アパート経営ビジネス
永江さんが面白い記事を書いていました。
ボクの仕事が賃貸管理業なので、非常に関心があるんですが、話がごっちゃになっています。
アパート経営ビジネスは広義であって、その中のサブリース型ビジネスが問題になっているんですね。
たまたまですが、数日前に、ボクはサブリースについて書きました。
本来、アパート経営は大家さんがアパートを建てて人に貸すビジネスなので、レオパレスの出る幕はありません。
不動産の所有者が自分で貸すと言うシンプルなビジネスモデルです。
レオパレス(に限らず全国に多数あるサブリース業者)の一括借り上げシステムは、そのとおりに行けば大家さんにとっては安心なので、人口が減少しない限りはあまり問題はありません。
長期のビジネスモデルなのに人口減少を考慮しなかった点に問題があったんですね。
アパート経営をする理由
で、今回は、そもそも論として大家さんがアパート経営(サブリースの有無とは別に)をする理由をお話しします。
大家さんはなぜアパートを建てて貸すのでしょうか。
もちろんおカネを儲けたいと言う理由がありますが、それはどちらかと言えば、投資の意味合いが強いです。
つまり、土地にわざわざアパートを新規で建築するよりも、既存のアパートを買っても良いわけです。
1億円でアパートを買って、家賃収入が年間1000万円なら、利回りは10%です。
実際にはいろんな経費がかかるので、それも考慮する必要がありますが、要は、賃貸経営はミドルリスクなので、銀行に預金するよりも高い利回りを狙えるわけです。
それが投資としての側面。
しかし、それとはまったく別に、否が応でもアパート経営をせざるを得ないケースがあります。
それは相続です。
日本は狭い国土に多くの人口がひしめく国です。
この国にとって土地は貴重な資源。アメリカのような国土が広大な国とは、土地の意味合いが全然違うのです。
土地が貴重な日本において、土地を有効に使うことは非常に重要。
そこで税制をそのように組んだんです。
空き地のままだと固定資産税などの税ががっつりかかる場所でも、上に人が住む建物を建てると税が軽減されます。
多くの人にとって、財産の中で一番大きな割合を占めるのが不動産なので、不動産にかかる税金を軽減させることが大きなポイントとなります。
相続が発生すると、土地にかかる税金が大きくのしかかってきます。
例えば、普通のサラリーマンなら、年収はそんなに大きくはありませんが、たまたま先祖代々、都心のど真ん中の土地に住んでいれば、土地の評価額は非常に高くなり、相続時には相続税がとんでもなく巨額になります。
つまり、おカネは無いけど払うべき税金は大きいという困った状況になるわけです。
もちろん、先祖代々の土地はなるべく手放したく無いですし、そもそも自分が住んでいるのであれば、税金支払いのために軽々しく引っ越すわけにもいきません。家族の生活もありますし。
そうすると、相続が発生する前、つまり親が生きている間に、相続税対策を行う必要があるわけです。
それは、資産の中で最大の不動産の評価を下げることです。
さっき書いたように、空き地があるのなら、そこに建物を建てること。
しかも自分が住むよりも人に貸せば、その土地は多くの人に役に立ち、しかも自由に処分できなくなることから、評価額はかなり下がります。つまり税が軽減されるのです。
かと言って、建物を建てるには費用がかかります。
そこでもアパート経営ならつじつまが合います。
なぜなら、賃貸収入をローンの返済に回せるからです。
つまり、自宅を建てるのでは無く、アパート経営をすることで、費用の持ち出しも無く、相続税で引っ越しを余儀なくされることも無く、無事に相続を乗り切れるわけです。
アパート経営はビジネスと言うよりも従前の生活を維持するための手段なんですよね。
あまり乗り気では無いが、他に手段が無いので仕方無くアパート経営をする。
そんな大家さんほど、リスクを採りたく無いので、サブリースに期待する。
2015年の税法改正によって、相続税の対象となる世帯が増加したので、このような事例はさらに多くなると予想できます。
人口が減るのはわかっているが、やらないと地元を捨てて、財産を処分してどこかへ引っ越さざるを得なくなる。
そうです。
アパート経営の大量発生は、国策の産物なのです。