歳下
「私、歳下の男としか付き合わないの。」
ボクは彼女のことが好きだったから、その一言は衝撃だった。
だって、人間性が関係ないから。
どんなに努力してもボクは彼女の歳下にはなれない。
いや、それ以上に、彼女がそんな目線で人間を見ていたことがショックだった。
人間に大切なのは中身だと思っていたボクだったし、他でもない、ボクが好きな彼女がそんな考えの持ち主だったことがショックなのだ。
ある話
こんなストーリーをボクは彼女に教えてあげたい。
むかし、むかし、あるところに女性が住んでいました。
彼女の口癖は、
「私、歳下の男としか付き合わないの。」
ある日、彼女は、歳下の男性と出会った。
彼女と彼は意気投合し、仲良くなり、恋をし、結婚し、やがて歳をとり、彼女は人生最後の日を迎えることになった。
彼女は病床で、
「あなた、私はあなたと人生を一緒に過ごせて幸せでした。」
そんな彼女に向かって、彼は衝撃の一言を放ったのだ。
「ごめんな。長い間、ウソをついていた。ホントはボクはキミより歳上なんだ。」
それを聞いた彼女の、それまでの人生は不幸に塗り替わっただろうか。
いや。
もちろんそんなことはない。
相手が歳上でも歳下でも、過去は変わりない。
幸せに過ごせたんだから、最後に歳上だと知っても、それはもう関係ない。
願い
彼女がどう生きるかは彼女の自由だし、彼女が決めることだ。
ただ、年齢が上か下かで得られる幸せよりも、相手の心に感動して得られる幸せを感じてほしい。
それが、ボクが大好きな彼女への願いだ。
大好きだからこそ。