庶民のためのデフレ
普通にこの世の中に住んでいる限り、経済からは逃れられません。
店で買い物するのも経済。
仕事でおカネを稼ぐのも経済。
仮におカネを稼がずに誰かと物々交換をしても、それも経済。
政府が行う様々な政策も経済。
だから、経済について知っている人と知らない人とでは、当然のように知っている人の方が有利に暮らせます。
まあ別に経済に限らず何でも、知っている人の方が知らない人よりも有利なんですけどね。
だから勉強は大切なのです。
経済の話の中で、
- インフレ
- デフレ
が話題になります。
経済をある程度、学んだ人なら、デフレは悪なので、インフレ誘導すべき、となるんですが、世の中のみんながそうとは限りません。
デフレは物価が安くなるんだから庶民は助かるじゃん!
てな正論を言う人も少なからずいます。
確かに、物価が安くなれば庶民の消費生活がラクになるでしょう。
その点だけを見れば、正論です。
では、その正しい「理論」に対し、単なる感情論では無く、対抗する正しい「理論」で反論するにはどうすれば良いでしょうか。
続くことが問題
問題は、話がそれにとどまらない点なんです。
- インフレとは物価が上昇し続けること。
- デフレとは物価が下落し続けること。
物価が上がることや下がることでは無いんです。
続くのが問題なんです。
あなたにこんな質問をしましょう。
あなたはマイホームを買おうとしています。
住宅市場では毎月のように価格が上昇し続けていて、この傾向は今後も続くと見られています。
つまり、買うのを先延ばしすればするほど高額にになってしまいます。
あなたはどうしますか?
これがインフレ。もちろん正解は、なるべく早く買う、ですね。
ではもうひとつの質問。
あなたは自動車を買おうとしています。
自動車市場では毎月のように価格が下落し続けていて、この傾向は今後も続くと見られています。
つまり、買うのを先延ばしすればするほど安価になっていきます。
あなたはどうしますか?
これはデフレ。この場合はさっきとは逆に、買うのをしばらく見送りますよね。待っていれば、さらに安く買えるんですから。
この2つの質問から、次の結論が出ました。
インフレの場合は消費者はすぐに買い、デフレの場合は消費者はなかなか買わなくなる。
ここがポイント。
消費者がモノを買わないとどうなるか。
企業の業績が落ちます。あるいは倒産します。
業績が落ちれば給料は減ります。
倒産すれば給料はゼロになります。
いくら物価が下がると言ってもゼロにはなりません。
デフレと言うのは、物価が安くなり続けながら企業業績が悪化して失業者を生み出すのです。
どこかの企業が倒産すれば、その取引先も倒産するかも知れません。
設備投資もしなくなり、さらに景気は悪くなります。
まさに悪循環なんですね。
せっかく物価が安くなっても、それ以上に給料が減ったりゼロになったり就職先が無くなったり。
インフレの場合は、消費者は積極的に消費するので、企業の業績が上がります。
当然、給料も上がり、雇用も増え、好循環となります。
物価は上がっても、それに合わせて、もしくはそれ以上に、給料も増えていきます。
あるいは失業者が減り、さらに消費が活発になります。
- 給料が上がるが物価も上がる。
- 給料が下がるが物価も下がる。
この2つは、そのことだけを見れば、どちらも差し引きは同じです。
でも時間の経過とともに、真逆の減少を導くんですね。
だから、景気対策では、インフレ政策が重要視されるのです。
デフレは経済を停滞させてしまうからです。
インフレ議論をすると、ハイパーインフレの心配をする人も出てきます。
もちろん、心配はゼロでは無いんですが、実は、インフレは止めやすいんです。
1980年代後半にバブル経済が発生し、過剰な好景気となりましたが、政府が各種規制を作り、日銀が金融引き締めなどを行ったために、またたくまに大不況になりました。
逆に、長年のデフレをインフレにするのには、歴代の政府も苦労しています。
ハイパーインフレの心配をしてインフレを回避することよりも、デフレになることの方が、経済や庶民の生活に大きなダメージを与えることを知っておいてください。
政府が実現したいのは、ハイパーインフレではなく、ゆるやかなインフレなんです。
以上、今回の記事は、ボク自身が人を説得するための頭の体操として書きました。
それでもデフレの方がメリットが大きいと思う人は、反論を論理的に考えてみてください。