性別と言う要素
前回の記事はもう読んでくれましたか?
今回は、似たような書き始め。
交通事故を起こした100人を調べたら、女性が70人、男性が30人だった。
こんなニュースがあったら、ありがちな意見。
「だから女性は運転に向かないんだ。」
ね、たまに聞きますよね。
しかし、前回のボクの記事を読んでくれた人なら、それが誤解であることに気付くでしょう。
考えてみてください。事故を起こした人が100人いたとして、その男女比が必ずちょうど50対50になることってあるでしょうか。
そりゃ、まれにあるかもしれませんが、たいていはどちらかが多いはずです。
つまり、上記の例は、 たまたま女性が多かった事例であり、別の100人を抽出したら、男性の方が多い事例もあるわけです。
女性の方が多かったのであれば、それは、事故と女性の数に、相関関係があるわけですね。
女性だから事故が多い、と言う因果関係の証明にはならないわけです。
そもそもおかしいのは、人間を分類する要素には無数の種類があるのに、性別という要素だけを引っ張り出して、それを要因とする考え方です。
人間を2つに区別する要素って何があるでしょうか。
例えば、
- 男性と女性
- 右利きの人と左利きの人
- 西日本生まれの人と東日本生まれの人
- 飛行機に乗ったことがある人と無い人
- 文系と理系
- 大人と子供
- 身長180cm以上の人とそれ未満の人
- 経営者と経営者じゃない人
- 英語を話せる人と話せない人
- めがねを掛けている人と掛けていない人
- 昼型の人と夜型の人
- 日本人と外国人
- 甘党と辛党
- 100mを13秒未満で走れる人とそれ以上かかる人
キリが無いですね。2つに分ける要素なんていくらでもあるんです。
さっきの交通事故を起こした100人を調べたら、身長180cm以上の人が70人、それ未満の人が30人だった。
このように要素を変えてみると、目線が変わってきますよね。
「なるほど、身長180cm以上の人が事故を起こしやすいんだな。」
いやいや、違います。100人を身長と言う要素でわけたら、たまたま身長180cm以上の人がたくさんいただけのことです。
さっきも書いたように、両者の数がぴったり同じになる可能性なんてとても低いんです。たいていはどちらが多くなります。結果的に多いだけでは事故の原因とはなりません。単なる相関関係であり、因果関係とは言えないわけです。
故意に自分にとって都合の良い要素を使うことで、恣意的にマインドコントロールすることができます。
例えば、上記の2例を前提に、身長160cmの女性が、こんなことを考えます。
もし、性別という要素で分けてしまったら、事故を起こしたのは女性の方が多かったので、自分が不利になる。
だから性別と言う要素は出さずに、身長と言う要素で語ろう。
身長で見れば自分は180cmメートル未満なので、悪口を言われなくて済む。
ちょっとわかりにくいかも知れませんが、言いたいこと、わかりますかねえ。
ある夜型の右利きの人は次のような宣伝をしました。
「交通事故を起こした100人を調べたら、昼型の人が70人、夜型の人が30人でした。みなさん、昼型の人に気を付けましょう!」
こうやって意図的に昼型の人間を貶めることができるわけです。
昼型か夜型かなんて人間の無数の要素のひとつでしかないのに。
わざと自分が当てはまらない結果の要素を選んで宣伝すれば、自分が悪く思われるのを避けつつ、対抗する人を貶めることができるんです。
実は、この100人を利き手でわければ、右利きが70人、左利きが30人だったんですが、それを言ってしまうと、自分が当てはまってしまって不利になるので、その分け方は言わないわけです。
恣意的でしょ。
人間なんて、どんな分け方でもできますし、分けた場合に双方の数がぴったり一致することはまれです。
だから、自分に都合の良い要素を選ぶことで、恣意的に情報操作ができますし、それに気付かない多くの人がマインドコントロールされるんです。
犯罪
外国人が犯罪をしたら、
「だから外国人は追放すべきだ。」
と言う意見が蔓延しますよね。これも同じ事です。
現に日本人の犯罪も大量に発生してますから。
外国人であることと犯罪に因果関係は無いわけです。
もし、外国人と言う相関関係だけで追放すると言うのなら、日本人による犯罪もたくさん起こっているので、日本人も追い出す必要があるわけです。
でもそれは言いませんよね。
因果関係では無く単なる相関関係なのに間違えて理解すると、そのような矛盾が生じるわけです。
みなさんも、何か事件が起こったとき、それを分類するような統計値が出てきたら気を付けましょうね。
数値が高いから因果関係がある、あんんて安直な思考をしないように。
因果関係なのか単なる相関関係なのか。
それを考えられるようになれば、10人に1人の人材です。
あまりの面白さにボクが最近ハマっている4コマ漫画。とりあえずダマされたと思って読んでみてください。