儲けについて
ボクの自宅の近くに急坂があって、その途中にアパートが建っています。
人通りが少ない細道なんですが、ボクの自宅から一番近いコンビニに行く最短距離なので、ボクは毎日のように通るんですよ。
急な坂道の途中のアパートなので、ボクが坂の上から降りてくると、そのアパートの2階の窓がボクの目線の高さに近く、カーテンをしてなければ部屋の中が丸見え。
不在がちなようで、今まで2年間、人がいる様子は無かったんですが、昨夜、いつものように通ると、中の人と目が合ってしまいましたよ。
しかも女性でした。
気まずい。
いや、いくら2階とは言え、坂道から部屋の中が丸見えの立地でカーテン全開にするのは問題あるでしょ。
見たボクが悪いのだろうか?
次から、あの道、通りにくいなあ。
そんな何の関係も無い前置きから始めた今回は、ROE(自己資本利益率)について書いてみます。
投資関連の話題でよく聞きますよね。
まあ別に投資だけでは無く、企業経営に深く関わる話なんですが。
と言うか、企業経営も投資ですね。
投資話で、アルファベットのRが出てくると利益を表すことが多いです。
利益 = Return
ですね。
ROEは、
Return on Equity
です。
Equityはエクイティ、株主資本とか投下資本と訳されがちです。
先日ボクは、こんな話を書きました。
会社がおカネを集めるには主に2つの方法があって、
- 借り入れ(Debt)
- 株式(Equity)
だと説明しました。
で、貸し手が優先され株主は劣後するので、その分だけ、株主は高いリターンを求めるから、企業はあえて借り入れをするんですよ、と言う話です。
ホントはこの話だけで本を1冊書けるレベルなので、この記事を読んだだけでは様々な批判が巻き起こるでしょう。
そこで今回は、ボクが言いたかったもうひとつ。
ROEの話をしようと思うのです。
資本効率とは
あなたが株主だとしましょう。
話をカンタンにするために、1万円で会社の株を買いました。
つまり、あなたは会社に1万円の出資をしたのです。
この会社には他に株主はいません。
また借り入れもありません。
つまり、この会社の全財産は、この1万円だけ。
会社は、この1万円を使ってビジネスを行って利益を出すわけです。
さらに話をカンタンにするために税金も無しにしておきますね。
この会社は1年間がんばって1万円を1万2千円にしました。
どうやったか?
1万円で土地を買って来て、それを1万2千円で売ったのです。
そうです。2千円の儲けです。
この2千円は誰のモノか。
そう、株主であるあなたのモノです。
この2千円を配当と言いますね。このような元本に対する儲けのことをインカムゲインと言います。
ここで脱線
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あなたが1万円で買った株。
この会社がいくら儲けるかはまだわからないときに、別の人が、
あなたの株を1万1千円で買いましょう!
と言ってきて、あなたが応じたとします。1万円で買った株が1万1千円で売れたわけです。
つまり株価の値上がりですね。あなたは1千円儲けました。この株価の値上がりによる儲けのことをキャピタルゲインと言います。
株を買った人は、あとで会社から2千円の配当を受け取ってから、その株を1万1千円で売りました。つまりその人はインカムゲインで儲けたわけです。
こうやって、株価は変動し、
キャピタルゲインやインカムゲインで儲けることができるのです。
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脱線終わり。
さて、話は戻って、1万円で株を買って2千円の配当を受けたあなた。
1万円の投資で2千円の儲けだから、儲けの率としては20%ですよね。
これをROEと言います。
ROEが20%です。
物足りないあなたは会社の経営者に文句を言います。
もっと儲けないとクビにしちゃうぞ!
そこで経営者は資本戦略を変えるのです。
そうです。
借り入れを使います。
会社にはあなたの1万円がありますよね。
そこに銀行から9万円を借ります。
合計で10万円になりました。
その10万円で土地を買い、12万円で売りました。
2万円の儲けです。
銀行には元本の9万円と金利の1万円の合計10万円を返済します。
会社に残ったのは2万円。
そのうち1万円は株主であるあなたのおカネですから、増えたのは1万円。
これが配当として株主であるあなたに支払われます。
よく考えてみてくださいな。
会社のビジネスとしては、前回も今回も同じなんです。
前回は1万円で買った土地を1万2千円で売った。
今回は10万円で買った土地を12万円で売った。
どちらも儲けは20%なんです。
しかし、前回は株主が受け取れたのは2千円。
今回、株主が受け取れたのは1万円。
株主にしてみれば、1万円の出資には変わりありません。
なのに、株主の配当は2千円から1万円に増加しました。
ROEが20%から100%に増えたんです。
借り入れを使うことによって、株主はより大きく儲けることができました。
ちなみに銀行は9万円貸して1万円の金利を儲けたので、約11.11%の儲けですね。
前回の記事でも書いたように、貸し手の儲けより株主の儲けの方が大きくなりましたね。
- 銀行:9万円貸して1万円の儲け
- 株主:1万円出資して1万円の儲け
ね、うまくできてるでしょ。
リスク
じゃあ、銀行からもっと借りれば、もっと儲かるじゃん、もっとROEが良くなるよね!
そう思ったあなた、そのとおりです。
しかし、リスクがあります。
株主が1万円出資して、銀行から9万円借りて合計10万円。
その10万円で土地を買ったら、予想が外れて土地が値上がりせず、結局、10万円でしか売れませんでした。
会社に残ったおカネは10万円。
それでも銀行には9万円の元本と1万円の金利を払う必要があります。
すると、あらら、会社のおカネはゼロになってしまいました。
つまり、あなたが出資した1万円は無くなってしまったのです。
前回の記事で書いたように、貸し手は株主に優先して返済を受けられます。
だから今回も先に銀行が返済を受け、その結果、株主であるあなたが損をしたのです。
このように、借り入れをすることは、大きな利益を生むこともあれば、逆に、損失につながることもあります。
借り入れが大きいほど、ハイリスク・ハイリターンとなるんですね。
そして株主は、このようにおカネに関しては劣後します。
株主は貸し手よりも大きなリスクを採る代わりに、大きなリターンを得られる可能性があるんですね。
で、さっきも脱線の欄で書いたように、会社が儲かると思えば高値で株を買う人がいて株価が値上がりし、逆に儲からないと思えば株価は下がります。
ちなみに、このように、株主の投資した金額に、借り入れなどで資金を増やして大きくすることを、
財務レバレッジ
とも言います。
レバレッジとは、てこのことです。
事業経営とは投資のことです。
経営者とは投資のコントロールをする人のことです。
いくらの資金をどのような方法で調達して、どの分野でどんな割合でどんなタイミングで投資して、どれくらいの期間でいくら稼ぐのか。
そう考えると、経営者って大変でしょ。
サラリーマンの人たち(ボクもだけど)は、経営者批判をしがちですが、経営者たちは思った以上に苦労してるんですよ。
そんな目線で自分が携わっているビジネスを見てみると、また新しい発見があると思います。
ぜひ、将来の経営者目指して、ファイナンスを学んでみてください。
この本は、勉強するのに格好です。面白いし実用的だし。