ダイエット
ライザップが赤字になって話題ですね。
ボクは、数年前に、健康コーポレーションと言う会社の株を買ったんですが、その後、ライザップと改名して、株価が爆上げしました。
ライザップはあまりにも有名なので、いちいち説明する必要は無いと思いますが、要はフィットネスクラブですね。
会費は高いですが、結果をコミット、つまり約束する、無理なら返金。
つまり、会員にとってみれば、理論的にはノーリスクです。
ダイエットできるか返金かのどちらかですから。
ライザップ側にしてみれば、返金なんてしていたら経営が成り立たないので必死になりますし、会員にしても、主目的は返金では無くダイエットなので、必死になります。
そんなわけで、ライザップ事業は大成功。
ボクの場合は、ライザップの会員にはならずに、株主になったと言うコトです。
で、一方で、自分の意思でダイエット。
去年の11月の健康診断では体重は82kgありましたが、今年の11月の健康診断では体重は70kg。
ライザップに高い会費を払わずに10kgもやせ、しかも株価上昇で含み益。
いやあ、高い会費を払ってダイエットしているみなさん、お疲れ様です。
のれん代
そんなライザップが赤字を発表。
株価も下落。
ボクの資産も、その分は減りましたが、ボクの場合は、はるかに安い時代に買っているので、まだまだ含み益はたっぷりあります。
さて、なぜライザップは赤字になったんでしょうか。
あんなにフィットネス事業が有名なのに。
実は、ライザップの株価がこれまで上昇してきた理由は、フィットネス事業のおかげでは無かったんです。
財務会計のテクニックで黒字を確保していたんです。
その仕組みを、小学生にもわかる感じでカンタンに書いてみます。
企業が他の企業を買収するコトをM&Aと言います。
世の中のすべての原則ですが、良いモノは価格が高く、悪いモノは価格が安くなります。
おいしいリンゴと、おいしくないリンゴ。
当然、おいしいリンゴの方が価格は高いです。
企業も同じです。
毎年、黒字を生み出すような優良企業は、買収する価格も高くなります。
例えば、毎年1億円の利益を出す企業Aを買収したいと言う場合。
色んな企業が名乗り出ます。
その中で、一番高い価格を提示した企業が勝ちます。
10億円で買収したいと言っている企業Bと12億円で買収したいと言っている企業Cなら、企業Cが勝ちますね。
かくして、企業Cは12億円で企業Aを買収しました。
もし、ここで、実際に企業Aに8億円の資産があるとしたら、企業Cは8億円の企業Aを12億円で買ったコトになります。
4億円の損ですね。
これは、企業Cの経営的に見れば、4億円の損失です。
なぜわざわざ4億円の損をして企業Aを買ったんでしょうか。
答えはカンタン。
企業Aが毎年1億円の利益を生み出すチカラがあるからです。
つまり、4億円の損は4年で回収できますし、その後は毎年1億円のプラスになります。
この4億円の損を、のれん代、と言います。
ライザップは、これの逆をやりました。
12億円の資産を持つ企業を8億円で買うのです。
なぜ12億円の資産なのに8億円の価格しか付かないのか。
それは、その企業が、毎年、赤字を生んでいるからです。
なので、安く買収できるとは言っても、毎年赤字を生むリスクがあるわけですね。
ただし、12億円の企業を8億円で買ったので、その時点では4億円のプラスです。
会計ルールでは、この4億円は利益としてカウントするんです。
負の、のれん代です。
ライザップは、このようなやり方で、業績の冴えない企業をどんどん安く買い、その差額を利益計上していました。
だから、毎年、利益が発生し、しかもどんどん吸収しているので、規模が大きくなります。
ライザップはどんどん成長し、毎年、利益を出している。
これがライザップの正体。
もちろん、ライザップも、長期的視野も持っていたはずです。
いくら安いとは言え、赤字を垂れ流し続ければ、会社の経営は行き詰まります。
なので、赤字体質の企業を立て直すのが大きな仕事。
ライザップは、まずは安く買収して利益を計上し、経営を立て直して、その後も利益を出す。
当然、そんなビジョンを持っていたはずです。
しかし、あまりにも猛スピードでたくさんの赤字企業を安く買って膨張して行ったので、負ののれん代よりも業績の悪さの方が大きくなってしまったんですね。
だから、ついに赤字になった、と。
フィットネス事業で成功したからと言って、他のあらゆる事業でも成功するとは限りませんし、実際、現時点では失敗しています。
これまでの利益は、あくまでも、事業による利益と言うよりも、負ののれん代による利益。
とは言え、この赤字で、社長の瀬戸さんも目覚めたかも。
今年、ライザップはプロ経営者の松本さんを招聘しました。
これまでの、のれん代による自転車操業的な利益創出では無く、ホントに業績を良くして利益を創出する。
そうなれば、M&Aを繰り返してきた価値も出てきます。
実際、フィットネス事業では成功したわけですし。
ボクとしては、そこに期待してます。
まだ、株は保有し続けますよ。
結構、立派な株主優待品が送られて来ますが、そんなモノ、いらないんですよ。
そんなモノに会社のカネを使うのなら、成長のための事業投資をして欲しいモノです。