トンネル事故
12月2日は中央自動車道の笹子トンネルで崩落事故があった日です。
2012年、今から3年前でした。
あの事故は、打音点検ではなく、目視点検しか行ってなかったことによって起こったと言われています。
そのことで訴訟が起こっていますね。
実際の事故原因は検証が済むまでは断定できないので、ここではそれだけにとどめておきます。
しかし、施設や設備というモノは長らく放置しておけば劣化して危険性が増すのは事実。
管理やメンテナンスの行き届いたマンションはいつまでもキレイですが、管理の良くないマンションは築年数が浅くても劣化します。
人口減少
今の日本は歴史上、一番人口が多い時代です。
数年前から人口減少が始まっていますが、それでもまだ1億2千万人以上の人間が、この狭い国土に住んでいます。
そんな現代に起きたのが笹子トンネル事故。
メンテナンスがきちんと行われていなかったのであれば、そのことについて責められるんです。
しかし、この先、人口減少がもっと進んだらどうでしょうか。
小さな国
こんな国を考えてみてください。
A国。
A国にはB県とC県があります。
B県には10人、C県にも10人の人口がいます。
それぞれが色んな職業に就いています。
B県とC県の間には川が流れていて、橋が1本。
この橋が両県をつないでいる生命線です。
B県の主要産業は農業、C県の主要産業は漁業。
橋を行き来することで作物と魚介類をやり取りし、両県の人たちは食生活しているわけです。
橋のメンテナンスを職業としているのは、B県の1人。
ある日、その人が亡くなりました。B県の人口は9人になりました。
実はA国は人口減少に悩まされているのです。
しかし橋のメンテナンスの仕事をする人がいなければ、橋は使えなくなります。
仕方ないので、C県の一人が転職して橋のメンテナンスの仕事に就きました。
しかしやがてその人もなくなりました。
今度はB県の一人が転職して橋のメンテナンスの仕事に就きました。
これを繰り返すと、主要産業である農業や漁業に就く人が減っていきます。
そうなると食糧難に陥って、そもそも人々は生き延びられなくなります。
ある程度の農業人口や漁業人口が必要である以上、人口減少社会であるA国では、やがて橋のメンテナンスの仕事に就ける人がいなくなりました。
その結果、B県とC県との間で食物の流通もできなくなりました。
日本
まさにこのA国は、日本の将来なんです。
人口減少の問題と言えば、労働人口が減るとか市場が小さくなることばかりが取り沙汰されますが、もうひとつの大問題は、
人口が減っても国土面積は減らない
ことなんです。
人口が減っても川の本数は減らないです。川が10本なら橋も最低でも10本無いと行き来できません。人口が減ったから5本の橋を廃止する、そんなわけにいかないんです。
トンネルの数も減りません。
人口減少の恐ろしさはそこなんですよ。
今までは100人で1本のトンネルの面倒を見ていた。
それが50人で1本になり、やがて10人で1本になる。
そうなるともう、費用的にも時間的にも、メンテナンスは無理です。
だからと言って放置すれば、崩壊し、そこはもう通れなくなります。
流通が途絶えます。
人口減少でも国土面積は減少しない。
だから例えば鉄道会社も同じ営業距離数なのに客数は減り、やがて維持できなくなります。
かと言って、だから路線の長さを半分にすれば、取り残されたエリアの人たちは生活できません。
クルマで移動するにも橋やトンネルはいつ崩壊するか、わかりません。
解決法
これを解決する唯一の方法は、できるだけ狭いエリアに全人口が住むことです。
例えば人口が3分の1になってしまえば、全員が関東地方に移住し、他のエリアは完全に無人。
そうすれば、無人エリアの橋もトンネルも放置できます。
いかがですか?
ボクはそれが「解決」だとは全然思いませんね。
しかし将来必ず訪れる、単位国土面積当たりの人口密度の低下による一人当たり負担の増加。
みなさんなら、どう解決するでしょうか?