちが現代に同じようにがんばったら同じように高度成長するか。
しません。
現代は人口オーナス。
労働人口が減り、高齢者が増えてるんです。経済成長するのはとても難しいんです。
人口の差
そうそう、iPhoneの話に戻りますけど、国による人口の違いを考慮する必要があります。
例えば、A国から天才が10人、B国からは天才が1人しか出てこなかったとします。
ではA国の国民は優秀なんでしょうか。
実はA国の人口は1,000人、B国の人口は10人。
するとA国の天才率は1%、B国の天才率は10%。
B国の方が圧倒的に優秀です。
しかし10人の天才を持つA国は、1人しか天才がいないB国に勝ってしまうんですね。
人口が多ければ、その国で、天才が生まれる可能性、イノベーションが生まれる可能性は高くなるのは当然なんですね。
アメリカ合衆国の人口は日本の3倍近いです。
この差を考慮しないとね。
スティーブ・ジョブズはマーケティングを行わなかったのは事実でしょう。
しかしアメリカ国民がみんなマーケティングを行わないわけではありません。
逆に日本人は全員、マーケティングを行うわけではありません。
だいたい、アメリカはマーケティング先進国ですよね。
つまりここでもアメリカとか日本とかは関係無いわけです。
こうやって考えていくと、後付けの理論ってのは、いろいろと矛盾がはらんでいます。
日本の希望
日本人のみなさん。
いま、たまたまスマートフォンの世界で負けているだけです。
他の時代に、他の分野では、また日本人が勝つこともあるでしょう。
そしてそのときには、だから日本人は優秀だ、という後付け理論が叫ばれることでしょう。